以下の文書は以下の日本語訳です。

Adobe - Wikipedia

アドビ壁、スペイン、 パレンシア (Palencia)、 バイージョ (Bahillo)	アドビ壁の表面コーティング の更新、 ニューメキシコの チャミサル (Chamisal)

アドビ・レンガ (Adobe brick) は直方体の角柱で、 十分に小さいので、ひび割れせずに個々に空気中で素早く乾燥させることができる。 そのあとで、組み立てることができ、 アドビ泥 (adobe mud) を適用して、個々のレンガをつないで構造にすることができる。 標準的な大きさがなく、年代と異なる地域により随分と変動がある。 場所によっては人気がある大きさ は 8×4×12 インチ (20×10×30 cm) で、 重さがおよそ 25 ポンド (11 kg) である；　 別の条件では、大きさ は 10×4×14 インチ (25×10×36 cm) で重さがおよそ 35 ポンド (16 kg) である。 最大サイズは 100 ポンド (45 kg) にも達する；　 この重さより重ければ、動かすことが困難になり、 現場でドロを突き固める方が好まれ、 「突き固め土」 (rammed earth) と呼ばれる異なる種類 (の家) になる。

乾燥した天候ではアドビ構造は極端に持続し、 これは世界中の最古の現存する建物の説明になる。 アドビ建築は、より大きな熱容量 (thermal mass) があるため、 著しい利点を与えるが、これらは 何とかして強化しないと、 地震による被害を受けやすいことが知られている。 アドビ構造が地震の最中に被害を被った場合は、 1976 年のガテマラ地震、 2003 年の バム地震、 及び 2010 年のチリ地震が含まれる。

イラン、シーラーズ (Shiraz) 都会の庭がアドビ―壁で分離。

太陽で乾かした土で作った建築物は世界中で普通である (中東、西アジア、北アフリカ、西アフリカ、 南米、北米の南西部、スペイン、そして東ヨーロッパ)。 アドビは米国南西部、 メソアメリカ、そして アンデスの原住民により、数千年の間使用されてきた。 プエブロ人は彼らのアドビの建物を、一握りあるいはバスケット一杯のアドビを何度も 使用して建設し、スペイン人がレンガ造りを教えるまで継続した。 アドビ・レンガは青銅器時代末と鉄器時代 (BC 8 世紀以後) からスペイン人により使用された。 この広範囲の使用は、デザインと製造の単純性、そして経済性によっている。

時々、より小さなアドビ -- およそ、焼いたレンガの大きさ -- と、より大きなアドビ -- 長さ 1, 2 ヤード (1～2 m) の時もある -- が区別される。

単語のアドビ (adobi) は発音と意味が比較的変化しないまゝ、 およそ 4000 年の間存在した。 この単語は中エジプト語 (Middle Egyptian, BC 2000 年頃) の単語 ɟbt "ドロ・レンガ" からたどることができる。 中エジプト語は新エジプト語 (Late Egyptian) に進展し、 デモティック (Demotic) あるいは前コプト語 (pre-Coptic) に進展し、 最後に コプト語 (Coptic) に進展し、 ここで τωωβε tōʾpə となった。 これはアラビア語で الطوب aṭ-ṭawbu あるいは aṭ-ṭūbu として採用され、 定冠詞の al が追加された。 これは 中世スペイン語 (Old Spanish language) の adobe [aˈdobe] に吸収され、 恐らくは モサラベ語 (Mozarabic) を経由した。 英語は 18 世紀初頭にスペイン語からこの単語を借用し、 これは今なおドロ・レンガ建築のことを指している。

チリ、サンペドロ・デ・アタカマ (San Pedro de Atacama) の教会

より現代の英語使用では、 用語の "adobe" は北米 -- とりわけニュー・メキシコ (New Mexico) -- の砂漠の気象で人気がある建築様式 -- 建築方法と無関係 -- を含むようになった。

アドビ・レンガは土に水と藁や糞のような有機物を混ぜて作られる混合資材である。 土壌成分は典型的には砂、沈泥 (シルト、silt)、及びネンドを含む。 藁はレンガと一緒にまとめるのに有益で、レンガが一様に乾燥することを可能にし、 従って、レンガを通した不均一な収縮率によるひび割れを防止する。 糞も同じ利点を与える。 アドビの泥を製造する最も望ましい土壌の生地は ネンド 15%、シルト 10 - 30%、細かい砂 55 - 75% である。 別の情報源が引用することは：　 ネンド 15 - 25%、残りは 砂と荒い粒子で、有害な影響のない 50 - 250 mm (2 - 10 インチ) までの大きさの丸石である。 現代のアドビは重さの 10% までの、 乳化アスファルト (emulsified asphalt) あるいはポートランド・セメントにより 安定化している。

