ファード (Fyrd)

ファード (古英語 (Old English) の発音 [fyrˠd]) は初期のアングロ・サクソンの軍隊の一形式で、自由人 (freeman) から動員されたり、シャイア (Shire) の領主の地所を守る傭兵から動員されたり、あるいは王室遠征隊 (royal expedition) に加わるための選抜代表から動員された。ファード (fyrd) の任務は通常短期間で、参加者は自分自身の武器と食料を持参することが要求されていた。ファードの組織 (composition) は、とりわけバイキングによる襲撃と侵略への反応として長年の間に進化した。防衛と徴兵制のシステムはアルフレッド大王 (Alfred the Great) の治世の間に再編成され、彼はウェセックス王国 (kingdom of Wessex) に 33 の要塞化した町 (あるいはバー (burh)) を設置した。各町を維持するのに必要な課税額はバーガル・ハイディッジ (Burghal Hidage (/ˈbɜːrɡəl ˈhaɪdɪdʒ/, 「バーグのハイド数」)) と呼ばれる文書で制定された。各領主はハイド (hide) で査定された土地を個々に所有していた。保有した土地に基づき、彼はバー (burhs) を維持・防衛するために人員・武器を提供しなければならなかった。この要求に従わなければ、厳しい罰になった。

究極的にファード (fyrd) は経験を積んだ兵士が中心となり、ここにシャイアの普通の村人と農民が補足し、領主に随行した。

中世初期のゲルマン民族 (Germanic) の支配者は地方徴兵により供給される歩兵隊 -- ファード(fyrd) -- に依存し、初期のアングロ・サクソン時代のイングランドの幾つかの王国の軍事力が依存したのはこのシステムであった。アングロ・サクソンの文書では、軍事任務 (military service) は fyrd-faru, fyrd-færeld, fyrd-socn, あるいは単にファード (fyrd) として表現されている。ファード (fyrd) はアングロ・サクソンのシャイア (shire) の地方民兵であり、ここにすべての自由人 (freeman) が務める必要があった。軍務を拒否する者は罰金を課せられたり、土地を失った。イネ (Ine) の法律によれば

土地を持っている貴族が軍務を放置すれば、彼は 120 シリングを支払い、土地を失うことになる; 土地を持っていない貴族は 60 シリングを支払うことになる; 平民は軍務を放置すれば 30 シリングの罰金を支払うことになる。

地方の襲撃を処理することはシャイアのファード (fyrd) の責任であった。国王は全国の民兵 (national militia) を招集して、王国を守らせることができるが、とりわけバイキングによる速攻の襲撃 (hit and run raids) の場合には、通信と補給の問題から、全国の民兵は十分速く招集できないので、ほとんど招集されなかった。

歴史家はファード (fyrd) が従士 (thegn) と傭兵 (mercenary) を含んでいたか否かで意見を異にしている。始めは、軍隊は恐らく全く歩兵だけであったことであろう。しかしながらアルフレッド (Alfred) の時代から騎乗歩兵 (mounted infantry) の軍隊があったことであろう、彼らは問題がある場所に素早く馬で駆けつけて、馬から降りて襲撃軍を追い払ったことであろう。また、アルフレッド (Alfred) の再編成の後で、彼の軍隊には 2 つの要素があった。 選抜ファード (select-fyrd) と呼ばれる最初のものは、最もあり得ることは、厳密に王室の騎乗歩兵軍隊で、従士 (thegn) とその家臣 (retainer) から構成され、伯爵 (earls) とリーブ (reeves) によって支援されていた。 2 番目は地方民兵 (local militia) あるいは一般ファード (general-fyrd) で、シャイア (shire) と自治区 (borough district) の防衛の責任があり、自由人 (freeman) -- 例えば小規模テナント農民と地方の従士 (local thegn) とリーブ (reeve) -- から構成されていたことであろう。 11 世紀には、歩兵隊はハウスカール (housecarl) の精鋭軍 (elite force) の追加により強化された。しかしながら、もっと最近の研究により示唆されることは、騎乗要素がウェセックス (Wessex) によって提供される選抜ファード (select fyrd) のみがいたことである。

アングロ・サクソン年代記 (Anglo-Saxon Chronicle) でバイキングの軍隊 (Danish Army) を表す古英語 (Old English) は "here" である: ウェセックスのイネ (Ine of Wessex) はおよそ 694 年に刊行された法典 (law code) で、侵略軍あるいは 35 名以上から成る襲撃部隊として、"here" の定義を与えている。しかし、"here" とファード ("fyrd") の用語は、イングランドの民兵に関する限りでは、後の文献では区別なく使用されている。

