メイデンヘッド鉄道橋 (Maidenhead Railway Bridge)

メイデンヘッド鉄道駅 (別名、メイデンヘッド高架橋、反響アーチ) は鉄道橋で、イングランドのバークシャー州メイデンヘッドとバッキンガムシャー州タプロウ (Taplow) の間でテムズ川を越えるグレート・ウェスタン鉄道の本線を通している。これがある場所はガーズ・クラブ島の下流の端である。

橋はグレート・ウェスタン鉄道の技術者であるイザムバード・キングダム・ブルネルによりデザインされ、 1838 年に完成したが、1839 年の 7 月 1 日まで使用されなかった。ブルネルの最初の計画では、3 基のアーチの高架橋を心に思い描いていたが、次に現在でもなお使用されているデザインを開発した。これは彼の父親であるマーク・ブルネルが 1832 年に実施した実験に触発されたもので、イザムバードはこの実験の資金を供給した。鉄道は 2 基のレンガ造りのアーチによって川を越えており、アーチは建設時には世界で最も広く、最も平らなものであった。各スパンは 128 フィート (39 m) あり、24 フィート (7 m) の高さしかない。アーチを平らにすることは、橋に「こぶ」 (hump) を作るのを避けるために必要で、「こぶ」があればブルネルの平らでおだやかな勾配 (この区間では 1/1320) に反することになるからであった。テムズ川の曳舟道は (上流に向かって) 右側のアーチの下を通り、アーチは「反響アーチ」とも呼ばれ、これは劇的な反響の理由からである。

主張されている所によると、グレート・ウェスタン鉄道の委員会はアーチが列車の重さに耐えることができないと信じ、アーチを定位置に建設するための型枠を取り外すようにブルネルに命令した。しかしながら、ブルネルは単に型枠を少しだけ下げただけで、構造的な影響がなく、定位置にあるように見えた。後に型枠が洪水で押し流されたが、橋はそのままであり、アーチの強さが認められた。

訳注

石のアーチ橋を建設するには先に型枠を作り、その中で石を組み立て、構造が安定してから型枠を外す。

1839 年 7 月 1 日に橋が完成・開通すると、橋は 2 つの 7 フィート (2,134 mm) のブルネルのゲージの鉄道を通した。そのうちロンドンに出入りする交通が極端に増え、 1861 年の最中にロンドンとブリストル間に混合軌道が提供された。最終的には標準ゲージに転換されることを予想して、1890 年 - 1892 年に幅が拡張されて、 4 つの標準ゲージの軌道を通せるようにした。この工事はサー・ジョン・ファウラーの監督の下で実施され、全体の幅は 30 フィート (9.1 m) から 57 フィート 3 インチ (17.45 m) に拡張された。しかしながら、工事は非常に同情的に実施されたので、橋の外側の外見はほとんど変化しなかった。

メイデンヘッド鉄道橋はターナーによって描かれた「雨、蒸気、速度 -- グレートウェスタン鉄道」で呼び物にされた。この絵は現在ではロンドンの国立博物館 (National Gallery) にある。

2012 年の 7 月にメイデンヘッド鉄道橋はイングリッシュ・ヘリテッジと相談した後で、文化・メディア・スポーツ省によりグレード I の指定建造物に格上げされた。

やがて来るクロスレールによる開発では、グレート・ウェスタン鉄道のパディントンとメイデンヘッド間あるいはレディング間における長期に遅延した架線電化が実施されることになる。この建設工事には一時的な建設倉庫が必要となり、これは橋のすぐそばに作られることになっており、橋のバークシャー州側のガーズ・クラブ公園となることになっていた。ところが、この決定が覆された。もっとも橋自身は頭上架線装置を収容するための変化が、明らかに、今なお継続中である。最も最近の「クロスレールの環境文書」では：

頭上架線装置では橋の構造の上に支柱が必要である。これらは橋の対称性を損なわないように配置しなければならない。 3 セットの支柱を橋の支持構造に固定し、橋の反対側に更に 2 セットの支柱を固定する必要がある。支柱の固定方法は、将来的に取り除く際に橋が被害を受けず、今日あるように戻せないといけない。

提案されていることはメイデンヘッド鉄道橋の頭上架線装置は柱が 1 本のカンチレバー型式のものを使用することである。というのはルートの他の部分で使用される (鉄道をまたいで建設される) 柱が 2 本のガントリー型式のものよりは景観への影響が少ないからである。しかしながら、柱は景観に随分と悪影響を及ぼし、「川沿いの保護地区」の環境に影響し、指定建造物である鉄道橋の環境に影響し、隣接するグレード I の道路橋の環境に影響する。

橋の 3 番目のレールを電化する可能性も考察されたが、拒否された。