以下の文書は以下の日本語訳です。

Simple suspension bridge - Wikipedia

単純吊り橋 (あるいはロープ橋 (rope bridge)、 スイング橋 (swing bridge, ニュージーランドでの呼び方)、 suspended bridge、hanging bridge、あるいは懸垂橋 (caterary bridge) とも呼ばれる) は原始的な橋の型式で、 両端のアンカーにより完全に支えられた橋で、 塔や橋脚がないものである。 しかしながら、サドル (訳注：ケーブルを載せる場所) はあるかも知れない。 このような橋では、 橋の路面は重さを支えるケーブルの上向き、あるいは下向きの弧に従い、 高い場所にある軽い追加のロープが手すりの役目をする。 この代わりに、短い橋脚で支えられた頑丈な手すりのケーブルが主な重さを支える要素となり、路面が支えられているかもしれない。 単純吊り橋は川あるいは峡谷の 2 つの高い場所からうまく吊り下げられ、 浅い下向きの懸垂線となり、現代的な道路と鉄道には適していない。 傾きによる現実的な制限 (すなわち路面は弧であって、平面ではない) と 橋の路面の動的な荷重の応答により、この型式の橋は長さと相対的に、 荷重を支える容量が全く制限されている。 しかしながら、この型式の橋は発展途上国では、 最も効率が良く、持続可能なデザインで、 とりわけ峡谷のような氾濫原のない地形の川の横断ではこれが当てはまる。

ツィラータール・アルプス (Zillertal Alps) の単純吊り橋

前後関係によっては 「単純吊り橋」 の用語はこの型式の橋を指すのではなく、 吊り橋で路面が硬化されていないという意味で 「単純」 であることを指すことがある。 「単純吊り橋」(simple suspension bridge) と 「単純吊り下げ橋」 ("simple" suspended deck bridge) は多くの点で、類似しているが物理学が違っている。 「単純吊り橋」 では主ケーブル (あるいは鎖) は双曲線、懸垂線となる。 これは主ケーブルが自由吊り下げになっているからである。 これと比較すると、「吊り下げ路面」 は (「単純」 であろうと、そうでなかろうと) 主ケーブルは放物線になる。 これは主ケーブルが一定間隔で下の路面に接続されているからである。 この 2 つの曲線の違いは 17 世紀の重要な問題で、 これで仕事をした人の中にアイザック・ニュートンがいた。

ブリティッシュ・コロンビア州リン・クリーク (Lynn creek)

ストレス・リボン橋 (stressed ribbon bridge) にも 1 つ以上の懸垂線と主ケーブルに載せられた路面がある。 しかしながら、単純吊り橋とは違い、 ストレス・リボン橋は硬化した路面があり、通常は主ケーブルの上に圧縮要素 (コンクリートの厚板) を追加している。この硬さにより、橋はもっと重く、広く、そして安定する。

単純吊り橋は吊り橋で知られているもので、 コロンブス以前の大洋越え (trans-oceanic) の接触を無視すれば、 単純吊り橋には少なくとも 2 つの独立な発明があり、 これは広域ヒマラヤ地区と南アメリカにあった。

吊り橋の最も初期の言及は、 中国の外交官によるヒマラヤの西端と南端 -- アフガニスタンの ヒンドゥークシュ山脈、 ガンダーラと ギルギットの土地 -- の国々への使節の漢朝の記録に登場する。 これらはツタから作った 3 本以上のケーブルからなる単純吊り橋で、 人々はロープの上を直接横断した。 後には 2 つのケーブルの上に安置して作った厚板の路面も使用した。

南アメリカでは、インカ・ロープ橋は 16 世紀にスペイン人がアンデスに登場する前のものである。 最古の吊り橋は遺跡からわかり、中央アメリカの 7 世紀のものである (ヤシュチランのマヤ橋を参照)。

鉄の鎖を使用した単純吊り橋もチベットと中国で文献に記録されている。 長江上流の 1 つの橋は 7 世紀にさかのぼる。 幾つかの橋は、チベットの僧侶のタントン・ギャルポ (Thang Tong Gyalpo) によるものとされ、 彼が 15 世紀にチベットとブータンで幾つかを建設したことが報告され、 これにはチャクザム橋 (Chakzam) と Chuka 村の橋が含まれていた。 別の実例には 瀘定橋 (Luding Bridge) があり、1703 年のもので、 11 個の鉄の鎖を使用して 100 m を渡した。

