マリオン・モデル 91
パナマ運河、クレブラ・カット
以下の文書は次のページの翻訳です。
Marion Power Shovel Company - Wikipedia
マリオン・パワー・ショベル会社は 建設産業や鉱山産業のために 蒸気ショベル、パワーショベル、発破用穿孔機 (blast hole drills)、 掘削機 (excavator)、引き綱掘削機 (dragline excavator) を製造・売却した。 会社は二基のクローラー・トランスポーター (crawler-transporter) も製造し、 これを使用して NASA は サターン V ロケットや後には スペース・シャトルを発射台に運んだ。
1884 年 8 月にオハイオ州マリオンで、 ヘンリー・バーンハート (Henry Barnhart)、エドワード・フーバー (Edward Huber) と ジョージ W. キング (George W. King) により、「マリオン蒸気ショベル会社」が設立され、、 20 世紀を通じて、販売と買収により成長した。 会社は 1946 年に 「マリオン・パワーショベル会社」 に名称を変更したが、 これは産業が蒸気動力からディーゼル動力への変更されたことを反映するためであった。
会社は 1976 年に売却された時に独立の企業ではなくなり、 ドレッサー・インダストリーズ (Dresser Industries) のマリオン部門となった。 1992 年にドレッサーはマリオン部門とこれ以外の資産を分社化 (spin off) し、 これはまもなくグローバル・インダストリアル・テクノロジー会社 (Global Industrial Technologies, Inc.) として知られるようになった。 グローバルは 1997 年にマリオン部門を売りに出し、 長期間ライバルであった ビューサイラス・インターナショナルがこの部門を 4010 万米ドルで買収した。 ビューサイラスはマリオン部門の製品をビューサイラスの製品ラインに統合し、オハイオ州マリオンの施設を閉鎖した。
マリオン蒸気ショベル会社はヘンリー・バーンハート (Henry Barnhart)、 ジョージ W. キング (George W. King), エドワード・フーバー (Edward Huber) により 1884 年 8 月に設立された。 蒸気ショベルはこれまでに米国で製造されていたが、 バーンハートはフーバーを説得して、自分のデザインを資金的に支援させるようにした。 バーンハートのデザインは他のメーカーよりもバケットの強力な支えを組み込んだものであった。 バーンハートとフーバーは 1883 年 9 月 18 日に米国特許 No. 285,100 の下にバーンハートの変更を特許にした。 バーンハートのデザインの一要素はショベルのブーム (張り出し棒、boom) を支えるために、 頑丈な鉄の棒 (豚環, hog ring) を使用するものであり、 単純な鉄の鎖よりも頑丈であった。
この機械は米国のプロジェクト管理が始まった後の、 1908 年 7 月に 1 日 8 時間稼働して25 日間に 53,000 立法ヤード (41,000 m3) の土砂を 移動する記録を樹立した。マリオンは大きな蒸気ショベルも小さな蒸気ショベルも生産し、 建築請負業者、鉄道、そして当時パナマ運河の建設に従事していた 米国陸軍工兵隊 (US Army Corps of Engineers) に供給した。
一台のマリオン・モデル 91 -- これはパナマ運河建設に使用されたもの -- は 2008 年に 国の歴史登録財 (National Register of Historic Places) に登録された。 【訳注：マリオン蒸気ショベル(ル・ロイ,ニューヨーク)を参照】 マリオンはモデル 20 シリーズのコントラクターズ・ショベルで最も成功した。
プロジェクトの期間に、マリオン・ショベルは与えられた時間枠の中での土砂の移動量で世界記録を破り (1908 年)、 単一バケットで持ち上げることができる重さ (8 トン) でも世界記録を破った (1911 年)。
タイプ 22 と 28 のマリオン・ショベルは最も人気があった。 これらは完全回転し、車輪もしくは無限軌道を持つコントラクターズ・ショベルであった。 およそ 800 台が 1905 年から 1930 年にかけて建造された。 請負業者 (コントラクターズ) や道路建設業者はこれらがとても便利だと気が付いた。 マリオンは土地の埋め立て計画のための浚渫船も建設し、 ドーソン・シティー (Dawson City) の有名なクロンダイク・ゴールド浚渫機も製造した (【訳注： クロンダイク・ゴールドラッシュを参照のこと】)。 トレンチング・ショベル (溝堀用ショベル、trenching shovel)、 ストリッピング・ショベル (表土剥ぎショベル、stripping shovel)、 鉄道ショベル (railroad shovel)、 ドラッグライン (引きずりクレーン、dragline) も製造した。 大きなショベルがオハイオ州の露天掘り炭鉱のために建造された。 1930 年代後半には、蒸気エンジンはディーゼルエンジンにとってかわられた。
