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Louisiana Purchase - Wikipedia

ルイジアナ買収 (仏語： Vente de la Louisiane 'ルイジアナ販売') とは 1803 年に米国がフランスから ルイジアナ領地 (territory of Lousiana) を獲得したことであった。 見返りに、米国は 1500万ドル -- あるいは一平方マイル当たり 18 ドル -- を支払って、 全部で 828,000 平方マイル (2,140,000 km²、 530,000,000 エイカー) を名目的に獲得した。 しかしながら、フランスはこの地域の小さな部分をコントロールしたのみで、 ここの大半はアメリカ・インディアンが住んでいた； この地域の大半で米国が買収したのは、 他の植民地大国を排除して、条約あるいは征服により、 インディアンの土地を "先に手に入れる" 権利 ("preemptive" right) であった。 土地に関してのその後のすべての条約と資金的な決着の全経費は 26 億ドルほどと見積もられている。

米国の地図、ルイジアナ買収を強調表示 (白)

フランス王国がルイジアナ領地をコントロールしたのは、 1699 年から 1762 年にスペインに割譲するまでであった。 フランス共和国の 第一執政 (First Consul) であるナポレオンは、 北米におけるフランスの植民地帝国を再建するためのより広いプロジェクトの一部分として ルイジアナの 所有権を再度手に入れた。 しかしながら、 サン＝ドマングの反乱 (revolt in Saint-Domingue) を鎮めることに失敗したことと、 英国との新たな戦争の展望から、ナポレオンはルイジアナを米国に売却する考えに駆り立てられた。 ルイジアナの獲得は トーマス・ジェファーソン大統領 (Thomas Jefferson) の長期の目的で、 彼はとりわけミシシッピ川の港である ニューオーリンズ (New Orleans) のコントロールを得ることに熱意を持っていた。 ジェファーソンは ジェームズ・モンロー (James Monroe) と ロバート・リビングストン (Robert R. Livingston) にニューオーリンズ (New Orleans) 買収の 仕事を託した。 米国の代表は、フランスの財務大臣 (Treasury Minister) の フランソワ・バルべ=マルボワ (François Barbé-Marbois) (彼はナポレオンのために行動した) と 交渉し、 ルイジアナ全領土が提供されると、これを買収することに直ちに同意した。 ジェファーソン (Jefferson) と国務長官 (Secretary of State) の ジェームズ・マディソン (James Madison) は フェデラリスト・パーティ (Federalist Party、 連邦党) の反対を克服して、議会を説得し、 ルイジアナ買収を批准して資金繰りさせた。

ルイジアナ買収は米国の統治権 (sovereignty) をミシシッピ川を越えて拡張し、国の名目的大きさを 2 倍近くにした。 買収には現在の米国 15 州 (state) とカナダ 2 州 (province) の土地が含まれ、 含まれたのは： アーカンソー (Arkansas), ミズーリ (Missouri), アイオワ (Iowa), オクラホマ (Oklahoma), カンザス (Kansas), と ネブラスカ (Nebraska) の全部； そして ノースダコタ (North Dakota) と サウスダコタ (South Dakota) の多くの部分； そして 大陸分水嶺の東の部分の モンタナ (Montana), ワイオミング (Wyoming), と コロラド (Colorado)； ミシシッピ川の西部分の ミネソタ (Minnesota); ニューメキシコ (New Mexico) の北東部分; テキサス (Texas) の北の部分; ミシシッピ川西のニューオーリンズ (New Orleans) と現在の ルイジアナ州 (Louisiana) の一部分; アルバータ (Alberta) と サスカチュワン (Saskatchewan) の内部の土地の小さな部分であった。 買収時に、ルイジアナ領地 (territory of Louisiana) の原住民以外の人口はおよそ 60,000 人で、 このうち半数はアフリカ奴隷であった。 買収の西の境界は 1819 年のスペインとの アダムズ＝オニス条約 (Adams–Onís) により、後で決着し、 一方買収の北の境界は英国との 1818 年の条約 (Treaty of 1818) で調節した。

18 世紀の後半を通じて、ルイジアナはヨーロッパ政治のチェス盤の ポーン (pawn) であった。 これはフランスによってコントロールされ、フランスはミシシッピ川と他の大河川の流域に小さな開拓地が少々あった。 フランスは 1762 年のフォンテーヌブロー秘密条約 (Fontaine bleau) で、この領地をスペインに割譲した。 七年戦争におけるフランスの敗北後にスペインはミシシッピ川西の領地のコントロールを手に入れ、 英国はミシシッピ川東の領地を受領した。

