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SS Great Western - Wikipedia

SS は steam ship (蒸気船) の意味です。

1838 年に建造された SS グレート・ウェスタン は船体がオークでできた外輪蒸気船で、 大西洋を横断することを目的に作られた最初の蒸気船であり、 グレート・ウェスタン蒸気船会社の最初の船である。 この船は 1837 年から 1839 年にかけて、世界で最大の客船であった。 グレート・ウェスタンはイザムバード・キングダム・ブルネルによってデザインされ、 輸送で十分であることがわかり、すべての木造の外輪蒸気船のモデルになった。 この船は 1843 年に至っても ブルー・リボン賞の記録を出すことが可能であった。 この船は 8 年間ニューヨークまで航行し、この後所有者が廃業した。 この船は王立蒸気パケット会社に売却され、1856 年にスクラップにされた。 もっともこの間にクリミア戦争の軍隊輸送船としても貢献した。

SS グレート・ウェスタン のブリストルからの処女航海、1838 年

1836 年にイザムバード・キングダム・ブルネルと彼の友人のトーマス・グッピー (Thomas Guppy) そしてブリストルの投資家のグループは 「グレート・ウェスタン蒸気船会社」 を設立して、 ブリストルとニューヨーク間の蒸気船航路を創設しようとした。 大西洋横断の定期船の考えは幾つかのグループで議論されており、 ライバルとなる 「ブリティッシュ・アメリカン蒸気航行会社」 が同時期に設立された。 グレート・ウェスタン のデザインは批評家に論争を引き起こし、 船が大きすぎると議論された。ブルネルが理解していた原理は 船が運べる容量は大きさの 3 乗で増え、水の抵抗は大きさの 2 乗で増えることであった。 これの意味することは大きな船の方が燃料の効率が良く、 大西洋横断の長い航海ではとても重要なことであった。

グレート・ウェスタンは鉄の帯で補強した木造製の舷側外輪船で、 4 本のマストで補助の帆を揚げていた。 帆は補助の動力を供給するだけではなく、 荒れた海で船を水平なキールの上に保持するために使用し、両方の外輪が常に水中にあって、 直線的に船を駆動することを確実にするためであった。 船体は伝統的な方法でオークから建設された。 この船はブリティッシュ・アメリカンの ブリティッシュ・クイーン が就任するまでの 1 年間、 最も大きな蒸気船であった。 グレート・ウェスタン はブリストルの 「パターソン&マーサー」 (Patterson & Mercer) の造船所で建造され、 1837 年の 7 月 19 日に進水し、ロンドンに航行し、ここで、「モーズリー、サンズ & フィールド」 会社の製造した二基のサイド・レバー蒸気エンジンを装着し、 二基あわせると 750 指示馬力であった。

1838 年 3 月 31 日に グレート・ウェスタン はエイヴォンマウス (ブリストル) に向けて、ニューヨークへの処女航海を開始した。 エイヴォンマウスに到着する前に、火災がエンジン室で発生した。 混乱の中で、ブルネルは 20 フィート (6.1 m) 落下し、負傷した。 火災は消し止められ、船の損傷はほとんどなかったが、 ブルネルをキャンビー・アイランドで上陸させなければならなかった。 この事故のせいで、50 名以上もの乗客がブリストル・ニューヨーク間の航行の予約を取り消し、 グレート・ウェスタンが終にエイヴォンマウスを出港した時には 7 人の乗客しか、 乗船していなかった。

ライバルのブリティッシュ・アメリカンの最初の船の建造が遅れ、 会社はニューヨークまでの航行で グレート・ウェスタン を打ち破るために、 シリウス をチャーターした。 シリウス はロンドン・コーク間 (London-Cork route) を走る アイルランド海の蒸気パケット船で、700 GRT (総登録トン数、gross register tonnage) であり、 乗客の宿泊設備を取り除いて余分の石炭庫にした。 この船は グレート・ウェスタン がコークで燃料を再積み込みする 3 日前に、 ロンドンを立った。ニューヨークに向けて出発したのは 4 月 4 日であった。 グレート・ウェスタン は火災の理由からブリストルで遅延し、 4 月 8 日まで出発しなかった。

4 日前に出発したにも関わらず、 シリウス は グレート・ウェスタン をかろうじて打ち破ったのみで、 4 月 22 日に到着した。 石炭が少なくなると、乗組員はドラム缶 5 缶分の松やにを燃やした。 グレート・ウェスタンは翌日に到着し、船上にはまだ 200 トンの石炭が残っていた。 ブルー・リボン賞の言葉は何年も後に造り出された言葉だが、 しばしばシリウスは (平均速度が) 8.03 ノット (14.87 km) で、 (ブルー・リボン賞の) 最初の勝利者であるとされている。 しかしながら、シリウスの記録は 1 日しか継続しなかった。 というのはグレート・ウェスタンの航行は (平均速度が) 8.66 ノット (16.04 km) で、 より速かったからである。

グレート・ウェスタン は乗客輸送では完全に満足すべきものであることがわかり、 他の大西洋の外輪船のデザインに影響を与えた。 キュナード・ラインの ブリタニア (Britannia) でさえ、 グレート・ウェスタン の縮小版であった。 1838 年 - 1840 年には、 グレート・ウェスタンは西に向かいニューヨークに至る航路では平均して 16 日と 0 時間 (7.95 ノット) であり、 祖国に戻るときには平均して 13 日と 9 時間 (9.55 ノット) であった。 1838 年に会社は 9% の配当を支払ったが、これ以上は配当が支払われなかった。 これは会社が次の船を建造するための出費の理由からであった。 ブリティッシュ・アメリカンがつぶれた後で、 グレート・ウェスタン は出港場所をエイヴォンマウスとリバプールの間で 交互に変えたが、1843 年にエイヴォンマウスからの出港を完全に見捨てた。 この船は儲け続けたが、共に走る船がなかった。 これは グレート・ブリテン の建造が長引いたからである。 1843 年に グレート・ウェスタン の収入は £33,400 で、 一方支出は £25,600 であった。

1845 年に グレート・ブリテン が輸送に加わると、 会社の運が改善した。しかしながら、1846 年 9 月に グレート・ブリテン が航行エラーから座礁し、 冬を越せないと予測された。 会社はグレート・ウェスタンのすべての航行を中断し、廃業した。 グレート・ウェスタン は所有者により、8 年間に 45 回の横断を完了した。 1847 年に、船は王立蒸気パケット会社に売却され、 西インド諸島 (West Indies) との往復に使用された。 これは、この船がクリミア戦争の軍隊輸送船として使用された後のことである。 1856 年に船はテムズ川沿いのミルバンク (Millbank) のキャッスルの造船所で解体された。