州間橋 (Interstate Bridge)

州間橋は (コロンビア川州間橋、I-5 橋、ポートランド・バンクーバー州間橋、 バンクーバー・ポートランド橋 とも呼ばれ) 一組のほどんど同一な鋼製の垂直リフト橋で、パーカー型式の通り抜けトラスであり、州間道路 5 の交通をコロンビア川を越えて通し、米国ワシントン州バンクーバーとオレゴン州ポートランドを接続している。

橋は 1917 年に単一の橋として開通し、双方向の交通を通した。第 2 の双子橋が 1958 年に開通し、各橋は 1 方通行になった。元々の 1917 年の橋が北向きの交通を通している。 2006 年現在では、橋の組は毎日およそ 130,000 台の車両を処理している。緑色の橋は、長さが 3500 フィート (1,067 m) 以上あり、北向きの 3 車線と、南向きの 3 車線を通している。橋は 1982 年に "ポートランド・バンクーバー・ハイウェイ橋" として、国の歴史登録財に追加された。

2005 年以来、橋の交換が提案・議論された。道路車両と河川交通の渋滞は橋の理由と思われている。コロンビア川横断 (CRC, Columbia River Crossing) と呼ばれる橋の交換計画は少なくとも $34億の経費がかかると見積もられ、多くの遅延の末に共に歩み続けたが、実に多くの議論があり、強力な支持と、強力な反対があった。 2013 年 6 月末に。CRC 計画がキャンセルされた。これはワシントン州議会が計画の資金を認可することを断ったからである。

州間橋の名称は単にその位置に基づいて単純に説明したもので、 2 つの州を接続したものである。 1917 年に新しい橋はポートランドの主要ストリートにその名称を与えた。北ポートランドを通り抜ける一対のストリート -- メリーランド・アベニュー (Meryland Avenue) とパットン・アベニュー (Patton Avenue) -- は橋の出入り口の主要なルートと見なされ、州間アベニュー と改名された。

橋は パシフィック鉄道、照明 & 電力会社 (Pacific Railway, Light & Power Co.) が操業する混雑しすぎるフェリー (渡し舟) の代わりに建設された。橋の建設は債券の売却後の 1915 年の 3 月に始まった。最初の橋は 1917 年 2 月 14 日に開通し、経費は $175万 (2016 年の $3300万に等価) でクラーク郡 (Clark) とマルトノマ郡 (Multnomah) の間で分担された。クラーク郡が $500,000 を支払い、マルトノマ郡が $1,250,000 を支払った。恐らくは人口比によって分担した。

最初の橋は全部で 13 基の鋼製スパンがあり、3 基は長さ 275 フィート (84 m) で、残りの 10 スパンが各々 265 フィート (81 m) の長さがあった。橋脚はおよそ 70 フィートの深さの木造の杭 (piling) の上の覆い (pile cap) の上にあった。 275 フィート (84 m) のスパンの一つは河川交通を通すリフト・スパンである。リフト・スパンは垂直に 136 フィート (41 m) を動くことが可能なもので、完全に持ち上げれば 176 フィート (53.6 m) の余地を提供する。塔は路面よりは 190 フィート (57.9 m) の高さがある。

元々の舗装された路面は 38 フィート (11.6 m) の幅があり、 1 本の 5 フィート (1.52 m) の側道があった。これはワシントン州とオレゴン州の間で川を横断する最初の自動車用の橋であり、川を渡るすべての橋を含めれば、ワナッチー橋 (Wenatchee) に次ぐ第 2 のものであった。橋は元々有料橋で、車両あるいは騎乗した人には 5¢ -- 2016 年の $0.93 に等価 -- が課せられた。 1928 年にワシントン州とオレゴン州は共同で 2 つの郡から橋を購入し、翌年から通行料を廃止した。