米国の独立後、アメリカ人はミシシッピ川東とニューオーリンズ北の地域をコントロールした。 アメリカ人の主な問題は海に至るミシシッピ川の自由通行であった。 土地が次第にアメリカ移民により開拓されるにつれ、 多くのアメリカ人は、ジェファーソン (Jefferson) を含め、領地が少しづつ ("piece by piece") 手に入ると想定した。 弱体化したスペインから、力による別の強奪の危険性はこの政策の深刻な再考 ("profound reconsideration") を 必要とした。 ニューオーリンズはアパラチア山脈西の米国の地域を出入りする農産物の運送にすでに重要であった。 1795 年 10 月 27 日のスペインと調印した ピンクニー条約 (Pinchney's Treaty) はアメリカ商人にニューオリンズにおける 保管権利が与えられ、輸出用の物資を貯蔵するために港を使用することが許可された。 この条約により、ミシシッピ川全体を航行するアメリカ人の権利も認められ、 これは西部領地 (western territories) の成長する貿易にとり不可欠になった。

1804 年のルイジアナの地図、西側がロッキー山脈で囲まれている。

1798 年に、スペインはアメリカ人がニューオーリンズの使用を可能にする条約を無効にして、 アメリカ人を随分動顛させた。1801 年にスペインの総督である フアン・マヌエル・デ・サルセド (Don Juan Manuel de Salcedo) はカーサ・カルヴォ侯爵 (Marquess of Casa Calvo) から引継ぎ、 物資を貯蔵するアメリカ人の権利を復活した。 しかしながら、1800 年にスペインはナポレオンの秘密の 第三次サン・イルデフォンソ条約 (Third Treaty of San Ildefonso) の一部分として、ルイジアナ領地 (Louisiana territory) の領有権をフランスに戻した。 領地は名目的にスペイン領のまゝであったが、 1803 年 11 月 30 日にフランス領に移管された。 これは 1803 年 12 月 20 日に米国に領地を公式に割譲するたった 3 週間前の事であった。

1800 年にスペインがフランスに領地を移管したことは大体気づかれなかったが、 そのうちフランスの侵略の恐怖がアメリカに広がり、 この時、 1801 年にナポレオンはニューオーリンズを確保するために軍隊を派遣した。 南部人 (southerner) が恐れたことは、ナポレオンがルイジアナのすべての 奴隷を解放し、これがここ以外の奴隷の蜂起を引き起こすことであった。 ジェファーソンは節度をすすめたが、 フェデラリスト (Federalist) はこれをジェファーソンに対抗するために使用し、 フランス人に対する敵意を呼び求めた。 これを切り崩すために、ジェファーソンは英国との同盟で恐喝した、もっとも この方向では関係が不安定になった。 1801 年に、ジェファーソンはフランスがサン＝ドマング (Saint-Domingue、現在のハイチ (Haiti)) を取り戻す計画を 支持した。 ここは奴隷の反乱により トゥーサン・ルーヴェルチュール (Toussaint Louverture) のコントロール下にあった。 ジェファーソンはニューオーリンズ買収の権限を持たせて、 リビングストン (Livingston) を 1801 年にパリに派遣した。

1802 年 1 月に、フランスは シャルル・ルクレール将軍 (Charles Leclerc) をサン＝ドマング (Saint-Domingue) 遠征に派遣して、 植民地におけるフランスのコントロールを再主張させようとした。 ここはルーヴェルチュール (Louverture) の下で基本的に自治領 (autonomous) となっていた。 ルーヴェルチュール (Louverture) はスペイン帝国と英国帝国による侵略をかわしたが、島における彼自身の権力も固め始めた。 革命以前に、フランスは奴隷たちの生命と自由の犠牲の下に、 サン＝ドマング (St. Domingue) から巨大な富を得ていた。 ナポレオンはフランス復元のためにその収入と生産性を望んだ。 北米に帝国再建を目指すフランスの行動とその意図に警戒し、 ジェファーソンはカリブ海との関連で中立を宣言し、フランスに対して信用などの援助を拒絶したが、 戦争禁制品が反乱軍に手渡されることを可能にして、 フランスが足場を再確保することを防いだ。

1803 年にフランス貴族の ピエール＝サミュエル・デュ・ポン・ド・ヌムール (Pierre Samuel du Pont de Nemours) はジェファーソンの 要請の下にフランスとの交渉を助け始めた。 デュ・ポン (Du Pont) はその当時米国に住み、密接な関係があったのは： ジェファーソンそして更にはフランスの著名な政治家達であった。 彼はフランス訪問中に、ジェファーソンのために、ナポレオンとの裏口外交 (back-channel diplomacy) に従事し、 北米における米国とナポレオンの間の可能性のある紛争の危険を除くための方法として、 より大きなルイジアナ買収の考えを始めた。