ワイヤー・ケーブル吊り橋の発展は 1822 年に マルク・スガン (Marc Suguin) と 彼の兄弟によるアノネー (Annonay) の一時的な単純吊り橋に始まる。 これは 18 m を渡したのみであった。 しかしながら、単純吊り橋のデザインはジェームズ・フィンリーによる 19 世紀の 吊り下げ路面橋の発明と特許により大体は時代遅れとなった。 シュリーナガル (Srinager) -- 当時は ガルワール王国 (Garhwal Kingdom) の一部 -- の 18 世紀末のイングランド人の橋の絵は吊り下げ路面橋の発明の先を越していた。 この異常な橋は氾濫原に建設され、 塔に支えられた単純吊り橋に進入するために吊り下げ路面のランプ (ramp) があった。

ガルワール王国シュリーナガル の 18 世紀のロープ橋

橋の型式はロープからの歴史的建設方法により、ロープ橋と呼ばれる。 インカ・ロープ橋は今でも土着の資材 -- 主にロープ -- により建設され、 南米の幾つかの地域に残っている。 このようなロープ橋は資材の限られた寿命により、時々更新する必要があり、 ロープ部品は共同体努力への家族たちの貢献から作られた。

ジュロン・バード・パーク (Jurong Bird Park) ロープ橋 (シンガポール)

単純吊り橋は、歩行者と家畜のために今なお建設され、 古代インカ・ロープ橋に基づいているが、 ワイヤー・ロープの使用と時々、木材ではなく鋼やアルミの格子路面が使用される。

現代的な橋では (繊維の) ロープの代わりに使用される資材には、 ワイヤー・ロープと特別な目的のための節 (ふし) で繋いだ鋼の梁がある。

インド北部の メーガーラヤ州 (Meghalaya) の カーシ (Khasi) とジャインティア (Jaintia) では 部族民 (tribal people) は生きている根の橋を作り、 これはツリー・シェーピング (tree shaping) の一種である。 ここでは、単純吊り橋は水路に沿ったバンヤンツリー (banyan tree) のインドゴムノキ (Ficus elastica) の根を仕込んで作る。 170 フィート (52 m) 以上のスパンを持つ実例がある。 これらはその成分である根が太く育つにつれ、 自然に自己更新し (self-renewing)、 自己強化し (self-strengthening)、 あるものは 500 年以上経ていると思われる。

メーガーラヤ州ノングリアット (Nongriat) 村 の生きている根の橋 (2 本)

橋の路面の弧は懸垂線と放物線の間を変化し、 橋自身の重さと橋が支える荷重に依存する。

この型式の最も軽いものは、単純なフットロープ (footrope, 足場網) から構成され、それ以外はない。 これらはタイトロープ (硬く張ったロープ、tightrope) かスラックライン (緩んだロープ、slackline) になっていて、使用するのに技術が必要である。 もっと普通には、フットロープには 1, 2 本の手すりロープが付属し、所々で垂直なサイド・ロープで接続されている。 この型式は山岳民によって使用される。 少し重い変種は 2 本のロープが 1 つの路面と 2 本の手すりロープを支えるものである。 手すりは必要である、というのはこのような橋は横や縦に振動しやすいからである。 時々、フットロープ (あるいはフットロープ + 手すりロープ) に ジップライン (zip-line) に似た頭上ロープが組み合わせられている。

単純吊り橋では路面は 主ケーブルの上にある。	吊り下げ路面橋では、路面は 垂直なサスペンダー (吊り具) で主ケーブルの下に支えられる。

同じスパンと垂れ下がりを持つ懸垂線 (黒い点線) と放物線 (赤い実線)。 懸垂線が表示するのは、単純吊り橋、あるいは「吊り下げ路面吊り橋」で 路面と吊り具がケーブルと比較して無視できる重さの時。 放物線が表示するのは「吊り下げ路面吊り橋」で、ケーブルと吊り具が 路面と比較して無視できる重さの時。

