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Railway time - Wikipedia (鉄道時間)

以下の文章を読めばわかりますが、最初から現代の「標準時」があったわけではありません。 これが最初にできたのは、英国の鉄道が グリニッジ平均時を標準の時間として採用したことに始まり、 そしてこれは「鉄道時間」と呼ばれたのです。 以下に書かれていることは、「標準時」ができるまでの歴史なのです。

日本の標準時は明治天皇の勅令で設定されますが、 英国の標準時が設定されたのは上からの改革から起きたことではなく、鉄道会社の必要性から起きたことで これが社会全体に広まった後で標準時の法律が制定されたのです。

もっとも明治時代には機械式時計はおろか、 日時計を持っていた人もほとんどいなかったでしょうから、 標準時の導入に反対する人がいるはずもなかった。 更には振り子時計を単に日時計に合わせては、均時差の理由から、 不都合となることを知っていた人もほとんどいるはずもなく、 「平均時」の意味することをほとんどの人が知らなかった。 (これを知らないと時計の時刻合わせができなかった。) 日本では「グリニッジ平均時」の訳語を「グリニッジ標準時」にしていますから、 普段使用する用語から「平均時の歴史」が抹殺されている。 太陽時は (機械式時計の理由から) 平均太陽時に変化し、これが鉄道時間に変化し、そして標準時に至っている。 日本では、時刻の概念がほとんどない社会から、突如として標準時の社会が始まっている。

米国における状況を知るためには 時報 も併せて読んでください。

鉄道時間は 1840 年 10 月に、 イングランドのグレート・ウェスターン鉄道により、 適用された標準的な時刻の取り決めであり、 これは異なる地方平均時が同期され、単一の標準時間が適用された最初の記録された時であった。 鉄道時間を導入する背後の鍵となる目的は、拡張する鉄道網に沿う 各々の町と停車駅の一様でない地方時が引き起こす混乱を克服し、 事故とニア・ミスの発生削減のためで、 これは列車旅行が増えるにつれ益々頻繁になった。

ブリストルの取引所の時計、2 つの分針が見え、 1 つがロンドン時間 (GMT), 1 つがブリストル時間 (GMT - 11 分) を示す。

続く数年の間に グレート・ブリテン (Great Britain, イングランド + ウェールズ + スコットランド) の全ての鉄道会社が鉄道時間をますます取り上げた。 列車の組織スケジュールと駅の時計が表示する時刻を 合わせたのは、ロンドン地方平均時、 あるいは「ロンドン時間」 ―― グリニッジで王室天文台により設定された時刻 ―― で、これはすでに「グリニッジ平均時」 (GMT, Greenwich Mean Time) として 広く知られていた。

鉄道網の発展により、北米では 1850 年代、インドではおよそ 1860 年頃、そしてヨーロッパで、 標準時の導入が促進され、地理学, 産業開発, そして政治支配によって影響を受けた。

鉄道会社は、時々地元の人々の協調した抵抗に直面し、 彼らは公共時計を調節してロンドン時間に合わせることを拒絶した。 その結果、2 種類の時刻が町で表示・使用され、 列車の時刻表で出版された時刻は、他の時計の時刻と数分の違いがあった。 この初期の不承不承にもかかわらず、 グレート・ブリテン中で、既定時刻として鉄道時間は急速に採用されることになった。 もっとも政府は 1880 年になって、ようやく国の単一の標準時と単一の 時間帯設置に関しての法律を定めた。 当時の批評家は、日々の仕事のより高い精度と時間厳守の要求の奨励において、鉄道時間の影響を言及した。

18 世紀の後半まで、時刻は通常、町ごとに地方日時計で決定され、 太陽時は太陽の相対位置の参照で計算された。 これは時刻に関しては、軌道の変動により近似のみを提供し、日々の目的には不適切になり、 地方平均時で交代され、季節の違いと変則 (seasonal difference and anomalies) による変動を消し去った。 場所の経度も考慮に入れ、これは正確な時刻を適用することを可能にした。

そのような新しく見いだされた精度は 1 つの異なる問題 ―― 隣接する町の地方時の違い ―― を凌駕することが無かった。 ブリテン では地方時はロンドンと 20 分も違うことがあった。 例えば、オクスフォード時間はグリニッジ時間よりも 5 分遅く、 リーズ は 6 分遅く、 カーンフォース ( Carnforth) は 11 分遅く、 バローはほとんど 13 分遅い。 インドと北米では、この違いは 60 分以上にもなり得る。 表を含む天体暦が出版され、地方時との違いを計算するための手引きが日時計に付属した。