この時を通して、ジェファーソンは北米におけるナポレオンの軍事行動と 意図に関して最新の情報を持っていた。 彼の進展する戦略にはリビングストン (Livingston) には伏せた情報の幾つかをデュ・ポン (du Pont) に 与えたことがあった。 フランスとの起こり得る戦争を避けることに必死となり、 ジェファーソンは 1803 年にパリに ジェームズ・モンロー (James Monroe) を派遣して、 調停を交渉させ、これに失敗すればロンドンに赴かせて同盟を交渉させる指示を与えた。 スペインはルイジアナをフランスに移管する条約の実施を 1802 年末まで遅らせ、 これにより米国人の敵意が蓄積した。 又、フロリダをフランスに割譲することをスペインが拒否することの意味することはルイジアナは 防御できないことであった。 モンロー (Monroe) はそれ以前に最後の外交使命で、フランスから公式に追放され、彼を再び派遣する選択は 意識が重大であることを伝えた。

ルイジアナを所有するためには、ナポレオンは英国との平和が必要であった。 そうでなければ、ルイジアナは英国の簡単な餌食になり、米国の餌食にさえなり得た。 しかし 1803 年始めにはフランスと英国の間の継続する戦争は避けられないように思われた。 1803 年 3 月 11 日にナポレオンは英国侵略の用意を始めた。

サン＝ドマング (Saint-Domingue) では、 ルクレール (Leclerc) の軍隊はルーヴェルチュール (Louverture) を捕虜にしたが、 彼らの遠征は激しい抵抗と疫病の前にまもなくよろめいた。 1803 年始めまでにナポレオンはフランスの新世界帝国 (New World) を再建する計画を見捨てる決意をした。 カリブ海の砂糖植民地からの十分な収入がなければ、ルイジアナは彼には何の価値もなかった。 スペインはまだなお、ルイジアナのフランスへの移管を完了しておらず、フランスと英国の 間の戦争が切迫していた。 スペインに対する怒りと、無用でありながら必ずしも自分のものでないものを売却する 比類のない機会から、ナポレオンは領地全体を売却する決定をした。

外務大臣の タレーラン (Talleyrand) は計画に反対したが、1803 年 4 月 10 日にナポレオンが財務大臣 (Treasury Minister) の フランソワ・バルべ=マルボワ (François Barbé-Marbois) に伝達したことは、 彼はルイジアナ領地全体を米国に売却することを考えていることであった。 1803 年 4 月 11 日にモンロー (Monroe) の到着のわずか数日前に、 バルべ=マルボワ (Barbé-Marbois) はリビングストン (Livingston) にルイジアナ全てを $1500万 で提供した。 これは平均して 1 エーカーあたり 3 セント (7セント/ヘクタール) より安かった。 全額の $1500万 は 2020 年のドルでおよそ $34500万 に等価、 あるいは 1 エーカーあたり 65 セントである。 米国の代表はニューオーリンズとその周辺に $1000万 を支払う用意があったが、 はるかに大きな領地が $1500万 で提供された時に唖然とした。 ジェファーソンはリビングストン (Livingston) にニューオーリンズの買収のみを認可していた。 しかしながら、リビングストン (Livingston) が確信を持ったことは、米国がこの申し入れを受諾することであった。

米国人が考えたことはナポレオンがいつ何時でも申し入れを撤回して 米国によるニューオーリンズの獲得を防止することであった。 そこで、1803 年 4 月 30 日にパリのオテル・チュブフ (Hôtel Tubeuf、ホテル・チュブフ) で ルイジアナ買収条約 (Louisiana Purchase Treaty) に署名した。 署名したのは、ロバート・リビングストン (Robert Livingston)、 ジェームズ・モンロー (James Monroe)、そして フランソワ・バルべ=マルボワ (François Barbé-Marbois) であった。 書名後にリビングストン (Livingston) は述べた有名なことは、 「我々は長く生きてきたが、これは全生涯でもっとも高貴な仕事である .... この日から、米国は第一級の大国の仲間になる」 ( "We have lived long, but this is the noblest work of our whole lives... From this day the United States take their place among the powers of the first rank.") 1803 年 7 月 4 日に条約が表明されたが、 文書は 7 月 14 日までに ワシントン DC に到着しなかった。 ルイジアナ領地 (Louisiana Territory) は広大で、 南のメキシコ湾から北の ルパート・ランド (Rupert's Land、ルパートの土地) まで及び、 東のミシシッピ川から西のロッキー山脈にまで及ぶ。 この領地を手に入れて米国の大きさは 2 倍になった。