ニュー・メキシコの サンタ・フェ アドビ様式

ネンド成分の半分以上は膨張ネンド (expansive clay) であってはならないし、 残りは非膨張的な イライト (illite)、 あるいは カオリナイト (kaolinite) でなければならない。 膨張ネンドが多すぎると、レンガを通して不均一な乾燥になり、 ひび割れが起き、一方、カオリナイトが多すぎると 弱いレンガになる。 典型的には、このような建設が広く使用される米国南西部の土壌は適切な成分である。

アドビの壁は荷重を支える、すなわち、 これらは自身の重さを他の構造によらずに基礎に伝え、 従ってアドビは十分な圧縮強度が必要である。 米国では大半の建築基準法はアドビ・ブロックに 300 lbf/in² (2.07 ニュートン/mm²) の最小圧縮強度を求めている。 アドビの建設は曲がり荷重 (bending load) を誘導する 横方向の構造荷重 (lateral structural load) を避けるようにデザインしなければならない。 建築基準法は 1 g の地震の横加速度 (lateral acceleration earthquake load) に耐えることを要求している。 このような加速度は壁に横荷重 (lateral load) を引き起こし、 せん断 (shear) と曲げ (bending) となり、引張応力 (tensile stress) を誘導する。 このような荷重に耐えるために、基準法は典型的には、完成ブロックの 破壊強度の引張弾性率 (tensile modulus of rupture strength) を 少なくとも 50 lbf/in² (0.345 ニュートン/mm²) 求めている。

マリの ジェンネの大モスクは アドビで建設。壁から突き出ている支えは 装飾として機能し、更にはメンテナンス の最中の足場の支えとしても機能する。

廉価な資材で資源経費が小さいうえに、 アドビ建設に典型的な大きな壁に固有な温度特性により、 アドビは相当な蓄熱装置としての役目を果たすことができる。 熱い日中と涼しい夜間に象徴される天候で、 アドビの高い熱容量 (thermal mass) は 1 日の高い気温と低い気温を調停し、 住空間の気温を和らげる。 大きな壁により、 太陽からの加熱 (放射) と周りの空間からの加熱 (対流) が 大量に比較的長時間続いて、始めて内部まで熱くなる。 太陽が沈み、気温が下がった後で、数時間の間、熱い壁は 時間差の影響により、内部に熱を伝え続ける。 従って、適切な厚さを持ち、うまく計画されたアドビの壁は、 砂漠の天候 -- これが建設資材の長寿命化に貢献する因子 -- に典型的な日々の広い変動を通して、内部の温度を制御するのに、 とても効果的である。

熱力学的な資材の性質はほとんど引用されていない。 アドビの熱抵抗 (thermal resistence) は R₀ の R 値 = 0.41 h ft² °F / ( Btu in) で、 別の情報源から引用すると、 伝導率 = 0.57 W/(m K)。　 第 3 の情報源は次の性質を提供する：　 伝導率 = 0.30 Btu/(h ft °F)；　 熱容量 = 0.24 Btu/(lb °F)；　 密度 = 106 lb/ft³ (1700 kg/m³)。　 例えば、壁の全 R 値を決定するためには、R₀ に壁の厚さをかければよい。　 アドビの密度、熱容量、そして拡散率 (dffusivity) の知識から、伝導率が k = 0.20 Btu/(h ft °F) or 0.35 W/(m K) であることがわかる。　 熱容量は普通 c_p = 0.20 Btu/(lb F) or 840 ジュール/(kg K) とされている。　 密度は 95 lb/ft³ or 1520 kg/m³ である。　 熱拡散率は 0.0105 ft²/h or 2.72x10^-7m²/s と計算される。

注いで混ぜられたアドビ (poured and puddled adobe) (パドル・ネンド (puddled clay)、付き固めた土 (piled earth)) -- 今日ではコブ (cob) と呼ばれる -- は個々の乾燥したレンガを作ること、あるいはその型枠を使用するのではなく、 柔らかいアドビを層にして作られる。 "パドル" (Puddle) はネンド、あるいはネンドと砂を基礎にした資材で、高密度で可塑状態にしたものの一般用語である。 南北アメリカ大陸最古のアドビ建設の方法があり、地面の穴が型枠として使用され、 後に個々のレンガ製造に使用される木枠がスペイン人により導入された。