鉄道の到来以前は、大きな市と町の間の旅行は何時間、あるいは何日もかかり このような違いは途上で定期的に時計の針を調節することで処理した。 ブリテンでは馬車会社は、必要な補正の詳細を提供するスケジュールを出版した。 しかしながら、地方時の変動は大きすぎて、鉄道のスケジュールに問題を与えた。 例えば、 リーズ時間はロンドンよりも 6 分遅れ、 一方 ブリストルでは 10 分遅れた。 東の町の日の出は、例えば ノリッジでは、ロンドンの数分前に起きた。 すぐに明らかになったことは、このような小さな時刻の食い違いでさえ、 分裂、混乱、あるいは事故さえ引き起こした。

電信は 19 世紀始めに開発され、 ウィリアム・フォザーギル・クック ( William Fothergill Cooke) と チャールズ・ホイートストンにより改良され、 1839 年にグレート・ウェスタン鉄道の短い区間に設置された。 1852 年までに電信接続が、グリニッジの新しい電磁気時計と当初は ルイシャムとの間に、 このすぐ後に ロンドン橋の駅との間に建設された。 これは シティ (City of London) の「電気時刻会社」 (Electric Time Company) の 「中央電信局」 (Central Telegraph Station) も経由し、 これにより鉄道電信網に沿って、他の駅に時報の伝送も可能にした。 1855 年までに、グリニッジからの時報は鉄道沿いの電線を通り抜けて、 ブリテンの 端から端まで送付された。 この技術はインドでも使用され、鉄道時間を同期させた。

電信の到来以前は、地方時間をロンドン時間に変換するために、 駅長は鉄道会社が提供する表を使用して時計を調節した。 次に車掌がクロノメーターをこの時計に合わせた。

最後には鉄道時間の導入は、簡単ではなかったが敏速であった。 グレート・ウェスタン鉄道は、時刻表をグリニッジ平均時に標準化した最初の鉄道会社で、 1840 年 11 月のことであった。 鉄道時間の標準化で、もっともうるさい支持者の 1 人はヘンリー・ブース (Henry Booth) ―― リヴァプール・アンド・マンチェスター鉄道 の書記 ―― で、 彼は 1846 年 1 月までにリヴァプールと マンチェスターの両方の駅で、 時計をグリニッジ平均時に合わせることを命令した。

ミッドランド鉄道は 1846 年 1 月 1 日にすべての駅でロンドン時間を採用した。 その結果、1846 年 2 月に、 ノッティンガムの町議会は町の 時計に 3 本の針を取り付けることを命令し、この 2 本が地方時間を表示し、 追加の 1 本が鉄道時間と郵便局のロンドン時間を表示した。

1847 年 9 月 22 日に、 「鉄道清算会社」(Railway Clearing House) ―― 鉄道会社間の収入の分配を調整するために 5 年前に設置された会社 ―― が布告したことは 「郵便本局 (General Post Office) が許可すれば、直ちに全ての駅で GMT (= グリニッジ平均時) を採用すること」 であった。 1847 年 12 月 1 日から、 ロンドン&ノース・ウェスタン鉄道 (London and North Western Railway) と カレドニア鉄道が転換した。 ブラッドショー鉄道ガイド (Bradwhaws Railway Gauide) によると、 1848 年 1 月までに、ロンドン時間を採用した鉄道に含まれたものは ロンドン&サウス・ウェスタン鉄道 (London and South Western), ミッドランド鉄道, チェスター&バーケンヘッド線 (Chester and Birkenhead), ランカスター&カーライル鉄道 (Lancaster and Carlisle), イースト・ランカシャー (East Lancashire) そしてヨーク&ノース・ミッドランド (York and North Midland) であった。

報告されていることによると、 1855 年までに、町と市の 98% は GMT に転換した。 一方で、すべての鉄道会社が地方の要人を確信させて、容赦のない抵抗なしに、 公共の建物の時計を同列にさせたわけではなかった。 1844 年までに、 ブリストル&エクセター鉄道 (Bristol and Exeter Railway) はロンドン時間を使用した。 エクセターと ブリストルの両方の公共時計は地方時で動作したが、第 2 の分針で ロンドン時間を表示し、別の分針はそれぞれ 14 分及び 10 分早かった。 エクセターでこの状況が起きたのは、 エクセター大聖堂の首席司祭が 鉄道会社に譲歩することに不本意で、 大聖堂の時計が市の主要な計時装置であったからである。 同様に 1822 年に設置されたブリストル取引所の時計は第 2 の分針を追加した。 ブリストルは 1852 年 9 月まで、もっぱら鉄道時間を認めなかった。 更に 8 年がたち、電信の到来があって始めて、鉄道時間が ウェスト・カントリーの これらの町などで認められた唯一の時間となった。 このような町には、 バース, ダベンポート (Davenport) そして プリマスが含まれた。 自分の立場を固守した別の町に オクスフォードがあり、 ここでは クライスト・チャーチのトム・タワー (Tom Tower) の 大時計に 2 つの分針があった。