1803 年 11 月に、フランスはサン＝ドマング (Saint-Domingue) の生き延びた 7000 名の部隊を退却し (部隊の 2/3 以上がここで死亡した)、西半球における野望をあきらめた。 1804 年にハイチ (Haiti) は独立を宣言した； しかし国内における奴隷の反乱を恐れ、 ジェファーソン (Jefferson) と議会は新しい共和国 -- 西半球では 2 番目 -- を承認することを拒否し、 この国との貿易を禁止した (trade embargo)。 これと、後のフランスによるハイチ (Haiti) の再征服の主張は、英国により助長され、 ハイチ (Haiti) は何十年もの戦争から回復することがずっと困難になった。

ルイジアナ買収の元々の条約	セントルイス万国博覧会 (Louisiana Purchase Exposition、1904 年) のためにフォード P. カイザー (Ford P. Kaiser) が描いたルイジアナの移管

モンロー (Monroe) とリビングストン (Livingstone) が買収のニュースと共にフランスから帰還し、 買収の公式表明が 1803 年 7 月 4 日になされた。 これにより、ジェファーソン (Jefferson) と彼の内閣は条約を批准するまでの 10 月までに 買収の合憲性を議論した。 ジェファーソン (Jefferson) は買収を正当化するために憲法の修正 (amendment) を考えた； しかし彼の内閣は彼に別の事を確信させた。 ジェファーソン (Jefferson) は買収を次のように合理化することで正当化した： "これは後見人の事例であり、被後見人の資金を重要な隣接する領地に投資して、 彼が大人になった時にお前のためにこれをした、と言う" ジェファーソン (Jefferson) は条約を批准する前に結論したことは、 買収は米国の市民を守るためであり、従って合憲である。

ヘンリー・アダムズ (Henry Adams) 等の歴史家が議論したことは、 ジェファーソン (Jefferson) は 憲法に関して厳密な解釈者としての彼の立場から ルイジアナ買収で偽善的に行動したことである、 というのは彼は買収を正当化するために、この文書の意図を拡張したからである。 ルイジアナ領地のアメリカの買収は国内の反対なしには達成されなかった。 ジェファーソンの哲学的一貫性は彼の憲法解釈の理由から疑問であった。 多くの人達が信じたことは、 彼と他の人達 -- これにジェームズ・マディソン (James Madison) が含まれる -- が実行しようとしたことは、 彼らが アレクサンダー・ハミルトン (Alexander Hamilton) と共に反論しようとしたことである。 フェデラリスト (Federalist) は買収に強く反対し、ナポレオンとの密接な結びつきよりも、 英国との密接な関係に賛同した。

フェデラリスト (Federalist) とジェファーソン (Jeffersonians) は共に買収の合憲性を懸念した。 下院 (House of Representative) の多くのメンバーは買収に反対した。 多数派の指導者の ジョン・ランドルフ (John Randolph) は反対を統率した。 下院は買収要請を否定する投票を呼び求めたが、 2 票差で敗北した： 59 - 57。 フェデラリスト (Federalist) は土地がフランスではなく、スペインに所属していることを示そうとさえした、 しかし利用可能な記録は逆を示した。 フェデラリスト (Federalist) は大西洋海岸地帯の州の力が西部の新しい市民によって、 脅かされることを恐れた、 彼らの政治的、経済的な優先事項がニューイングランドの商人と銀行家のものと衝突せざるを得ないからであった。 新たな領土から作られた奴隷を使用する州の数が増えると、北部と南部の間の 分裂が悪化する懸念もあった。 マサチューセッツ州上院議員の ティモシー・ピカリング (Timothy Pickering) により率いられた 北部フェデラリスト (Northern Federalist) のグループは 分離北部連邦 (separate northern confederacy) の考えを探求する所まで進めた。

別の懸念は、条約が要求するように、ニューオーリンズに住んでいる フランス人、スペイン人、そして自由黒人に市民権を与えることが適切であるか否かであった。 議会の批評家が心配したことは、これらの民主主義に不慣れな"外国人"は市民になることができるか、 あるいはそうさせるべきか、であった。 米国政府は彼らを市民にして税を徴収するにはイングランドの コモン・ロー (commmon law、慣習法) を使用しなければならなかった。

スペインは 2 つの理由から移管に抗議した。 第一に、フランスはメモ (a note) で、 ルイジアナを第三者に 譲渡しないことを約束した、 第二に、フランスは エトルリア国王 (King of Etruria) をすべてのヨーロッパの国々によって承認させることにより、 第三次サン・イルデフォンソ条約 (Third Treaty of San Ildefonso) を履行していないこと。 フランス政府の回答によると、これらの異議は根拠がない。 というのはルイジアナを譲渡しないという約束は、 サン・イルデフォンソ (San Ildefonson) の条約自身の中にはなく、従って法的な力がない。 そして、スペイン政府は 1802 年 10 月にルイジアナを移管することを命令し、 これは英国が アミアンの和約 (Treaty of Amiens) で エトルリア国王 (King of Etruria) を承認しなかったことを何ヵ月も知っていたのにもかかわらずであった。

