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Illinois Country - Wikipedia

訳しにくい言葉に トレードがあります。ポスト (post) あるいはもう少し厳密にトレード・ポスト (trade post) は日本語では 「交易所」 と訳しますが、これは場合によっては誤訳の可能性があります。 というのは日本語の 「交易」 には 「物々交換」 の意味しかないためです。 初期の毛皮ポスト (fur post) では毛皮と物資の交換をしたと思いますが、 ヨーロッパ人はインディアンから土地を金で購入することもあり、 少なくとも後世にはヨーロッパの金銭もインディアン達が受け入れていると思われます。 従って、トレード・ポストで、インディアン達から毛皮をヨーロッパの金銭で購入した時もあったと思われる。 (逆にインディアン達はヨーロッパ人から、例えば、銃や火薬を金銭で購入するようになると思われる。) そのため、「毛皮交易所」などの訳語は一般になるべく避けています。

イリノイ・カントリー (仏語： Pays des Illinois; 逐語的には 「イリノイ人の土地」 ("land of the Illinois (plural)"; スペイン語 : País de los ilinueses) ―― 時にはアッパー・ルイジアナ (upper Louisiana) (仏語： Haute-Louisiane [ot.lwi.zjan]； スペイン語： Alta Luisiane) と呼ばれる ―― は 1600 年代に領有権が主張された ニュー・フランスの広大な領域で、 現在は 米国中西部 (Midwestern United States) である。 これらの名称は一般にアッパー・ミシシッピ川流域 (Upper Mississippi River、上流ミシシッピ川) の全体を言及するが、 フランスの開拓地はミシシッピ川とイリノイ川に沿って集中し、 これは現在の米国イリノイ州とミズリー州で、及びインディアナ州のワバッシュ川 (Wabash River) の開拓地 (outpost) である。 1673 年に、 グリーン湾 (Green Bay) から アーカンソー川 (Arkansas River) に至る探検が、ルイ・ジョリエ (Louis Jolliet) とジャック・マルケット (Jacques Marquette) によるカナダ探検隊により実施され、フランスにより領有権が主張された。 ここに入植したものは、ペイ・ダン・オー (Pays d'en Haut、 [pɛ.i dɑ̃ o]、[訳注：アッパー・カントリーの意味で、 ニュー・フランスの領地]) から毛皮トレードを背景にするものと、 フランスのカトリック修道会 (religious order) によるカナダからの布教組織である。 時間と共に、 少々のフランス人は、毛皮トレードでロッキー山脈のはるか果てに至り、 とりわけ広いミズーリ川峡谷の支流沿いにまで至った。 フランス語のペイ・デ・ジリヌワ (Pays des Illinois) は 「イリノイ人 (複数) の土地」 (Land of the Illinois) を意味し、イリノイ連合 (Illinois Confederation) を言及する。 これは アルゴンキン原住民の同族グループである。

イリノイ・カントリー (Pays des Illinois) ニュー・フランスの行政地区 (District of New France) 1675年-1769 年, 1801年-1803年 旗 フランスの小紋章 (lesser coat of arms)、 政府により使用。

イリノイ・カントリー (1717 年) (Pais des Illionois (sic))

1717 年に至るまで、 イリノイ・カントリー (Illinois Country) は フランス領カナダ (French province of Canada) により統治されていたが、 国王 ルイ 15 世の命令でイリノイ・カントリーはフランス領ルイジアナ (French province of Louisiana) に併合され、 "アッパー・ルイジアナ" (Upper Louisiana) と呼ばれた。 18 世紀中頃までに、主な開拓地に含まれたのは： カホキア (Cahokia), カスカスキア (Kaskaskia), シャルトル (Chartres), セント・フィリップ (Saint Philippe), そしてプレイリー・デュ・ローシェ (Prairie du Rocher) で、これらはすべて現在のイリノイ州のミシシッピ川の東岸にある； そして、ミズーリ州の川を横断したサント・ジュヌビエーブ (Ste. Genevieve) があり、 更には、現在のインディアナ州のヴィンセンヌ砦 (Fort Vincennes) があった。

