ハミルトン給水場 (Hamilton Waterworks)

ハミルトン給水場 (Hamilton Waterworks) は ハミルトン給水揚水場 (Hamilton Waterworks Pumping station) とも呼ばれ、カナダの「国の歴史遺跡」 (National Historic Site) で、オンタリオ州ハミルトンにある。これはビクトリア様式で建設された産業給水場 (industrial water works) の構造で、カナダのこのような構造で、「建築学的に、機能的に大体は無傷である」稀な実例である。現在は 蒸気と技術の博物館 を収容するのに使用されている。

建設は 1856 年に始まり、工事は地元の石工のジョージ・ワージントン (George Worthington) と契約を結び、 1859 年までに完成した。 1860 年 9 月 18 日にエドワード7世 (Edward VII) による開所式があり、彼は当時ウェールズ皇太子 (Prince of Wales) であり、カナダへの 2 ヵ月の王室訪問の最中であった。これは 1977 年 11 月 17 日に公式に歴史遺産 (heritage site) に指定され、 2007 年 6 月 12 日にカナダの「国の歴史遺跡」 (National Historic Site of Canada) に登録された。

1833 年に、ハミルトンの給水システムは 5 つの井戸から構成されていた。消防と水に関しての常設委員会への 1853 年 12 月の報告は、ウィリアム・ホジンズ (William Hodgins) によって準備され、アンシェスター川 (Ancester Creek) を水源として使用する公的給水システムを提案し、潜在的に汚染されているバーリントン湾 (Burlington Bay) から汲み上げる、あるいは給水することを避けた。委員会はこの提案を退けて、1854 年 9 月に表明したことは 40,000 名 -- 市のおよそ 4 倍の人口 -- の住民に適切な給水システムのデザインの公的なコンテストであった。 £100 の賞金が提供された。これは市におけるコレラの疫病により促されたもので、これにより 1854 年の夏に 552 名の人が亡くなっていた。

トーマス・キーファー (Thomas Keefer) が採用され、提案を吟味することになり、 1854 年 12 月 23 日に、アメリカの技術者であるサミュエル・マッケルロイ (Samuel McElroy) が勝利候補であることを表明した。彼のデザインが含んでいたことは、バーリントン・ハイツ (Burlington Heights) の揚水所と、ヨーク・ストリート (York Street) とダンダン・ストリート (Dundurn Street) の交差点の近くの貯水池であった。委員会はこの揚水所を建設しないことを選択した、これは部分的にはキーファー (Keefer) が助長したからで、彼の報告はバーリントン湾 (Burlington Bay) からの水の "奇妙な" 性質を記録していた。 1857 年 1 月に、ハミルトン市議会 (Hamilton City Council) はキーファー (Keefer) を選んで、オンタリオ湖から水を汲み上げる公的な給水システムを建設するための主任技術者にした。

泉がゴア・パーク (Gore Park) に設置され、市の住民に利用可能となる純粋な水を思い起こさせた。

この複合施設はグロウブ・パーク (Globe Park) に隣接し、クイーン・エリザベス・ウェイ (Queen Elizabeth Way,[訳注：高速道路の名称]) が東にあって、ウッドワード・アベニュー (Woodward Avenue) が西にあった。この場所には幾つかの構成要素があった。揚水棟 (pump house) は蒸気圧を使用して、オンタリオ湖からナイアガラ急斜面の上にある貯水池まで、水を 3 km (1.9 マイル) 汲み上げ、ボイラー棟は蒸気を生成し、煙突は煙を排気し、木造小屋は燃料を貯蔵し、始めは木材で、後に石炭になった。水はパイプを通して、重力により、市の建物に配布した。

イタリア風の揚水棟の建物の内部は元々の機械、フロアー、そして手すりを保持している。 2 台のウルフ複合エンジン (Woolf Compound Engine) が元々設置され、各々は凝縮回転ビーム・エンジン (Condensing rotative beam engine) で、100 馬力を生成した。各 90 トン、14 m (46 フィート) のエンジンの周りに、巨大な石の構造がエンジンを支えるために建設された。これらの蒸気エンジンの 1 つはなお作動し、現在は電動モーターを動力にしている。

150 フィート (46 m) の煙突は大きな石の基礎の上にレンガで建設され、基礎は 2 つの形式の石から構成されている。黄色-茶色の「生物擾乱された (bioturbated) エラモサ (Eramosa) ドロマイト (dolomite)」と灰色の「渦巻き (Whirlpool) 斜交成層 (cross-bedding)」の両方と積層砂岩 (laminated sandstone) はストーニー・クリーク (Stoney Creek) から切り出された。

訳注

生物擾乱された (bioturbated) = 地層の堆積後に生物活動によりじょうらんされた
エラモサ (Eramosa) = シルル紀の層位学的な単位でナイアガラ急斜面と西ニューヨーク州に沿って露頭

カナダの歴史遺跡 (National Historic Site of Canada)

1977 年 11 月 17 日に、ハミルトン給水場は公式にカナダの国の歴史遺跡 (National Historic Site of Canada) に認められた。元々の揚水場に付け加え、この場所にはボイラー棟、煙突、小屋があり、どれも 1859 年に建設され、第二の小屋が 1910 年にワージントン (Worthington) により建設され、1913 年に蒸気ポンプと揚水棟 (pumphouse) が建設され、 1915 年には大工小屋が建設され、バルブとバルブ室が 1900 年代を通じて建設された。

建物の外部はテレビ・ショーのマードック・ミステリー (Murdoch Mysteries) の中で、トロントの死体安置所の設定で呼び物にされた。