幾つかの場合に、例えばカピラノ吊り橋 (Capilano Suspension Bridge) では、 主な支えが手すりとなり、路面がこの下に吊り下げられている。 これにより、主な支えが路面の場合より、路面には多くの横揺れがあるが、手すりには揺れがない。

単純吊り橋に関連した不利な点はとても大きい。 路面の位置は制限され、大きなアンカレッジと橋脚が 一般には必要であり [訳注：原文が間違いで、橋脚があるのは単純吊り橋ではない]、 荷積みによって路面が一時的に変形する。 これらの問題の解決のために路面を硬化する幅広い方法につながった。 これにはストレス・リボン橋 (stressed ribbon bridge) が含まれ、 これは単純吊り橋に密接に関連しているが、 車両通行のために路面硬化をしている。

非常に軽い橋は高いテンションでケーブルを建設すれば、 吊り下げ路面橋 (吊り橋) に近くなり、路面はほゞ水平になる。

橋は主な構造荷重や動的荷重を支えないケーブルの追加によって硬化でき、従って比較的軽くできる。 これにより風の中の安定性が得られる。 1 つの実例はドラック川 (Drac, 仏) を モンテナール・アヴィニヨネ湖 (Lac de Monteyard-Avignonet、ダム湖の名称) で横断している：この橋の路面の下と横には安定化ケーブルがある。

これらの橋で最も軽いものは、路面がなく、歩行者のみの使用に適している。 路面がある軽い橋で、十分なテンションがあり、橋の横断で進入するのに登る必要がなければ、 荷馬 (馬以外の他の動物でもよい)、乗馬、そして自転車も使用できる。 この型式の軽い橋をある程度の速さで歩くには、特別な滑り足が必要である。 というのはもっと普通な歩き方では (不愉快な) 上下、左右の揺れがあるからである。 例外は固定化された橋で、これは全く安定化させることができる。

単純吊り橋は野外リクリエーションの応用がある。 これらはツリー・トップ・トレイル (tree-top trail) には人気が高い選択で、地形が適していれば小川の横断に適している。 これらは安定化するようにデザインしていなければ、橋が自由に動き、利用者にもっと面白い経験を提供する。

フランスでは、原始的な単純吊り橋は型式により 3 つの名前で呼ぶ： pont himalayen (ポン・イマレイヤン (ヒマラヤ橋)、 1 本のフットロープと両側に手すり・ロープ、通常は路面がない)、 pont de singe (ポン・ド・サンジュ (猿の橋)、 一本のフットロープと頭上のロープ)、 tyrolienne (チロリエンヌ、 ジップ・ライン) がある。 ジップ・ラインを横断するには下に垂れ下がったり、あるいは歩く (これは例外的にバランスがある人ができる)。 ポン・イマレイヤン (pont himalayen) で 2 本の主ケーブルの間に路面があるもっと発展したものは passerelle himalaynne (パッセレル・イマレイエンヌ、ヒマラヤ歩道橋) と呼ばれる。この型式の実例にはフランスの モンテナール・アヴィニヨネ湖 (Lac de Monteyard-Avignonet) の 2 つの橋がある；これらの橋は例外的に長い。

単純吊り橋 アブハジアの川	キャノピー (林冠)・ウォーク (マレーシア)	単純吊り橋

ストレス・リボン橋	コラム (Kollam, インド) テンマーラ (Thenmala) のハンギング (hanging) 橋 [訳注：単純吊り橋ではない ?]	パキスタン、 ギルギット・バルティスタン、 アストア峡谷

フィンランドの 単純吊り歩道橋	フィリッピン、 ボホール (Bohol) の単純吊り橋	カピラノ吊り橋 手すりケーブルで支持

ブレゲンツの森 (Bregenzerwald) のリンゲナウ (Lingenau) の 単純吊り橋、ほぼ水平な路面	オーストリア、カイザーシルト (Kaiserschild) (登山路のロープ道)	モンテナール・アヴィニヨネ湖 のドラック橋

ドラック橋の近接写真 安定化ケーブルが見える。	日本静岡県の 単純吊り歩道橋 安定化ケーブル