1746 年のフレンチ・インディアン戦争におけるフランスの敗北の結果、 ミシシッピ川東のイリノイ・カントリーは英国に移譲され、 英国領ケベック (British Province of Quebec) の一部分となり、 川の西側はスペインに移譲された (ルイジアナ (Luisiana))。

アメリカ独立戦争の最中にバージニア人の ジョージ・ロジャーズ・クラーク (George Rogers Clark) は英国に 対するイリノイ戦役 (Illinois campaign) を率いた。 ミシシッピ川東のイリノイ・カントリーは当時の オハイオ・カントリーの多くと共に、 征服により、バージニアのイリノイ・カウンティ (Illinois County) の一部分となった。 このカウンティは 1782 年に廃止され、 1784 年にバージニアは領有権を譲渡した。 この地域の一部分は米国の 北西部領土 (Northwest Territory) に組み込まれた。 名称は 1809 年と 1818 年の間には イリノイ準州 (Illinois Territory) として、 そして 1818 年の連合国家 (union) への編入後は イリノイ州として 存続した。 ミシシッピ川西のイリノイ・カントリー (Illinois Country) の残りの部分は 1803 年の ルイジアナ買収 (Louisiana Purchase) で米国が獲得した。

イリノイ・カントリーの境界は色々な方法で定義されるが、 今では 「アメリカの底」 (American Bottom、[訳注：ミシシッピ川の氾濫原]) と呼ばれる地域がすべての説明の中心に近い。 「イリノイ」 (Ilinois) として指定される最も初期の地理的造作の 1 つは、 1671 年にフランス・ イエズス会 (French Jesuits) により作られた地図で、後にミシガン湖と呼ばれたものであった。 初期のフランス宣教師とトレーダーはミシガン湖の南西と南東の地域を、アッパー・ミシシッピ川流域 (upper Mississippi Valley) の多くを含めて、 イリノイと呼んだ。 イリノイ (Illinois) はイリニウェック (Illiniwek、[訳注：インディアンの部族名]) が住んでいた地域に与えられた名前でもある。 1685 年の地図は湖南西の大きな地域を les Ilinois (イリノイ) と名前を付けている； 1688 年に、イタリアの地図製作者のヴィンチェンツォ・コロネリ (Vincenzo Coronelli) はこの地域を (イタリア語で) イリノイ・カントリーと名前を付けている。 1721 年に、ルイジアナ (Louisiana) の 7 番目の軍事地区 (military district) はイリノイ (Illinois) と名付けられた。 これが含んでいたのは： 現在の州の半分以上、 更にはアーカンソー川 (Arkansas River) と北緯 43 度の緯線の間、 ロッキー山脈とミシシッピ川の間の土地であった。 1722 年の王室布告 (royal ordinance) ―― イリノイ・カントリーの統治をカナダから、ルイジアナに移行することに引き続いたもの ―― はこの地域の最も広い定義を呼び物にしているかもしれない： 五大湖の南、オハイオ川の流出口 (mouth) の北でフランスにより領有権が主張されたすべての土地で、 これが含んでいたのはミシシッピ川の両岸と、更にはロウアー・ミズーリ川流域 (lower Missouri Valley、[訳注：下流ミズーリ川流域]) であった。 1723 年に ウォバッシュ川 (Wabash River) の周囲の地域 (area) は別の行政地区 (district) になった。

1681 年の新世界 (New World) の地図。北に ニュー・フランスと五大湖、西にミシシッピ川の黒い線 そして川の流出口 (将来のニューオーリンズ)、当時は未知の土地 (terra incognita)。 イリノイ・カントリー (Pays des Illinois) は五大湖の南西地区