ヘンリー・アダムズ (Henry Adams) が主張することによると： 「ルイジアナの米国への売却は三重に無効である； もしもこれがフランスの資産であればボナパルト (Bonaparte) は 護憲元老院 (French Chambers) の同意なしに譲渡するのは合憲ではない； もしもこれがスペインの資産であれば、彼は全くこれを譲渡できない； もしも、スペインが再利用 (reclamation) の権利があれば、彼の売却は価値がない。」 売却は無論、「価値がない」 訳ではなかった -- 米国は実際に所有したのだから。 それどころか、スペインの首相は米国にフランス政府との領土獲得を交渉することを認可し、これは彼らの利益にかなっていた。 スペインは 11 月 30 日にニューオーリンズの式典で領土をフランスに返却した。 これはフランスが米国当局者に手渡す 1 ヵ月前の事であった。

他の歴史家はジェファーソンの偽善と称するものに関する上の議論に反論して、断言したことは、 国家は 2 つの方法で境界を変更する： (1) 征服、(2) 国家間の同意、別の言葉では条約、である。 ルイジアナ買収は後者の条約である。 憲法は大統領が条約を交渉する権利 (Art. II, Sec 2) を明瞭に与えており、 これをジェファーソンが実施したまでである。

マディソン (Madison) (「憲法の父」) がジェファーソンに保障したことは、ルイジアナ買収は 憲法の厳密な解釈の中においてさえ良好である。 財務大臣 (Treasury Secretary) の アルバート・ギャラティン (Albert Gallatin) が付け加えることによると、 条約を交渉する権力が大統領に与えられているため、 条約による国の領土を広げる唯一の方法が、 もしもこれが憲法により明確に除外されていなければ (実際にそうなっていない), 大統領権限になり得ない。 ジェファーソンは、厳密な解釈者 (constructionist) として、 憲法の範囲内であるかを懸念することは正しいが、 これらの議論の力を感じ、 議会が条約を承認すれば喜んで 「満足して黙従する」 ("acquiesce with satisfaction") ことになった。 上院は条約を直ちに批准し、下院は同じ敏速さで必要とされた資金を認可し、 これは憲法に明示してある通りであった。 米国上院は条約の批准を勧告・同意し、採決は 10 月 20 日に 24：7 であった。 翌日の 1803 年 10 月 21 日に、上院はジェファーソンが領地を所有して、一時的な軍事政権を 設立することを認可した。 10 月 31 日に制定された法律で、議会は 一時的な条項を作って、 地方民間政府 (local civil government) がフランス人とスペイン人の統治を継続し、 秩序を維持するために大統領が軍事力を使用することを認可した。 領地を探検し、地図を作る幾つかの任務も設定され、 最も有名なものはルイス・クラーク探検隊 (Lewis and Clark Expedition) であった。

ニューイングランドのフェデラリスト (New England Federalists) のルイジアナ買収への反対は主に経済的な私欲であり、 合憲性に関してのもっともな懸念ではなかったし、 フランスが実際にルイジアナを所有したか否か、 あるいは領地を処分したいと思えばスペインに売り戻すことが要求されるか否か、ではなかった。 更に多くの フェデラリスト (Federalist) はニューヨーク北部 (upstate New York) 及びニューイングランドの土地の投機家で、これらの土地を農民に売ることを望んであり、 もしもルイジアナ買収が実施されれば、農民はその代わりに西部に行くことになる。 彼らが更に恐れたことは： これにより西部の州が形成され、ここが共和政体 (Republican) となり、 ニューイングランドのフェデラリスト (New Engand Eederalist) の 政治力が希釈されることであった。

米国がフランスからルイジアナを買収することに、スペインが 後で反対した時に、マディソン (Madison) が応答したことは： アメリカは最初は資産の購入でスペインに近づいたが、 スペイン自身が告げたことは：アメリカは、領地に関してはフランスと処理する必要がある、とのことであった。

フランスは歴史的な植民地の首都であるニューオーリンズを 1803 年 12 月 20 日に Cabildo で引き渡し、 現在のジャクソン・スクエア (Jackson Square、ジャクソン広場) である プラザ・デ・アルマス (Plaza de Armas、武器広場 (逐語訳)、パレード広場 (意味)) で旗を掲揚する式典があった。 丁度 3 週間前の 1803 年 11 月 30 日に、スペイン当局者は正式に植民地とその統治を フランスに手渡した。

