フェアボトム・ボブズ (Fairbottom Bobs)

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Fairbottom Bobs - Wikipedia

フェアボトム・ボブズの元々の場所： Google map

フェアボトム・ボブズはニューコメン形式のビーム・エンジンで 18 世紀に揚水エンジンとして使用され、アッシュトン・アンダー・リン (Ashton-under-Lyne) の近くの炭坑で排水した。これは恐らく現存する蒸気エンジンとしては世界で 2 番目に古い^{[注 1]}。このエンジンは 1760 年から 1764 年頃にアッシュトン・アンダー・リン (Ashton-under-Lyne) の近くのフェアボトム (Fairbottom) のキャネル炭坑 (Cannel Colliery) に設置された。これは地元ではフェアボトム・ボブズと呼ばれた^{[注 2]}。

フェアボトム・ボブズ、元々の場所、1886 年

エンジンの起源は不明である。これは恐らく、西に 9 マイルほどのノーベリー石炭作業場 (Norbury Coal Works) に最初に設置され、ここで 1764 年 10 月 9 日のマンチェスター・マーキュリー紙 (Manchester Mercury) にファイア・エンジン (Fire Engine) ^{[注 3]} の売却広告が掲載された。このシリンダー・サイズはフェアボトム・エンジンと一致していた^{[注 4]}。

エンジンのデザインと建造は「原始的」 (primitive) と記述されていた。これは定格出力 (power rating) が 11 馬力であった。シリンダーは内腔が 28 インチ (710 mm)、ストロークが 8 フィート (2.4 m) で、内腔が 8 インチ (200 mm) の水ポンプ (water pump) を駆動し、 240 フィートの深さから 1 分間に 14 ストロークの割合で水を汲み上げた。木材ビーム (beam, 梁) は 1 つの木造キング・ポストから構成され、ここに錬鉄の帯 (strap) と両端に木造アーチ・ヘッド (wooden arch head) がついていた。鉄の鎖がビームを (2 本の) ピストン棒に接続していた。補助アーチ・ヘッドがエンジンの空気ポンプ (air pump) を駆動した。ビームは分厚い壁、あるいは狭いピラミッドに似た切り石の柱に支えられ、エンジン棟の壁に支えられていない。後者は、この時代の他のエンジンの造作に見られるが、後世には稀になる。基礎と石のフロアーは現場に残っているが、天候からエンジンを守るためのエンジン棟や屋根の証拠がない。鉱山の排水に普通なように、 1 つの立て坑で汲み上げると、幾つかの立て坑から排水される。生成された水はアシュトン運河の水位を維持するために使用され、エンジンのすぐ南のフェニーフィールド橋 (Fennyfield Bridge) でフェアボトム支線運河 (Fairbottom Branch Canal) に汲み上げた。 1801 年に運河会社に改装費用の経費を寄付してもらう話を持ち込んだ。工事はマンチェスターのエンジン建造者のべイトマン&シェラット (Bateman & Sheratt) によって実施されたかもしれない。元々の立て坑は 1820 年代に消耗しつくした (worked out) ようである。もっとも近くにある他の立て坑もフェアボトム立て坑 (Fairbottom Pits) と呼ばれている。古い鉱山作業場から排水して運河に給水する作業は、キャネル炭坑 (Cannel Colliery) が閉鎖した後も、エンジンを動かし続け、終に 1826 年にあるいは 1827 年にエンジンが見捨てられた。

保存

フェアボトム・ボブズはミシガン州ディアボーンのヘンリー・フォード博物館で保存されている。

エンジンとその場所は 19 世紀末には考古的と考えられた。 1886 年に撮影された現場の写真はここが適度な保存状態であることが示されている。ヘンリー・フォードが 1927 年に彼の新しい博物館の展示を集めている時に、博物館の主なテーマはアメリカ―ナ ('Americana', アメリカ誌) であったが、彼はヨーロッパから古い産業考古的展示も求めた。彼の代理人のハーバート F. モートン (Herbert F. Morton) はエンジンを発見したが、これは 100 年以上も遺棄され、貧弱な状態であった。所有者のサムフォード卿 (Lord Samford) はエンジンを贈与し、博物館で保存されることになった。エンジンとその石細工は分解されて、博物館で再組み立てされた。木造のビーム (梁) は保存するには腐り過ぎており、代りが作られた。ワゴン・ボイラー (wagon boiler) も博物館が手に入れたが、エンジンは現在、別のエンジンのヘイスタック・ボイラー (干し草山ボイラー、 haystack boiler) で展示されており、元々使用されたものと類似していると思われる。

フェアボトムの場所の幾つかの造作は元の場所にあり、これには煙突の基部も含まれる。考古学的な発掘が 1982 年、1990 年、及び 2000 年に実施され、遺跡が調査された。

注釈

[注 1] ダートマスの 1725 年のニューコメン記念エンジン (Newcomen Memorial Engine) は一般に最古であると思われている。
[注 2] Crowley はこれを「Fairbottom Bob」と名付けている。
[注 3] ファイア・エンジン (Fire Engine) はこの時代頃のニューコメン・エンジン (つまりすべてのエンジン) の普通の名前である。この名称は地名とパブの名称で残っている。
[注 4] シリンダー・サイズは初期のエンジンでは標準化されていない、しかし鋳造シリンダーはエンジンにおける主な投資で、これらは生存期間を通じて一定である。シリンダー・サイズは多くの初期のエンジンでは決定的な識別要素である。