一世代後に、カナダとルイジアナのトレードの衝突により、フランスの植民地の間に 境界がもっと (正確に) 定義された； 1745 年に、 ルイジアナ総督の ヴォードルイユ (Vaudreuil) が彼の領域の北東限界を次のように設定した： ウォバッシュ峡谷 (Wabash valley) を遡上して、バーミリオン川 (Vermillion river) の流出口 (mouth、現在のイリノイ州 ダンビル (Danville) の近く) に至るまで； ここから北西にイリノイ川沿いのル・ロシェ (le Rocher) に至るまで； そして、ここから西に向かってロック川 (Rock River) の流出口 (現在のイリノイ州ロック・アイランド (Rock Island)) に至るまで。 従って、ヴィンセンヌ (Vincennes) と ピオリア (Peoria) はルイジアナの限界点 (the limit of Louisiana's reach) の 近くにある； ウィアテノン (Ouiatenon) の前哨地 (outpost) (現在のインディアナ州ラファイエット (Lafayette) の近くのアッパー・ウォバッシュ川 (upper Wabash、上流ウォバッシュ川) 沿い)、 シカゴ (Checagou)、 マイアミ砦 (Fort Miamis) (現在のインディアナ州 フォートウェイン (Fort Wayne、ウェイン砦) の近く)、 そしてプレーリー・ドゥ・シーン (Prairie du Chien、/ˌprɛri du ˈʃiːn/) はカナダに依存して操業した。

カナダとイリノイ・カウンティの間の境界は 1763 年のパリ条約 (Treaty of Paris) まで有効で、 その後フランスはミシシッピ川東の残りの領土を英国に明け渡した。 (英国軍はイリノイ・カントリー (Illinois country) とウォバッシュ・カントリー (Wabash country) の カナダ人基地 (posts) を 1761 年に占領したが、 平和条約締結後の 1764 年まで、ヴィンセンヌ開拓地 (Vincennes settlement) や ミシシッピ川開拓地 (Mississippi River settlement) を占領することがなく、 これはカホキア (Cahokia) と カスカスキア (Kaskaskia) にあった。) 新たに制服した土地の状態に関しての一般報告の一部分として、 トーマス・ケイジ将軍 (Thomas Cage) ―― 当時モントリオール (Montreal) の司令官 ―― が 1762 年に説明したことによると、 ルイジアナとカナダの境界は正確ではないが、 理解されていることは、イリノイ川の流出口の上流のアッパー・ミシシッピ川 (upper Mississippi river) は カナダ人のトレードの縄張り (territory) であった。

1763 年のパリ条約の後で、違いが少々明らかとなった。 この時英国はカナダ及びミシシッピ川東で、 フランスが領有権を主張していた土地を手に入れ、 スペインはミシシッピ川西のルイジアナを手に入れた。 多くのフランス人開拓者は川の西に移動して、英国支配を逃れた。 西岸では、スペイン人はセントルイス (St. Louis) から支配する西の地域を イリノイ地区 (District of Illinois) と呼び、 セントルイスをイリノイ市 (city of Illinois) と呼び続けた。

イリノイ・カントリーの最初のフランスの探検は 17 世紀前半にあり、 カナダに拠点を置く探検家と宣教師が統率した。 エティエンヌ・ブルレ (Étienne Brûlé) は 1615 年に アッパー・イリノイ・カントリー (upper Illinois country、 [訳注：上流イリノイ・カントリー]) を探検したが、 その経験を記録しなかった。 ジョセフ・デ・ラロシュ・ダイロン (Joseph de La Roche Daillon) はミシシッピ川集水域 (Mississippi River basin) の 最も北東の端の油井 (oil spring) に到達した、 これは彼の 1627 年の布教旅行の最中であった。