1911 年にすべての大きなバケットを持つ蒸気ショベルの 90% がオハイオ州マリオンで製造され、 マリオンには他の企業の本部もあった： オズグッド蒸気ショベル (Osgood Steam Shovel)、 フェアバンクス蒸気ショベル (Fairbanks Steam Shovel)、 ジェネラル・エクスカベーティング・コーポレーション (General Excavating Corporation)。 ( 競争相手であるビューサイラス蒸気ショベルはマリオンから 15 マイル (24 km) 離れたオハイオ州ビューサイラス に設立されたが、まもなくウィスコンシン州ミルウォーキー (Milwaukee) に移転した。 これはビューサイラス市の役人が会社の拡張計画を認めることを拒否したからであった。)
1946 年 4 月に、会社は名称を「マリオン・パワーショベル会社」に変更し、 自社の製品をもっと密接に反映するようにした。
マリオンは 1939 年にウォーキング・ドラッグライン (walking dragline) を建造し、 巨大なストリッピング・ショベルを石炭産業に提供する立役者となり、 長いブームを持ち回転するストリッピング・ショベルを 1911 年に北米で仕事に就かせた最初の企業であった。 マリオンの一連の巨大ショベル -- この多くは大きさで世界記録を更新し続けた -- は 1956 年のマウンテンニア (Mountaineer) で開始した。 マウンテンニアは 16 階立てで、1 回のショベルでおよそ 90 トンを掘削し、 1950 年代には世界で最も大きなパワーショベルの 1 つであった。 マリオンの巨大なパワーショベルはまもなく世界最大のもの -- 1965 年製マリオン 6360 -- で頂点を迎えた。 イリノイ州キャプテン鉱山の 6360 は 180 立方ヤード (138 立方メートル) のディッパー (ひしゃく、dipper) で 操作した。重さは 15,000 米トン (13,600 トン) と見積もられ、 この機械はかって建設された地上で動く機械としては重量が最大という記録をいまだに保持している。
マリオンは NASA のクローラー・トランスポーターをデザイン・建設し、 これはサターン V ロケットと後にはスペース・シャトルをフロリダ州のケネディー宇宙センターの発射台に 運ぶのに使用された。
1955 年にマリオン・パワーショベルは同じ町の競争相手であるオズグッド会社を買収し、 オズグッド会社はマリオン・オズグッドやオズグッドの商標名でショベルを製造した。 オズグッドの製品ラインはマリオン・パワーショベルの補足をした。 オズグッドの製品の大半は容量が小さいショベル、クレーン、ドラッグラインに焦点をあわせていたが、 マリオンの製品はますます最先端の鉱山用のドラッグラインに焦点をあわせていたからである。 オズグッドはすぐに道路で操作出来る可動ユニットも建造しており、 これにはマックトラックの車台を使用した。
マリオン・パワーショベル会社は 1960 年代後半に経営陣により財政立て直しをしたが、 これは主だった株主で億万長者のペンシルバニア州ピッツバーグのヘンリー・ヒルマン (Henry Hillman) の署名による保証と PNC 銀行の名声のみによっていた。 1976 年にドレッサー・インダストリーズ社 (Dresser Industries, Inc.) はおよそ 25000 万米ドルで マリオン・パワーショベルを買収した。 1970 年代後半の炭鉱産業の大規模な成長の間に、 会社はパット・マクダウェル (Putt McDowell) の指揮のもとに、 1974 年の 1500 名の従業員から 1978 年の 3200 名以上もの従業員に成長した。
1992 年にドレッサー・インダストリーズは産業・鉱山装置の製造から撤退する決定をした。 影響を受ける資産は、マリオン部門も含め、インドレスコ (Indresco) の一部となった。 インドレスコは 1992 年にドレッサーにより作られた持ち株会社であり、 ドレッサーの株主にスピン・オフされた。 1995 年の 11 月 1 日に、インドレスコは名称を「グローバル・インダストリアル・テクノロジーズ会社」 (Global Industrial Technolofies, Inc) に変更した。
1997 年 1 月 23 日に、グローバル・インダストリアル・テクノロジーズはある種の資産を放棄することを表明し、 これにマリオン部門が含まれていた。 グローバル・インダストリアル・テクノロジーズは 1996 年の会計年度で 11440 万米ドルの収入があったマリオン・ショベル会社を 売却した。売却額は 4010 万米ドルで、1997 年 1 月 23 日にビュサイラス・インターナショナル社に譲渡された。 ビューサイラス・インターナショナルはマリオン・ショベル会社のオハイオ州マリオンの施設を閉鎖した。
マリオン・パワーショベルの歴史的な企業の書類や文書はオハイオ州ボウリング・グリーンの 「歴史的建設機械協会」(Historical Construction Equipment Association) とオハイオ州マリオンの「マリオン郡歴史協会」(Marion County HIstorical Society) の間で分割 (保持) されている。