グレート・ブリテン全体の統一された標準時が法律の地位を達成するのは 1880 年 8 月 2 日 までなく、この時 「1880 年の制定法 (時刻の定義)」 (Statutes (Definition of Time) Act) が王室の同意を得た。 1950 年代の遅くまで、 イギリス国鉄の西部地区 (Western Region of British Railways) には午前 11:00 時に、すべての 信号扱い所 (signal box) の入念な電話の儀式があり、 時計を パディントン駅のものと同期した。

米国の鉄道で、時刻を体系化する方法に変化をもたらした最初の報告された事故は、 1853 年 8 月にニュー・イングランドで起きた「バレー・フォールズ (Valley Falls) の列車衝突」であった。 同じ軌道上を互いに近づく 2 編成の列車が正面衝突した。 車掌が時計に異なる時刻を設定し、14 名の乗客が死亡した。 この事故のまもなく後に、鉄道時刻表をニュー・イングランドで調整した。 無数の他の衝突により「一般時刻協議会」 (General Time Convention) ―― 時刻表に合意するための鉄道会社の委員会 ―― を設置することになった。

1870 年に、チャールズ F. ダウド (Charles F. Dowd) ―― 彼は鉄道運動や民政権限 (civil authority) と無関連 ―― は「一つの国内鉄道時間システム」 (A System of National Times for Railroad) を提案し、 鉄道には単一の時刻であるが、各町の地方時保持が伴っていた。 これは鉄道支配人の好意を受けなかったが、 1881 年に、彼らはウィリアム・フレデリック・アレン (William Frederick Allen) ―― 「一般時刻協議会」の書記、且つ 「旅行者の鉄道公式ガイド」(Traveller's Official Guide to the Railways) の管理エディター ―― が調査したアイデアに同意した。 彼が提案したことは、50 個の異なる鉄道時間を 5 個の 時間帯 (time zone) で交換することであった。 彼がまもなく説得したのは、鉄道管理者と、幾つかの鉄道駅のある市を運営する政治家で、 彼のより単純な提案 ―― 時間帯を市の鉄道駅に揃えること ―― の迅速な採用が彼らの利益となることであった。 こうすることで、彼らは異なる州の議員と海軍機関 ―― どちらも地方時間維持を好んだ ―― のもっと経費がかかり面倒な、 手配の強制を回避した。

最後に至るまで鉄道時間の強制に対して、多くの小さな町と市が反対を表明した。 例えばインディアナポリス (Indianapolis) では 1883 年 11 月 17 日の日刊の「センチネル紙」 (Sentinel) の報告が抗議したことは、 「人々は鉄道時間で、食事、睡眠、仕事をして、... そして結婚」しなければならないことであった、 しかしながら、ほとんど全ての鉄道会社、大半の市、そして 影響力のある天文台 (例えばエール (Yale), ハーバード (Harvard) など) の支援で、 この協力的アプローチにより 1883 年 11 月 18 日正午に標準鉄道時間が導入された。 意見の一致が持続し、1918 年になってようやく連邦法に組み込まれた。

フランスは 1891 年にパリ平均時を標準国内時刻として採用した。 フランスは鉄道駅内の時計と時刻表を 5 分遅く設定し、旅行客が列車に乗り遅れずに到着できるようにした。 もっとも鉄道駅外壁の時計はパリ平均時を表示さえしていた。 1911 年に、フランスはパリ平均時を 9 分 11 秒遅くして、 グリニッジのことを言及せずに、グリニッジ平均時と同等になるようにした。 同時に遅い鉄道駅の時計は取り除かれた。

ドイツでは時刻の標準化は 1870 年代に議論され始めた。 北ドイツの鉄道 (North German railways) はすでに、1874 年にベルリン時に規制されていた。 しかしながら、1893 年 4 月 1 日になって始めて、ドイツ帝国により 「一様な時刻計算の導入」に関する法律が制定され、これにより、すべての鉄道が操業し、 そして社会, 産業, そして市民活動のすべての側面も、これにより、これ以後厳格に規制された。

イタリアが 1 つの国として新しく統一されたのは、 1866 年 12 月 12 日に冬が開始した時で、 トリノ (Turin), ヴェローナ (Verona), フィレンツェ (Florence), ローマ (Rome), ナポリ (Naples) そして パレルモ (Palermo) を 中心とする鉄道の時刻表がローマの時刻に同期した時であった。 ローマは 1870 年まで、少なくとも名目上フランスの軍事制御下のまゝであったが、 国の中心と見なされた。 単一の鉄道時間の採用に付け加え、民政と商用目的のためにますます標準化された。 ミラノ (Milan) がすぐに同列になり、 トリノ (Turin) と ボローニャ (Bologna) は 1867 年 1 月 1 日、 ヴェネツィア (Venice) は 1880 年 5 月 1 日、 そして カリャリ (Cagliari) は 1886 年に同列になった。