ニュー・フランス西部の地図、イリノイ・カントリーを含む。 ヴィンチェンツォ・コロネリ作 (Vincenzo Coronelli)、1688 年

1669 年 - 1670 年に、 ジャック・マルケット神父 (Father Jacques Marquette) ―― フランス領カナダの宣教師 ―― はスペリオール湖の布教活動基地 (mission station) にいて、 イリノイ連合 (Illinois Confederation) の原住民トレーダーに会った。 彼は彼らの国を南に、西に流れる大きな川 (great river) のことを学んだ。 1673 年 - 1674 年に、カナダ政府の依頼で、 マルケット (Marquette) とルイ・ジョリエ (Louis Jolliet) は ミシシッピ川の領地を グリーン湾 (Green Bay) から、 アーカンソー川 (Arkansas River) まで探検し、これに イリノイ川流域が含まれていた。 1675 年にマルケット (Marquette) は帰還して、 イリノイのグランド・ビレッジ (Grand Village、大きい村) でイエズス会布教施設 (Jesuit mission) を設立した。 次の数十年以上の間に、布教施設 (mission)、トレード基地 (trade post) そして砦がこの地区に設立された。 1714 年までに、原住民でない、主なヨーロッパ人は、 カナダ人の毛皮トレーダー、宣教師、そして兵隊であり、 アメリカ原住民、とりわけ カスカスキア族 (Kaskaskia) と呼ばれるグループと取引をした。 主要なフランス人の開拓地が設立されたのは： カスカスキア (Kaskaskia)、 カホキア (Cahokia)、そしてサント・ジュヌビエーブ (Sainte Genevieve) であった。 1752 年までに人口は 573 名に増えた。

1710 年代から 1730 年代までに、 フォックス戦争 (Fox War) が フランス人、フランスの同盟部族、そしてアメリカ原住民の メスクワキ族 (Meskwaki, フォックス族 (Fox)) の間で、とりわけ毛皮トレードをめぐって発生し、 戦争が起きた場所は 現在のイリノイ州北部、ウィスコンシン州南部、 そしてミシガン州であった。 紛争の最中に、現在のイリノイ州 マクリーン・カウンティ (McLean County) で、 フランス人と同盟軍は 1730 年に メスクワキ族 (Meskwaski) に対して、重要な戦闘に勝利した。

ルネ＝ロベール・カヴリエ・シュ・ド・ラ・サール (René-Robert Cavelier, Sieur de La Salle) により率いられたフランスの探検隊は 1682 年の 冬にイリノイ川のそばの大きな ビュート (butte, [訳注: 周囲の切り立った丘]) の上に セント・ルイス砦 (Fort St. Louis) を建設した。 ビュート (butte) はル・ロシェ (Le Rocher、岩) と呼ばれ、川の上方の砦に有利な位置を提供した。 木造のパリセイド (palisade) はラ・サール (La Salle) がこの場所を確保するのに使用した唯一の防衛形式であった。 砦の中には少々の木造の家屋と自然の避難所 (shelter) があった。 フランス人はセント・ルイス (St. Louis) を幾つかの砦の最初のものにして、 これによって英国人の侵入を防ぎ、彼らの開拓地を東海岸に制限しようとした。 この地域にフランス人に同行したのは、東部地区の幾つかの原住民部族の同盟メンバーで、 彼らは カスカスキア族 (Kaskaskia) と同化した： このような部族に マイアミ族 (miami)、 ショーニー族 (shawnee)、そして マヒカン族 (mahican) がいた。 部族はホテル・プラザ (Hotel Plaza) と呼ばれた ビュート (butte) の基礎 (base) に新しい開拓地を設置した。 ラ・サール (La Salle) の 5 年間の (砦の) 独占が終了してから、 ニュー・フランス総督のジョセフ・アントワーヌ・ド・ラ・バール (Joseph-Antoine de La Barre) は セント・ルイス砦 (Fort Saint Louis) を フロンテナック砦 (Fort Frontenac) と共に彼の管轄下に置こうとした。 総督の命令により、トレーダー達と彼の幹部 (officer) はイリノイまで同行 (escort) した。 1683 年 8 月 11 日に、ラ・サール (La Salle) の兵器係の ピエール・プリュドム (Pierre Prudhomme) はノース・ポーテッジの岸辺 (north portage shore) の 1 マイルのおよそ 1 3/4 で拉致された。