パドル・アドビの断崖住居 メキシコ、クアレンタ・カサス (Cuarenta Casas)

アドビから製造されるレンガは通常は開放木枠にドロの混合物を押し付けて製造する。 北米では、レンガは典型的には大きさが 25×36 cm (10×14 インチ) である。 混合物は木枠で生成され、木枠は固まったらすぐに取り除かれる。 レンガは数時間乾燥させてから、向きを変えて縁を下にして、乾燥を完了する。 日陰でゆっくり乾かすとひび割れが減少する。

建築現場近くのアドビ・レンガ キルギスタン、ミリャンファン (Milyanfan)

同じ混合物は、藁なしで、モルタル (mortar)、 時には内壁、外壁の壁土 (plaster) を作るために使用される。 幾つかの文明は雨の被害を防ぐための壁土を作るために、石灰を基礎にするセメントを使用する。

混合物が押し付けられる型枠に応じて、アドビはほとんどすべての形と大きさに することができる、 但し乾燥が一様で、混合物が大きなレンガ用の強化物を含んでいることが前提である。 実験により判明したことは：　 標準的なアドビの混合物に藁、セメント、あるいは肥やしを追加したものは、どれもより強力で、 ひび割れしにくいレンガになる。 試験は土壌成分で最初に実施した。 これをするために土壌サンプルを、透明な入れ物で、少々の水と混ぜて、ほとんど完全に飽和状態の液体にした。 入れ物は 1 分間、激しく振り動かす。 その後 1 日間落ち着かせると、土壌が層になって沈む。 より重い粒子が先に沈み、砂がその上、シルト (沈泥) がその上に沈み、 とても細かいネンドと有機物は何日もの間、浮遊している。 水が無くなってから、色々な粒子の比率が決定される。 50 から 60% の砂、 35 から 40% の粘土であれば、強力なレンガができる。 ニュー・メキシコ州立大学 (New Mexico State University) における (米農務省傘下の) 共同研究教育普及局 (Cooperative State Research, Education, and Extension Service) の推奨することは：　 混合物で 1/3 以上がネンドではないこと、 砂は 1/2 以下ではないこと、シルトは絶対に 1/3 以上ではないこと、である。

アドビ構造を支える土は圧縮しなければならない、 というのはアドビ壁の重さは随分とあり、基礎の定着が壁のひび割れの原因になり得るからである。 基盤の深さ (footing depth) は地面の凍結レベル (frost level) 以下である。 基盤 (footing) と土台壁 (stem wall) はそれぞれ、厚さが 24 インチ、14 インチである。 現代の建築基準法 (construction code) は 基盤と土台壁 (stem wall) に鉄筋の使用を求めている。 アドビ・レンガは何層にも敷かれる。 アドビ壁は通常、2 階以上は建設されない。というのはこれらは荷重を支え、 アドビは構造強度が低いからである。 窓と扉の開口部を作る時には横木 (lintel) が開口部の上端に設置され、 上のレンガを支える。 レンガの最後の層の上に、重い木造梁あるいは現代の鉄筋コンクリートでできた重い接続梁が 設置され、屋根の梁のための水平な支え板を提供し、壁をせん断する横方向の地震荷重を配分しなおし、 もっと力を支えることを可能にする。 アドビの内壁と外壁を保持するために、 壁土 (plaster)、 仕上げ漆喰 (whitewash)、 化粧漆喰 (stucco) のような仕上げが塗装される。 これらはアドビ壁を水害から守るが、定期的に再塗装しなければならない。 この代りに壁を、長期の保護を提供する他の非伝統的な壁土 (plastger) で仕上げることもできる。 安定化したアドビで製造したレンガは、一般に壁土 (plaster) の保護は必要ではない。

壁土を取り除いてアドビ・レンガが露出 フランス、サン・ セバスティアン要塞

伝統的なアドビ屋根は、土壌/ネンド、水、砂、そして有機物の混合物を使用して建設されてきた。 混合物は次に、木枠に押し付けられて形を作られ、 乾燥した土レンガの列が製造され、 次に木の支持構造を横断して敷設され、 アドビを更に使用して固定される。

