ジャック・アーチ (Jack arch)

ジャック・アーチ はメイソンリー (masonry, 石造り or レンガ造り) の建設の構造要素で、メイソンリーの開口部を支えるものである。別の名称は「平坦アーチ」 (flat arch)、あるいは「直線アーチ」 (straight arch) である。

訳注

「すべての技術の百科全書」(Lexikon der gesamten Technik) はドイツ語で書かれ、建築、技術、製造技術の百科全書で、 Otto Lueger によって書かれ、1894 年に最初に出版された。

通常のアーチと違い、ジャック・アーチは形が半円でない。この代わりに、これらは外形 (profile) が平坦で、リンテル (lintel、横木) と同じ状況で使用される。リンテルは曲げの力にさらされるが、これとは違い、ジャック・アーチは楔形に切断あるいは形成した個々のメイソンリーの要素から構成され、通常のアーチと同様にメイソンリーの圧縮力を効率よく吸収する。通常のアーチと同様に、両側にメイソンリーの塊が必要で、これによってジャック・アーチで形成される多大な横方向の力を吸収する。

ジャック・アーチの利点は個々に処理できる比較的小さな資材の部品から構成できることで、必然的に一枚岩である必要があるリンテルとは対比される。リンテルは他の方法で補強しない限りは、 (開口部より) 大きくしなければならない。

小規模なレンガ計画では、ジャック・アーチは適当な大きさの火で焼いた粘土のリンテルから鋸で切り出され、野外の鋸で切断した形よりも、もっと正確で、一貫性のある接合部を与える。

装飾的パターンと要素をジャック・アーチに組み込むための多大な余地がある。キー・ストーン (Keystone)、階段状あるいはアーチ状の上部の形と、多色、あるいは対比する色と資材をすべて使用して、望みの効果を作ることができる。

最も初期のジャック・アーチの一つは、マルディン (Mardin) の近くの東トルコの Deyrü'z-Zafaran Monastery [訳注：別名 Saffron Monastery] にある。礼拝堂のフロアー (そして、地下室 (crypt) の天井) はジャック・アーチで造られ、紀元前に作られたものと言われている。


ジャック・アーチと上方に軽減アーチを付けたジャック・アーチ、 Lexikon der gesamten Technik に描画	マルディン (Mardin) のジャック・アーチ、地下室の下から