フレンチ・インディアン戦争の最も初期に、 フランス人は砦を イロコイ (Iroquois) による攻撃からの避難所に使用した。イロコイは 英国と同盟していたのである。 イロコイによって、開拓者達 ―― 当時は アンリ・デ・トンティ (Henri de Tonti) が指揮していた ―― は 1691 年に砦を見捨てることを余儀なくされた。 デ・トンティ (De Tonti) はピミテオウイ砦 (Fort Pimiteoui) ―― 現在の ピオリア (Peoria) ―― で開拓者を再編成した。

ピエール・ド・リエット (Pierre De Liette) により指揮された フランス部隊は 1714 年から 1718 年まで、 セント・ルイス砦 (Fort St. Louis) を占領した； この地域のド・リエット (De Liette) の管轄は、 領地がカナダからルイジアナ (Louisiana) に移管された時に終了した。 毛皮の罠猟師 (trapper) とトレーダーは 18 世紀始めに砦を定期的に使用し、 終にはあまりに荒廃することになった。 今日この場所には砦の外見上の残留物が何も見つからない。 この地域は定期的に色々な原住民部族が占領した。 彼らはヨーロッパ人開拓者の拡大により、 西に移動することを余儀なくされていた。 このような部族に、 ポタワトミ族 (Potawatomi), オタワ族 (Ottawa), そして オジブウェ族 (Ojibwe) が含まれた。

1700 年の北米の地図 (コバン & モルティエ (Covens & Mortier) 編集、1708 年) 中心付近にイリノイ・カントリー (PAYS DES IlINOIS)

1769 年 4 月 20 日に、イリノイ連合 (Illinois Confederation) の戦士が カホキア (Cahokia) で外交任務中の 部族長ポンティアック (Chief Pontiac) を暗殺した。 地元の言い伝えによると、 オタワ族 (Ottawa) は、同盟の ポタワトミ族 (Potawatomi) と共に、 イリノイ川 (Illinois River) 沿いでイリニ (Illini [訳注 = Illinois Confederation, イリノイ連合]) の一隊を攻撃した。 部族は ビュート (the butte) に登って攻撃から避難した。 オタワ族 (Ottawa) と ポタワトミ族 (Potawatomi) は包囲を続け、終にイリニ族 (Illini tribe) が飢え死にした。 この話を聞いてから、ヨーロッパ人はこの ビュート (butte) を スターブド・ロック (Starved Rock、飢えた岩) と呼んだ。

1718 年 1 月 1 日に、 ジョン・ロー (John Law) と彼の 「西部会社」 (Company of the West、これは 1719 年に 「インディーズ会社」 (Company of the Indies) になる) に、トレードの独占が与えられた。 この会社はこの地域で貴金属の幸運な採掘をすることを望み、 ニューオーリンズから派遣され、軍の部隊 (contingent) と共に、 利権を守るために一つの砦を建設した。 最初の (現在のイリノイ州の) シャルトル砦 (Fort de Chartres) の 建設が 1718 年に始まり、1720 年に完成した。

復元された城壁と門楼 (curtain and gatehouse)、 シャルトル砦 (Fort de Chartres)

元々の砦があったのは、ミシシッピ川の東岸、 カホキア (Cahokia) の下流 (南)、 カスカスキア (Kaskaskia) の上流であった。 近くの開拓地であるイリノイ州のプレーリー・デュ・ロシェ (Prairie du Rocher) は 1722 年にフランス系カナダ人により、 設立され、砦から数マイル内陸にあった。

砦はイリノイ・カントリー政府の都 (seat) となり、攻撃的な フォックス・インディアン (Fox Indian) を支配する助けになることになっていた。 砦は シャルトル公ルイ (Loui, duc de Chartres) ―― フランス摂政の子息 ―― にちなんで名付けられた。 頻繁に洪水が起きたため、1725 年に別の砦が更に内陸に建設された。 1731 年までに 「インディーズ会社」 (Company of Indies) は機能しなくなり、 ルイジアナとその政府を国王に返却した。 砦の守備隊は 1747 年に解任されて、18 マイル南のイリノイの カスカスキア (Kaskaskia) に移動した。 新しい石の砦が古い砦の近くに計画され、 1754 年に 「ほとんど完成した」 と記述されているが、建設は 1760 年までに継続した。