路面電車は橋が開通した 1917 年から 1940 年まで操業した。橋の路面はデュアルゲージ (二重ゲージ、三線軌条) を通し、バンクーバーの標準ゲージとポートランドの 3 フィート 6 インチ (1,067 m) のゲージに対応した。橋以前には、ポートランドには 1893 年以来、バンクーバーの路面電車の路線があったが、これはヘイデン島 (Hayden Island) まで走っていただけで、ここで乗客は路面電車の会社が所有するフェリー (渡し舟) に移され、川の横断を継続してバンクーバーに至っていた。州間橋を横断する路面電車の事業は 1940 年 9 月 3 日に終了した。

訳注

上の部分は少し理解しにくいが、フェリーとは鉄道フェリー ( 鉄道連絡船) のことと思われます。従って、路面電車の車両ごと、乗客がヘイデン島からバンクーバー市内に運ばれたようです。

1958 年に $1450万 (2016 年の $12040万に等価)の上級化により、南向きの橋が建設され、橋の容量が倍になった。新しい橋はハンプバック (猫背、 humpback) で建造され、72 フィート (21.9 m) の垂直余地が提供され、橋の開放を最小にした。新しい橋が開通した時に古い橋は一時的に閉鎖され、調和するハンプバック (猫背、 hampback) の区間を与えるために再建された。両方の橋が 1960 年に同時に初めて開放された時に各橋は一方通行となり、通行料が再度徴収され、乗用車には $0.20、軽量トラックには $0.40、重量トラックにとバスには $0.60 で、建設費が返済された 1966 年に廃止された。 1990 年に $300万 (2016 年の $550万に等価) の上級化があり、リフトケーブル、拡張ジョイント、路面の再舗装が実施された。橋の動力を与えることに使用されるディーゼル発電機は 1995 年に $150,000 で交換され、橋は $1700万の経費で再塗装された。 $1080万の電気的な上級化は 2005 年の 5 月中旬に完了した。

訳注

上にはハンプバックの用語を使用していますが、これは一般的ではなく、パーカー・トラスのつもりで使用しているようです。

橋は長さ 3,538 フィート (1,078 m) で、主スパンは 531 フィート (162 m) である。垂直余地は完全開放した時には 176 フィート (53.8 m) である。橋の開放は 10 分程度続き、毎月 10 回から 20 回起きる。

通勤時間のピーク (AM 6：30 から AM 9 と PM 2：30 から PM 6) を除き、水上交通は連邦法 (33 CFR 117.869) により、橋では通行権が与えられている。

2006 年に、橋の全 6 車線は毎日 130,000 台の車両を通している。交通容量が満杯になるのは毎日 4 時間である。

橋はしばしばボトルネックとなり、高速道路 (freeway) はもとよりのこと、河川交通にも影響を与えている。オレゴン州とワシントン州の輸送局は共同で橋を交換する方法を調査している。 2 つの橋は充足度で、元々の橋と第 2 の橋はそれぞれ 18.3% と 49.9% に評価された。元々、交換の橋の経費はおよそ $20億であったが、この数値はどんどん上昇し、およそ $34億になった。 2010 年の独立な調査によれば全経費は $100億に近くなると見積もられている。

交換の橋のデザイン (とりわけ固定スパンの部分) はコロンビア川のすぐ下流の鉄道可動橋 (バーリントン・ノーザン鉄道橋 9.6, Burlington NOrthern Railroad Bridge 9.6) の存在により、複雑になっている。この橋により船舶水路の位置が制約され、ポートランドのポートランド国際空港への進入路とバンクーバーのピアソン・フィールド (Pearson Field) への進入路にも制限され、これらは新しい橋の高さを制限している。ある人は橋を違う場所に作ることを提案した。元々 12 通りの輸送計画があり、コロンビア川を横断する州間道路 5 を改良・拡張するために、これらの計画が調査された。 2006 年末に、これらの計画から最終案を作成するために 4 つの計画が選択され、建設をすることがない 5 番目の案も選ばれた。 2008 年にコロンビア川横断プロジェクトの 6 つの自治体 [訳注；自治体は州の下の組織のことで、州は含まれない] は、交換の橋とクラーク大学に至る軽鉄道の延長の組み合わせを選択し、プロジェクトで「地元で望まれる選択肢」 (LPA, Locally Prefered Alternative) とした。

