クラック (Cruck)

以下の文書は以下の日本語訳です。

Cruck - Wikipedia

クラック (Cruck)

クラック (cruck) あるいは 曲がりフレーム (crook frame) はとりわけ英国で使用された建物の屋根を支える、曲がった木材の対の 1 つである。この木材フレーム (timber framing) の形式は、長くて一般に自然な曲がった木造要素から構成され、内側に傾き、屋根の尾根を形成する。これらの柱は次に一般に水平ビーム (beam、梁) により固定され、これにより A の字の形を形成する。これらの『曲がったもの』 (crooks) は地上で建設されて、定位置に持ち上げられた。これらはラッキング (racking) を防ぐために、がっしりした壁、あるいは横断ビーム (beam、梁) で、一緒にまとめた。 (ラッキング (racking) とは、個々のフレームの各々が、他の残りのフレームと直角でなくなること、従って崩壊の危険が出てくる。)


イングランド、ウスターリー・コート納屋 (Leigh Court Barn) のクラック・フレーム	Moirlanich ロングハウスクラック・フレームの付いた牛用の納屋

語源
使用
復活
形式

語源

クルック (crook) あるいはクラック (crack) は中期英語 (Middle English) の crok(e)、古ノルド語 (Old Norse) の krāka に由来し、鉤 (hook、カギ) を意味する。これは単語の「crooked」の語源でもあり、曲がった、ねじれた、あるいは、変形する、の意味であり、羊飼いに使用され、司教により象徴的に使用される crook (羊飼いの杖、司教杖) の意味でもある。

使用

クラック (cruck) は主に中世に大きな建物に使用され、例えば大きな 1/10 税の納屋 (tithe barn) に使用された。しかしながら、この曲がった材木は比較的稀で、これは造船産業でも需要が大きかったからである。

自然に曲がった木材が手近で、利用可能であれば、大工はもっと後世まで使用し続けた。例えば、基礎クラック (base crucks) はロンドン、ハイ・ホルボーン (High Holborn), ステープル・イン (Staple Inn) の建物の居住地区 No. 337 - No. 338 の屋根に見られる。これは記録文書によれば、1536 年のもので、アルフレッド・ウォーターハウス (Alfred Waterhouse) により 1886 年に随分と変更され、 1936 年と 1954 年 - 1955 年に更に復元された。これらの変更にもかかわらず、イングランド歴史大工の権威者であるセシル・ヒューイット (Cecil Hewett) が述べることによると、これは 16 世紀のクラック (cruck) の元々のものであるとのことである。

荘園邸宅のバーロウ・ウッドシーツ (Barlow Woodseats) の大きな主納屋が呼び物にするのは、ダービーシャーで最長の連続屋根のクラック (cruck) 納屋で、恐らくは英国でも最長であろう。

ヨークシャーのクラック (cruck) 納屋で、ヘザー (heather、ヒース (heath) 参照) で葺いた屋根が完備した実例はアップルツリーウィック (Appletreewick) で見ることができる。クラックス (crucks) あるいはクラックの刃 (cruck "blades") は 1 本のオークの木が 2 つに分離したもので、同じ形の A フレームを形成する。

クラック・フレーム (cruck framing) の珍しい実例がヨーロッパ大陸で見つかり、例えば、ベルギー、フランドル (Flanders)、北フランス、そしてフランスのコレーズ (Corrèze) 地区にある。

知られていることでは、クラック・フレーム (cruck framing) は米国では建設されなかった、もっとも上部クラック (upper cruck) あるいは膝垂木 (knee rafter) と呼べる珍しい実例がある。

復活

新しい建設工事のグリーン・オーク・フレームの現在の復活 -- これは英国では、主におよそ 1980 年以来起きている -- の最中に、本物のクラック・フレーム (cruck frames) が伝統的な大工工事に実にしばしば含まれてきた。

幾つかの、素晴らしい歴史的本物の再建もある。例えば、グラストンベリー (Glastonbury)、ピルトン (Pilton) の 1/10 税納屋は、元々の屋根が雷で破壊され、2005 年に曲がったオークから注意深く再建された。必要な木はイングランドの森林地帯で、特別な型板 (template) を使用して、探索された。

形式

真クラック (true cruck) あるいは完全クラック (full cruck)。刃が、直線 (straight) あるいは湾曲 (curved) するにせよ、地面近くの基礎から尾根部まで伸びている。完全クラック (full cruck) は結合ビーム (tie beam) が必要でなく、この時には「完全クラック - 開放」 (full crack - open) と呼ばれ、あるいは結合ビームがあれば、「完全クラック - 閉鎖」 (full crack - closed) と呼ばれる。
基礎クラック (base cruck)。刃の上部は結合ビームような最初の横断要素で切り詰められる。
上昇クラック (raised cruck)。刃は石造の壁に着地し、尾根部まで延長する。
中間クラック (middle cruck)。刃は石造の壁に着地し、カラー・ビーム (襟梁、collar beam) により切り詰められる。
上部クラック (upper cruck)。刃は結合ビームに着地し、膝垂木 (knee rafters) に極めて類似。オランダ語では kromstijlgebint と呼ばれる。
結合クラック (jointed cruck)。刃は耳で結合した 2 枚から構成され、これらの結合方法は少なくとも 5 つある。

クラック・フレームの頂点もクラックの様式と領域を定義する助けになる。異なる型式に含まれるのは：尻頂点 (butt apex)、半分 (halved)、格納 (housed)、くびき (yoke)、及び、横断形式 (crossed forms) である。


ウスターシャーの半ティンバー様式の家、完全クラック・フレーム	接合クラック