トーマス・ハッチンス (Thomas Hutchins) による 1778 年のイリノイ・カントリーの開拓地の地図

新しい石の砦がフランス領イリノイ・カントリーの本部であったのは 20 年未満で、 これはフレンチ・インディアン戦争の 終わりに パリ条約 (Treaty of Paris) により 1763 年に 英国に移譲されたからであった。 英国国王が宣言したことは、 アパラチア山脈とミシシッピ川の間で、 フロリダから ニューファンドランド (Newfoundland) までのほとんどの土地が、 インディアン居留地 (Indian Reserve) と呼ばれるアメリカ原住民の土地となることで、 これは 1763 年の王室布告 (Royal Proclamation) によっていた。 政府は開拓者に命令して、立ち去るか、残るための特別許可を獲得させるようにした。 これとカトリック地区 (Catholic territory) に 居住する望みから、多くのカナダ人はミシシッピ川を横断して セント・ルイス (St. Louis) やセント・ジェネビーブ(Ste. Genevieve) に 住むことになった。 英国はすぐに政策を緩和し、後にこの地域に英国領ケベック (Province of Quebec) を拡大した。

英国は 1765 年 10 月 10 日にシャルトル砦 (Fort de Chartres) の支配権を手に入れ、 キャヴェンディッシュ砦 (Fort Cavendish) に改名した。 英国は最初の追放命令を軟化し、カナダの住民にフランスの支配下で享受される 同じ権利と特権を提供した。 1768 年 9 月に、英国は裁判所 (Court of Justice) を設立し、 これはミシシッピ流域 (Mississippi Valley) における コモン・ロー (common law) の最初の法廷であった。 (フランスの法律システムは 大陸法 (civil law) と呼ばれる。)

1772 年の激しい洪水の後に、英国は砦を維持することの価値がほとんどなくなり、これを見捨てた。 彼らは守備隊を カスカスキア (Kaskaskia) の砦に移動し、 ここをゲイジ砦 (Fort Gage) に改名した。 シャルトル砦 (Chartres) は荒廃したが、無傷の弾薬庫はイリノイの最古の現存するヨーロッパの構造 と思われ、20 世紀に砦の残りの大半と共に再建された。

歴史家のカール J. エクバーグ (Carl J. Ekberg) によれば、 イリノイ・カントリーにおけるフランスの開拓パターンは 17 世紀と 18 世紀のフランス領北米では一般的にユニークであった。 ここは他のこのような開拓地とは違っていた。他では川沿いの分離した農場 (homestead) に組織化され、長い長方形の区画が川から後方に延びていた (リボン区画 (ribbon plot))。 イリノイ・カントリーのフランス人は長いリボン区画 (ribbon plot) を作ったが、 ここには居住しなかった。 その代わり、開拓者達は共に農業村 (farming village) に住み、 むしろ北フランスの農業村に類似して、共同体農業を実践した。

1718 年に、ニューオーリンズ港が南下するミシシッピ川沿いに建設されてから、 より多くのアフリカ奴隷が、イリノイ・カントリーに搬入され、 農業と鉱業の労働者として使用された。 18 世紀中頃までに、奴隷は人口の 1/3 程度にまで達していた。