利用可能な資材に依存して、屋根は木あるいは金属の梁を使用して、枠組みが組み立てられ、 アドビ・レンガの敷設が開始する。 アドビ・レンガの厚さに依存して、枠組みを鋼の枠により前もって形成し、 金属の柵、あるいは枠組み上のワイヤの層を使用して、 アドビの塊を穂軸 (cob) のような金属柵全体に渡って広げ、荷重が均一となるようにし、 これにより空気乾燥を可能にする。 この方法はセメントをひどくしみ込ませたアドビの混合物で実証され、 均一な乾燥と、ひび割れの防止が可能となった。

もっと伝統的な平坦なアドビ屋根は積雪にさらされない乾燥した気候のみで機能する。 最も重い木造梁 -- ヴィーガ (viga, 丸太の梁で、先端が壁を突き抜ける) -- は壁の頂上にある。 ヴィーガを横断して latilla と呼ばれるより小さな要素があり、 この上にブラシが置かれ、最後にアドビ層が設置される。

平坦なアドビ屋根を建設するために、木の梁が建物を張り渡して設置され、 梁の端は壁の頂上に置かれた。 一旦ヴィーガ、lattila とブラシが置かれると、レンガが設置された。 アドビ屋根には幅が少し大きなレンガが敷かれ、 これはレンガを屋根に敷くときに、より広い幅を渡すためであった。 個々のレンガの後に、アドビのモルタル層を作るべきで、 これは少なくとも厚さ 25 mm (1 インチ) であることが推奨され、 これはレンガの端の間に十分な強度があることを確実にし、 雨の時に相対的な湿度の障壁を提供するためでもある。

屋根のデザインは 1850 年頃にアメリカ南西部で進化した。 3 インチのアドビ泥が lattila の頂上に塗られ、 次に 18 インチの乾燥アドビ土 (adobe dirt) が屋根に塗られた。 土 (dirt) は低いスロープにして、樋 -- 別名運河 -- にした。 湿気が屋根に塗られると、ネンドの粒子が拡張して、防水の薄膜を形成した。 1 年に 1 度、屋根から雑草を引き抜き、 必要に応じて、土 (dirt) のスロープを作り直さなければならなかった。

資材に依存するが、アドビ屋根は本質的に不燃性である。 煙突の建設は屋根の支えの建設に大いに影響することがあり、 資材の選択に十分な注意が必要である。 建設者は周りの壁と同様に、単純なアドビ・レンガを積み重ねて、アドビ煙突を作ることができる。

1927 年、「均一建築基準法」 (UBC, Uniform Building Code、[訳注：主に西海岸で使用されている]) が米国で採用された。 地方条例 (local ordinance) は、UBC を言及して、 アドビで建設する条件を追加した。 この条件に含まれたものは：　 アドビ構造の建物の高さを 1 階建てに制限すること、 アドビ混合物への要求 (圧縮強度とせん断強度)、 そして新しい要求があり、 すべての建物は地震、とりわけ横方向の力に耐えるようにデザインすることになった。 しかしながら、1980 年代までにカリフォルニア州の建築基準法 (California Building Code) に おける地震関連の変更により、カリフォルニア州での頑丈な壁によるアドビ建設は事実上終了した；　 しかしながら、 「柱と梁」 (Post-and-Beam) によるアドビと張り板 (veneer) はなお使用されている。

かってアドビから作られた最大の構造は アケメネス朝 (Achaemenid Empire) により 建設された アルゲ・バム (Arg-é Bam) である。 他の大きなアドビ構造には：　 ペルーの 太陽のワカ (Huaca del Sol) で 10000万個の署名入りレンガがあり、 そして チャン・チャン (Chan Chan) と タンボ・コロラド (Tambo Colorado) の ciudella があり、どちらもペルーにある。

バムの守護城、あるいは アルゲ・バム、イラン、 ケルマーン州、 世界最大のアドビ構造、少なくとも BC 500 年

今でも製造中、 ルーマニア の ドナウ川デルタ	レンガの枠組みで ドロと藁を混合	共同体の努力

キルギスタンで建設中の アドビ・レンガの家	イエメンのサアダ (Sa'dah) の家	アドビ・レンガの家 建設中、ルーマニア

アドビ壁、 臨夏市 中国 甘粛省	ポー博物館の塔 (Poeh Museum tower)、米国 ニュー・メキシコ で最も高いアドベ構造	ニュー・メキシコの サンタフェ のサン・ミゲル教会 (San Miquel Mission)

ジェンネの大モスク、アドビの一形式である バンコ (Banco) で作られた有名な建築物