インジケーター・ダイアグラム (Indicator diagram)

インジケーター・ダイアグラムは蒸気エンジンの性能 (performance) を評価するために使用された図 (chart) である。具体的に言うと、インジケーター・ダイアグラムは「蒸気圧対シリンダー内の蒸気の体積」を、蒸気エンジンにおけるピストンの動きの周期を通じて記録する。インジケーター・ダイアグラムは実行された仕事 (work) の計算を可能にし、従って、エンジンにより生成された力の評価 (measure of the power) を与える。

インジケーター・ダイアグラムはジェームズ・ワットと彼に採用されていたジョン・サザン (John Southern、1758 年 - 1815 年) によって開発され、エンジンの効率を改良した。 1796 年に、サザン (Southern) は単純ではあるが、重要なテクニックを開発し、ピストンと一緒に動くように板を固定することにより、ダイアグラムを生成し、これにより「体積」軸を追跡し、一方で、圧力計 (pressure gauge) に取り付けた鉛筆がピストンと直角に移動して「圧力」 (pressure) を追跡した。

圧力計 (pressure gauge) によりワットは蒸気により実行された仕事を計算し、一方で、圧力がストロークの最後に確実に 0 に落ちるようにし、従って、全ての有効なエネルギーが確実に抽出されるようにした。後者の事実は早くも 1792 年にデイヴィス・ギルバート (Davies Gilbert) により実現され、色々なデザインの特許に関して、ワットに対する訴訟でジョナサン・ホーンブローワー (Jonathan Hornblower) により使用された。ダニエル・ベルヌーイ (Daniel Bernoulli) も仕事を計算する方法に関しての洞察を持っていた。

ワットはダイアグラムを使用して、蒸気エンジンの性能の根本的な改良をして、長期間、企業秘密 (trade secret) にした。これは 1822 年にクォーターリー・ジャーナル・オブ・サイエンス (Quarterly Journal of Science, 科学の季刊誌 [訳注：19 世紀の科学雑誌]) に宛てた手紙で公けにしたが、少々はっきりせず、ジョン・ファレイ, Jr. (John Farey, Jr.) は 1826 年にロシアに訪れた時に、恐らくはワットにより雇用されている人により、これが使用されるのを見てこれを知ったのみである。

1834 年にエミール・クラペイロン (Émile Clapeyron) は「圧力対体積」のダイアグラムを使用して、カルノーサイクル (Carnot cycle) を説明・明瞭にし、これを熱力学研究 (study of thermodynamics) の中心的な立場に持ち上げた。

後に、装置 (下の図) は円筒の周りを取り巻く紙を使用し、圧力ピストンを内部に入れ、円筒の回転が重力、もしくはバネを張ったワイヤにより、ピストンのクロスヘッド (cross head、ピストン棒の頭部) に連結した。

訳注

上右の写真で「インジケーターの覆い」と言っているのは、機関車の先頭についている箱のようなものと思われる。 850 ロード・ネルソンの写真と比較すればすぐわかる。


ワットのインジケーター・ダイアグラム	蒸気機関車のインジケーター・ダイアグラム


1875 年のリチャードのインジケーター装置	インジケーターの覆い (indicator shelter) を付けた E850 ロード・ネルソン (Lord Nelson)、1826 年 - 1927 年頃