1804 年 3 月 9 日と 10 日に別の儀式がスリー・フラッグス・デイ (Three Flags Day、3 つの旗の日) として記念されて、 セント・ルイスで実施され、 アッパー・ルイジアナ (Upper Louisiana、ルイジアナ北部) の所有権が スペインからフランスに、次にフランスから米国に手渡された。 1804 年の 3 月 10 日から 9 月 30 日まで、 アッパー・ルイジアナ (upper Lousiana) は最初の民生司令官である エイモス・ スタッダード (Amos Stoddard) の下に軍事地区として監督された。 彼は戦争省 (War Department) により任命されていた。

1804 年 10 月 1 日に有効となったように、 買収した領地の組織化は： オーリンズ準州 (Territory of Orleans) (この大半はルイジアナ州になる)、 ルイジアナ地区 (District of Louisiana) -- これは一時的に インディアナ準州 (Indiana Territory) の総督と司法システムのコントロール下に置かれた -- になった。 翌年にルイジアナ地区 (District of Louisiana) は ルイジアナ準州 (Territory of Louisiana) に改名された。 ニューオーリンズ (New Orleans) はオーリンズ準州 (Orleans Territory) の 行政首都 (administrative capital) で、 セント・ルイス (St. Louis) はルイジアナ準州 (Louisiana Territory) の首都 (captal) であった。

1953 年の切手、署名の 150 周年 を記念。	ニューオーリンズの Place d'Armes (武器広場) で国旗掲揚、 ルイジアナ領地のアメリカへの移管を印す。1803 年 12 月 20 日、Thure de Thulstrup の絵画

アメリカ政府は頭金として $300万 を金 (gold) で支払い、 フランスに買収の支払いのための差額を債権で賄った。 この年の始めに ロンドンの フランシス・ベアリング社 (Francis Baring and Company) はロンドンにおける米国政府の公式の 銀行代理機関 (banking agent) となった。 この好意的な立場から、米国はベアリング社 (Baring) に取引の処理を依頼した。 フランシス・ベアリング (Francis Baring) の子息である アレグザンダー (Alexander) は当時パリにおり、交渉を助けた。 ベアリング社 (Baring) の別の利点はアムステルダムの ホープ社 (Hope and Company) と密接な関係であった。 2 つの銀行 (banking house) は共に働いて、買収を円滑にして裏書きした (facilitate and underwrite)。 第三次対仏大同盟 (War of the Third Coalition) -- これによりフランスは英国と戦争になる -- が、買収が始まるまでに始まったが、英国は取引を進展させた。 というのは敵のフランスよりも中立のアメリカが領地を所有する方が都合が良かったからである。

ナポレオンはできる限り速く資金を受け取りたかったため、 2 つの会社はアメリカの債権を受領して、金 (gold) をフランスに送った。 ナポレオンは計画した英国への侵入の資金繰りに資金を使用したが、これは実施されなかった。

ルイジアナの範囲に関してスペインと米国の間に議論がまもなく持ち上がった。 領地の境界は定義されなかった： 1762 年のフォンテーヌブロー条約 (Treaty of Fontainebleau) によってフランスからスペインに譲渡された時、 1801 年の 第三次サン・イルデフォンソ条約 (Third Treaty of San Ildefonso) によってフランスに再び譲渡されなおされた時、 あるいは ルイジアナ買収の条約で米国に譲渡された時の いずれの場合も境界は定義されなかった。

この買収は米国への幾つかの領土追加の 1 つであった。

米国の主張では、ルイジアナはミシシッピ川の集水域 (drainage basin) で、 ロッキー山脈の山頂 (crest) に至る西の部分全体と、 リオ・グランデ川 (Rio Grande) に至る南東に広がる土地と 西フロリダであった。 スペインが固執することによると、 ルイジアナはミシシッピ川の西側、ニューオーリンズ市とセント・ルイス市から構成されるのみであった。 論争は究極的に 1819 年の アダムズ＝オニス条約 (Adams–Onís Treaty) で解決され、 米国は西ではその主張したことの大半を手に入れた。