• 1575 年に、 ジャック・マルケット (Jacques Marquette) は イリノイ (Illinois) のグランド・ビレッジ (Grand Village) で 「聖母の無原罪懐胎」 (Immaculate Conception of the Blessed Virgin) の 布教団 (mission) を設立した、ここは現在のイリノイ州ユーティカ (Utica) の近くで、 1680 年に イロコイ (Iroquois) により破壊された。
• ピオリア (Peoria) は最初は ニュー・フランスの最南端にあったが、 フランスのルイジアナ植民地の最北端になり、 終に新たに作られた米国の最西端になった。 クレヴクール砦 (Fort Crevecoeur) は 1680 年に始めて設立された。 別の砦はしばしばピミテオウイ砦 (Fort Pimiteoui) と呼ばれ ―― 後にオールド・ピオリア砦 (Old Fort Peoria) と呼ばれた ――、 1691 年に設立された。 フランスの利権は、はるかに 100 年以上もの間、 ピオリア (Peoria) で優勢となり、 最初のフランス人探検家が 1673 年にイリノイ川を遡上した時から、 最初の米国の開拓者が 1815 年頃にこの地域に移住し始めた時に至るまで優勢であった。 フランス人の小グループが川の東岸にしばらくの間存続していたが、 1846 年頃にいなくなった。 今日、フランス領 ピオリア (Peoria) のかすかな「こだま」 (echo) が生き延びているのは： ピオリア (Peoria) のダウンタウンの市街地図及び、時折の通り名・学校名・ホテルの会議室の名称である： ジョリエ (Joliet)、マルケット (Marquette)、ラサール (LaSalle)。

  ピミテオウイ砦 (Fort Pimiteoui、オールド・ピオリア (Old Peoria))、1702 年頃

• ガーディアン・エンジェル伝道団 (Mission of the Guardian Angel) が 1696 年 - 1700 年の間に シカゴ・ポーテッジ (Chicago portage) の近くで設立された。
• カホキア (Cahokia) は、ケベックのフランス人の宣教師により、 1696 年に設立され、この地域で最初の恒久的な開拓地の 1 つで、 北の町の中で最も人口が多いものの 1 つになった。 1787 年、ここは 北西部領土 (Northwest Territory) の セント・クレア・カウンティ (St. Clair County) の 都 (seat) になった。 1801 年に、当時の インディアナ準州 (Indiana Territory) の総督である ウィリアム・ヘンリー・ハリソン (William Henry Harrison) は セント・クレア・カウンティ (St. Clair County) を拡大して、カナダと米国国境にまで広がる広大な領域を 統治した。 1814 年までにカウンティ (county) はほとんど現在の セントクレア・カウンティ (St. Clair County) の大きさまで縮小した。 カウンティの都 (seat) はカホキア (Cahokia) からベルビル (Belleville) に移動した。 1769 年 4 月 20 に、 偉大なインディアンのリーダーである 部族長ポンティアック (Chief Pontiac) は ピオリア族 (Peoria) の 1 人の部族長 (Chief) によりカホキア (Cahokia) で 殺害された。

  カホキア (Cahokia) にあるフランスの聖家族教会 (Church of Holy Family)