新しい橋が MAX 軽鉄道、急行バス、高速バス (bus rapide transit) を含めるか否かに関しても長期間の議論があった。 2007 年の「市の現状」に関しての演説 ("state of the city" address) なかでバンクーバー市長ロイス・ポラード (Royce Pollard) は次のように述べている：

訳注

「市の現状」に関しての演説 ("state of the city" address) は米国大統領の State of the Union address と同様に 1 年に 1 度実施する演説で、内容は市によって随分違うそうです。

以前にも述べたが、更に繰り返せば -- バンクーバー市とクラーク郡 (Clark) の住民は世界で最も成功した軽鉄道システム -- MAX システム -- の 1 つを最も安く購入した。川を横断する軽鉄道に $50億以上が投資された。我々は非常に小さな経費でシステムを利用することができる。これを利用しないことは馬鹿げている。 2 州のコロンビア川横断プロジェクトは、この先 50 年間以上の我々共同体の将来の計画を決めるものである。このプロジェクトは軽鉄道を組み込まないわけにはいかない。軽鉄道はバンクーバーのダウンタウンまで来ているのである。もしも最後の選択肢が軽鉄道を組み込んでいなければ、私はこの計画を支持しない。

2007 年 12 月に、オレゴン州知事テッド・クロンゴスキー (Ted Kulongoski) は新しい橋を唱道し、公的にオレゴン州実業界の計画の提案を是認した。

2008 年に燃料費が増加し、プロジェクト経費の見積もりが高騰すると、この地域の多くの人はプロジェクトが経費に見合うかどうかを疑問にし始めた。付け加えると、ポートランド側の多くの人はバンクーバーへの 12 車線の橋はほとんど土地の使用制限をしないと考え、川の北で「無計画な郊外の拡大」 (suburban sprawl) と開発を助長することになると恐れた。

訳語

suburban sprawl は urban sprawl とも呼び、英語版の Wikipedia の項目に対し、日本語版の Wikipedia ではスプロール現象にリンクを張っているが少し意味がずれている。英語版の Wikipedia では車に依存する共同体のことが書かれ、これは住民全員が車で通勤することが含まれていると思われ、これでは、まず第一に道路が何車線あろうとすぐ不足する (慢性的に渋滞する) ことが目に見えていると思われます。 (英語版の Wikipedia の方は長すぎるので序文以外に目を通していません。)

12 車線の "コロンビア川横断" (CRC) プロジェクトの更なる懸念は、危機的な環境の影響を調査することに失敗している点で、例えばクラーク郡の飲料水供給への被害、コロンビア川の危機にさらされた魚の生息地、ノース・ポートランドの大気汚染があった。

2008 年に、環境保護庁 (EPA, Environmental Protection Agency) が発見したことは、 CRC の環境への影響に関する報告の草稿では、これらの問題を適切に取り扱っていないことで、更には川の北で無計画な郊外の拡大に対する潜在的な需要が誘導されることであった。 CRC の計画者に宛てた手紙の中で EPA が書いたことは (環境への影響に関する報告で) "これらの立場の弱い住民が大気汚染、騒音、ディーゼル建設車両により、どのようにして影響を受けるかを指摘していない" ことであり、ノース・ポートランドの少数派共同体のことを言及していた。

2013 年 6 月に、ワシントン州議会は投票して、 CRC に更に資金提供することに反対した。 6 月 29 日に、オレゴン州知事キッツハーバー (Kitzhaber) は CRC に指図して、活動を停止させた。


1917 年の州間橋	絵葉書、路面電車の軌道と当時の車を見せている


持ち上げられたリフト・スパンの下を通るハシケ	北東のバンクーバーから見る。


州間橋、バンクーバーから南を見る	位置