アイルランドとフランスはグリニッジ時間の公的採用をしないことを決定した唯一の国で、 当時の政治的過敏さを反映した。 ダブリン平均時はロンドン時間の 25 分後に設定された。 もっとも 1911 年 10 月に国際標準時と同列になり、この時、 夏時間が終了して、大半の鉄道の時計は 1 時間ではなく、 35 分で調節された。 ほんのわずかな変化が、 ベルファスト, バンガーのような アルスターの鉄道駅にあった。 ここでは時計は同じ盤面でダブリン平均時 (アイルランド島の鉄道時間) と ベルファスト時間 (地方時間) ―― グリニッジ時間の 32 分 39 秒遅れ ―― を表示した。

「オランダ鉄道」 (Netherlands Railway) の時間は、1909 年まで GMT に基づき、 この時、国は標準時として「アムステルダム時間」―― GMT より 19 分進む ―― を採用した。 これは 1940 年まで存続し、この時ナチのオランダ征服で、 ドイツ時間に移行し、これが標準となって継続した。

幾つかの私有鉄道が建設されたが、スウェーデンの公的鉄道の建設は大半のヨーロッパの国々よりも後になり、 建設経費と強力な海運業の所有者からの抵抗の懸念から遅延した。 鉄道時間は 1862 年に開通した ストックホルム (Stockholm) と ヨーテボリ (Gothenburg) の間の主要鉄道で導入された。 時刻表は、この鉄道の最西端のヨーテボリの太陽時間に基づいていた。 その結果、地方時間に従う乗客とビジネス客は列車の前に駅に着いた。 1879 年 1 月 1 日に、国内標準時がスウェーデン全体に導入された。 この時間はグリニッジ平均時より 1 時間進んでいた。

2018 年 8 月 1 日まで、ロシアには分離した 1 つの鉄道時間があった、 これの意味したことはロシアの鉄道の時刻表と切符は地方時間にかかわらず、 モスクワ時間に従った。 2018 年 8 月 1 日から、各駅は地方時間を使用している。

インドの鉄道は、 ムンバイ (Mumbai, 昔のボンベイ (Bombay))、 コルカタ (Kolkata, 昔のカルカッタ (Calcutta))、 ラホール (Lahore)、 そして チェンナイ (Chennai, 昔のマドラス (Madras)) から ルートが外に急速に拡大すると、 異なる地方時と争わなければならなかった。 1860 年代の終わりにかけて、鉄道網がつながるにつれ 状況は更に混乱することになった。 1870 年に、問題発生を克服するために、 チェンナイ (マドラス) の時間が、すべての鉄道に採用された。 2 つの理由からであった : チェンナイの経度はコルカタとムンバイの経度のほゞ中間であることと、 チェンナイの天文台は電信サービスを運営しており、 これは同じ時報システム (time-signal system) を経由して、駅時刻を同期させることに 使用できるからで、このシステムは 1852 年に鉄道時間を規制するために、 始めて ブリテンで使用された。 マドラス時間は ニューマン (Newman) の 「インドのブラッドショー時刻表」 (Indian Bradshaw Timetables) で使用されて世に広まった。

英国では鉄道時間は急速に国中で採用され、まもなく標準時に進化したが、 英国とは違いインドは国がもっと大きく、ムンバイと コルカタが享受した自治により、 どちらの長も、20 世紀になっても地方時間を保持する結果となった。 19 世紀の残余期間には、マドラス時間が鉄道全てで使用され続けた。

子午線を基礎にするインドの時間帯が、少なくとも 1 つ、早くも 1884 年に提出された。 しかしながら 1906 年まで意見の一致が何もなく、この時、 プラヤーグラージ (Allahabad, アラーハーバード) に基礎を置く単一の時間帯が設置されて 標準時が導入された。鉄道はこれと同列になった。 これにもかかわらず、コルカタは 1948 年まで、自分の時間を保持し、それほどではないが、 ムンバイは 1955 年まで非公式にこれを継続した。

1904 年に、日露戦争 (Russio-Japanese War) の最中に、Chosen Keifu Railway ―― 私有会社 ―― は鉄道時間として、朝鮮の伝統的時間 (UTC +08:28) の代わりに日本の中央標準時 (Japan Central Standard Time) を導入した。 1908 年に、 京釜線 (Chosen Keibu Railway) は新しい朝鮮標準時 (Korean standar time) (UTC +08:30) を採用した。