アングロ・サクソン時代のイングランドのテナントは彼らの土地保有を基礎にした 3 つの義務があった：軍務、要塞工事、橋の修繕のいわゆる「共通の負担」 (common burden) であった。土地の保有者が他の王室の任務を免除されても、この 3 つの負担は留保された。この実例には 858 年の認可状があり、ここでケントのエゼルベルト (Æthelberht of Kent) は彼の従士 (thegn) の Wulflaf と土地を交換した。これが条件として要求したことは、Wulflaf の土地が、軍務、橋の建設、要塞工事を除き、すべての王室任務 (royal services) と非宗教的義務から解放されることであった。

要塞や橋の修理、あるいは軍務を怠れば、誰でも、イングランドの法治地域で国王への補償として 120 シリングを払うことになる。そして、この額はデーンロウ (Danelaw) ..... の既存の規則 (regulation) により固定されている。

イングランドは 8 世紀末以後、バイキングによる襲撃に苦しみ、当初は主に修道院 (monastery) が襲撃された。襲撃された最初の修道院は 793 年で、北東の海岸沖のリンディスファーン島 (Lindisfarne) にあり、アングロ・サクソン年代記 (Anglo-Saxon Chronicle) はバイキングを異教徒人 (heathen men、ヒーズン・メン) と記述している。襲撃は 860 年代まで断続的に継続し、この時にバイキングは戦術を変えて、襲撃の代わりに大軍を派遣してイングランドを侵略した。この軍隊はアングロ・サクソン年代記 (Anglo-Saxon Chronicle) には大異教徒軍 ("Great Heathen Army") として記述された。デーン人はまもなく 878 年にアルフレッド大王 (Alfred the Great) により「エディントンの戦い」 (Battle of Edington) で打破された。このすぐ後に「アルフレッドとグスルムの条約」 (Treaty of Alfred and Guthrum) が続き、この条約の下で、イングランドはウェセックス (Wessex) のアングロ・サクソン人 (Anglo-Saxons) とバイキングの間で分割された。しかしながら、大陸で活発な別のバイキングの軍隊 (Danish army、デーン人の軍隊) による脅威が継続した。大陸で暴れまわるバイキングの軍隊は、アルフレッド (Alfred) に彼のウェセックス王国 (Kingdom of Wessex) を防御することを促した。彼は海軍を作り、陸軍を再編して、バー (burh) と呼ばれる要塞化した町のシステムを設置した。

このシステムの各要素はバイキングの襲撃と侵略により暴露されるウェスト・サクソン (West Saxon) の軍事組織の欠陥の改善を意味した。もしも、既存のシステムの下で、軍隊を迅速に招集して、機動的なバイキングの侵略をインターセプトできなければ、明らかな解答は野戦常駐軍 (standing field force) を持つことである。これによりウェスト・サクソンのファード (fyrd) を国王の部下と随行者の散発的な招集から、騎乗した常駐軍に変更することが必要となれば、そうするだけであった。もしも彼の王国に敵の前進を阻む拠点がなければ彼はそれを作ることになった。敵が海から襲えば自分の海軍で反撃することになった。。バー (burh) と常駐軍を維持するために、課税と徴兵のシステムを設定した。これは文書に記録され、今ではバーガル・ハイディッジ ( Burghal Hidage ((/ˈbɜːrɡəl ˈhaɪdɪdʒ/))) と呼ばれ、 33 の要塞化した町が課税価値 (ハイド (hide) と呼ばれる) と共に一覧にされている。特質上、アルフレッド (Alfred) の刷新 (innovation) の全ては伝統的なウェスト・サクソン (West Saxon) の実践にしっかりと根ざし、この実践は、実際にそうであったように、この負担 (burden) は、すべての勅許保有地 (bookland) と王室貸付土地 (royal loanland) の全ての保有者が国王に負っている 3 つの「共通の負担」 ('common burdens') から取り出した。アルフレッド (Alfred) がその天才を明らかにしたのは、野戦軍 (field force) とバー (burh) を一貫した軍事システムの一部分としてデザインしたことである。

アングロ・ノルマン (Anglo-Norman) の国王であるイングランドのヘンリー 1 世 (Henry I) は即位式でエドワード懺悔王 (Edward the Confessor) の法律の回復を約束し、ウェスト・サクソン (West Saxon) の王室の先祖を持つスコットランドの王女と結婚した。彼はファード (fyrd) を招集して、彼の封建制軍隊 (feudal levies) を補足して、全イングランド軍にしたと、オルデリック・ビターリス (Orderic Vitalis) が報告している。これはヘンリー 1 世 (Henry I) の兄弟のロバート・カートホース (Robert Curthose) の失敗した侵略の反撃のためであり、 1101 年の夏と 1102 年の秋の両方にあった。

初期の米国の軍事組織の見解は、ファード (fyrd) を植民地バージニアを守るための理論的な原理と考えた。