比較的狭いニュースペインのルイジアナ (Louisiana of New Spain) は キューバ総指揮官 (Captaincy General of Cuba) の管轄下の特別なプロビンス (Province、領域) であったが、 一方で西の広大な領域は 1803 年にはなお、内部州総司令官 (Commandancy General of the Provincias Internas) の一部分と見なされた。 ルイジアナ (Louisiana) はニュースペイン (New Spain) の内部プロビンスの 1 つとは決して見なされなかった。 もしも、領地がミシシッピ川の西側のすべての支流を含めば、 買収の北側の区間は同様にうまく定義されていない (ill-defined) 英国領 -- 英国領北米の ルパート・ランド (Rupert's Land、現在はカナダ領) -- に拡張された。 買収は元々北緯 50°の緯線のすぐ向こうまで延長していた。 しかしながら、49° の緯線の北の領土は (ミルク川 (Milk River) とポプラ―川 (Poplar River) の集水域を含め)、 英国に譲渡した、 これは 1818 年の 「英国・米国会議」 (Anglo-American Convention) における 49° の緯線南のレッド川盆地 (Red River Basin) の 部分と引き換えであった。

ルイジアナ買収の東の境界はミシシッピ川で、その水源から北緯 31° の緯線までである、 もっともミシシッピ川の水源はその当時は知られていなかった。 北緯 31° の緯線よりも下流の東の境界は不明であった。 米国はペルディード川 (Perdido River) までの土地を主張し、 スペインはフロリダ植民地 (Florida Colony) の境界はミシシッピ川のまゝであると主張した。 スペインとの アダムズ＝オニス条約 (Adams–Onís Treaty) は 1821 年に批准することで問題を解決した。 今日では 31° の緯線はフロリダ・パンハンドル (Florida Panhandle、フロリダ州西の突出部) の西半分の北の境界で、 ペルディード川 (Perdido) はフロリダの西の境界である。

西の境界は買収の時に論争があったため、ジェファーソン大統領は、 新領地の探検と地図作成のために 3 つの任務の計画を始めた。 3 つの任務はすべてミシシッピ川で始まった。 ルイス・クラーク探検隊 (Lewis and Clark Expedition、1804 年) はミズーリ川 (Missuouri River) を遡上し、 レッド川探検隊 (Red River Expedition、1806 年) はレッド川盆地 (Red River basin) を探検した。 パイク探検隊 (Pike Expedition、1806 年) もミズーリ川 (Missouri River) を遡上したが、南に向きを変えて、 アーカンソー川 (Arkansas River) の集水域を探検した。 探検家の地図と日記は交渉の最中の境界を定義する助けとなり、 アダムズ＝オニス条約 (Adams–Onís Treaty) につながり、これは西の境界を次のように設定した： サビーン川 (Sabine River) を北上して、メキシコ湾から 32° の緯線との交点まで、 レッド川 (Red River) まで真北に、 レッド川 (Red River) を遡上して 100° の経線まで、 アーカンソー川 (Arkansas River) まで北へ、 アーカンソー川 (Arkansas River) を遡上して源流まで、 北向きに 42° の経線まで、 西向きに以前の境界まで。

ルイジアナ準州 (Louisiana Territory) を統治することは、獲得するよりもずっと難しかった。 ここのヨーロッパ人は民族的にフランス人、スペイン人、そしてメキシコ人の子孫で、大体がカトリックであった； 付け加えると、奴隷にされたアフリカ人の多くの住民がおり、 最近到着したものの比率が高かった、というのはスペインは国際奴隷貿易を継続していたからである。 これは現在のルイジアナ州の地域でとりわけ事実であり、 ここには多くの有色人種の自由人がいた。 現在のアーカンソー州 (Arkansas) とミズーリ州 (Missouri) は共に 19 世紀始めに、すでに少々の奴隷所有者がいた。

この期間の最中に、ルイジアナ南部にはフランス語を話す難民農園主 -- 彼らは奴隷を連れて行く許可をもらっていた -- と他の難民の流入があり、サン＝ドマング (Saint-Domingue) における大きな奴隷の反乱から逃げてきた。 多くの南部の奴隷所有者は新しい領地の獲得により、 アメリカ人の所有する奴隷がサン＝ドマング (Saint-Domingue) の例にならって、反乱が触発されることを恐れた。 彼らが望んだことは米国政府が新たに獲得した領地で奴隷制を許可し、 従って、彼らが奴隷をここに連れてくることを支援し、彼らが新しい農業事業を手掛け、 更には将来の奴隷の反乱の脅威を少なくすることは言うまでもなかった。

ルイジアナ領地は統治で小さな部分に分割され、 各領地では南部の州と類似な奴隷制の法律を通過させたが、 それ以前のフランスとスペイン支配からの条項を組み込んでいた (例えば、スペインは 1769 年にアメリカ原住民の奴隷を禁止したが、 米国に引き継がれた時に、アフリカ人とアメリカ原住民の子孫の奴隷が少々アッパー・ルイジアナ (Upper Louisiana、北方ルイジアナ) のセント・ルイスで所有されていた。) 、 自由訴訟はミズリー州から米国最高裁にまで及び、アメリカ原住民の奴隷制は 1836 年に終に終了した。 ルイジアナ準州 (Louisiana Territory) における米国の法律下における奴隷制の慣行化は半世紀後の 南北戦争に寄与した。 領地 (territory) の中に州が組織されると、各州における奴隷制の立場は議会における論点になった。 南部の州は奴隷制を西部に拡張しようとし、 北部の州は新しい州が "奴隷州" として認められることに強く反対したからである。 1820 年の ミズーリ妥協 (Missouri Compromise) は暫定的な解決であった。

初期の探検の後で、米国政府はこの地域のコントロールを樹立しようとした。 というのは、ミシシッピ川とミズーリ川の流域トレードを支配していたのは： カナダの英国人とフランス人のトレーダー、及び同盟したインディアンで、 とりわけ ソーク族 (Sauk) と フォックス族 (Fox) がいた。 米国は 1804 年にセント・ルイスの近くのベルフォンテーヌ砦 (Fort Bellefontaine) の以前のスペインの施設を、 ソーク族 (Sauk) と フォックス族 (Fox) との取引のための毛皮トレードのポスト (post、取引所) に変更した。 1808 年にトレード用の工場がある 2 つの軍事砦が建設され、 西の現在のミズーリ州のミズーリ川沿いの オーセージ砦 (Fort Osage) と、 東の現在のアッパー・ミシシッピ川 (Upper Mississippi、[訳注：セント・ルイスより上流のミシシッピ川]) 沿いのマディソン砦 (Fort Madison) が建設された。 英国との緊張が増大すると、 1809 年にベルフォンテーヌ砦 (Fort Bellefontaine) は米国の軍事砦に改変され、 1826 年までこの目的のために使用された。

マディソン砦 (Fort Madison) の平面図、1808 年に建設されて、 ルイジアナ買収の北の部分のコントロールを確立した。1810 年に描画。

1812 年の戦争の最中に、英国は米国を打ち破って、 その一部分、あるいは少なくともルイジアナ買収のすべてを併合することを望み、 インディアンとの同盟に助けられて、アッパー・ミシシッピ川 (Upper Mississippi) の米軍を打ち破った。 米国はオーセージ砦 (Fort Osage) とマディソン砦 (Fort Madison) を見捨て、更には戦争中に建設した 他の米国の砦を見捨た。 これにはジョンソン砦 (Fort Johnson) とシェルビー砦 (Fort Shelby) が含まれた。 この地域の米国の所有権が ヘント条約 (Treaty of Ghent、1814 年) により確認されてから、 米国はミシシッピ川とミズーリ川沿いの砦を建設・拡張し、 これにはベルフォンテーヌ砦 (Fort Bellefontaine) への追加があり、 建設されたのは： アームストロング砦 (Fort Armstrong、1816 年)、 そして イリノイ州のエドワーズ砦 (Fort Edwards、1816 年)、 ウィスコンシン州のクローフォード砦 (Fort Crawford、1816 年)、 ミネソタ州のスネリング砦 (Fort Snelling、1819 年)、 ネブラスカ州のアトキンソン砦 (Fort Atkinson、1819 年) であった。

ルイジアナ買収はフランスと米国の間で交渉され、 この土地に住んでいる色々なインディアンの部族と相談することがなく、 彼らは植民地大国に土地を割譲したわけではなかった。 ルイジアナ買収に続く 40 年間は裁判所の判決の時代で、 ミシシッピ川の東の土地から多くの部族が排除され、 涙の道 (Trail of Tears) で頂点を迎えた。

ルイジアナ領地の条約により、先住民族の土地の権利の考えに関しての 議論となり、ずっと 20 世紀中頃に至るまで継続した。 ルイジアナ買収に続く 1930 年代の多くの訴訟と歴史的被害の部族訴訟が 1946 年の「インディアン補償委員会法」 (Indian Claims Commission Act、ICCA) につながった。 フェリックス S. コーエン (Felix S. Cohen) は ICCA の通過に助力した内務省の法律家 (Interior Department Lawyer) で、しばしば 次のように言っていることが引用された： "1776 年以来、米国により獲得された実質ほとんどすべての不動産はナポレオンから購入したものでもないし、 それ以外の皇帝やツァー (czar、専制君主) から購入したものでなく、 元々のインディアンの所有者から購入したもので"、米国により買収された領地のために フランスに支払ったおよそ 20 倍近くを支払っており、"80000万ドルを越える程度である"。 この経費はもっと最近に 26億ドルと評価された、 しかしいずれにせよ、土地の本当の価値よりもずっと低いものである。