• カスカスキア (Kaskaskia) は 1703 年に設立され、最初はフランス人のための小さな布教活動基地 (mission station) であった。 ここは繁栄して、 1809 年 - 1818 年にイリノイ準州 (Illinois Territory) の首都 (capital) になり、 1818 年 - 1820 年にイリノイ州の最初の州都 (capital) になった。 フランス人は 1721 年に、ここに砦を築き、 1763 年に英国によって破壊された。 (砦は当時、 カスカスキア川 (Kaskaskia River) の下流の流れ (lower course) の上方に位置していたが、 これは 1881 年にミシシッピ川の新しい水路になった。) アメリカ独立戦争の最中に、 ジョージ・ロジャーズ・クラーク (George Rogers Clark) 将軍は 1778 年に村を獲得した。 住民は祝福して教会の鐘を鳴らし、「自由の鐘」 ("liberty bell") と呼ばれるようになった。 (これは 1741 年に国王ルイ 15 世が送ったもの。) 1881 年の洪水と河川水路の横方向の移動により、 古い開拓地がイリノイ本土から切り離され、村の少々とその考古学を破壊した。 村の墓地の多くは、川を横断した高台の カスカスキア砦州立公園 (Fort Kaskaskia State Park) に移動した。 今日、訪問客がカスカスキア (Kaskaskia) の名残に到達するためにはミズリー川の方から橋と道路によってのみである。 1993 年の大洪水 (Great Flood) で、ミシシッピ川により「聖母の無原罪懐胎」 (Immaculate Conception) のカトリック教会の 少々の屋上 (rooftop) と尖塔 (steeple) を除いて、すべて水没した。 この教会は 1843 年に建設され、1893 年にカスカスキア島 (Kaskaskia Island) の新しい場所にレンガを一個ずつ移動した。
• 1720 年に 「西部会社」 (Gompany of the West) の鉱山部門 (Mining Operations) の ディレクター (Director) であるフィリップ・フランソワ・ルノー (Philip Francois Renault) は、およそ 200 名の労働者と機械工、 及び 500 名のアフリカ奴隷と共に、 サン＝ドマング (Saint-Domingue) から到着し、鉱山で働いた。 しかしながら、鉱山の石炭と鉛の生産は儲からず、 「西部会社」 (Company of the West) が生き延びるためには収入は不十分であった。 1723 年に、ルノー (Renault) は労働者と奴隷と共にセント・フィリップ (St. Philippe) の村を設立した。 (ここは現在のイリノイ州 モンロー・カウンティ (Monroe County) の法人化されていない共同体ルノー (Renault) から降りたボトム (Bottom, ミシシッピ川の氾濫原) にあった。) ここはシャルトル砦 (Fort de Chartres) のおよそ 3 マイル北にあった。 これはこの地域のアフリカ人奴隷の最初の記録である。 フランス人農家も労働に少々奴隷を使用したが、 大半の農家は、所有していても、ほんの少ししか所有していなかった。 村はすぐにも余剰の農産物を生産し、ロウアー・ルイジアナ (lower Louisiana) に売却し、 更にはイリノイ・カントリーほど成功していない開拓地 ―― 例えばアーカンソー・ポスト (Arkansas Post) ―― にも売却した。
• 元々のサント・ジュヌビエーブ (Ste. Genevieve) は 1750 年頃にミシシッピ川の西岸沿いに設立された。 村は大半が農民と商人から構成され、東側の開拓地のフランス系カナダ人の子孫であった。 洪水にも関わらず、町はこの場所に残り、 終に 1785 年の大洪水により多くの資産が破壊された。 村人は村全体を移動することを決定し、およそ 2 マイル北、 川の氾濫原から半マイル後方の高台に移動することになった。 市は米国のフランス植民地建築の大半の建物を保持している。
• フランス人は 1723 年にミズーリ州のブランズウィック (Brunswick) の近くに、オーリンズ砦 (Fort Orleans) を設立した。
• ウォバッシュ川 (Wabash River) 沿いのヴィンセンヌ砦 (Fort Vincennes) は、後には セント・ヴィンセンヌ (St. Vincennes) と呼ばれ、そのうちにインディアナ州のヴィンセンヌ (Vincennes) と呼ばれたが、1732 年に設立した。 英国人はフレンチ・インディアン戦争 (七年戦争とも呼ぶ) でこれを獲得してから、 サックビル砦 (Fort Sackville) と改名した。 ジョージ・ロジャーズ・クラーク (George Rogers Clark)) はアメリカ独立戦争でこれを獲得してから、 バージニア総督にちなんでパトリック・ヘンリー砦 (Fort Patrick Henry) と改名した。 元々の広大なイリノイ・カントリーの一部分ではあったが、 北西部領土 (Northwest Territory) の一部分として、分離したカウンティの都 (seat) になった。
• フランス人はラサンシオン砦 (Fort de L'Ascention) (後のマシアック砦 (Fort de Massiac)) を 1757 年に オハイオ川沿いに建設した。 これは現在の イリノイ州メトロポリス (Metropolis) の近くであった。
• セント・ルイス (St. Louis) はフランス人の毛皮トレーダーにより 1764 年に設立された。 1765 年に、アッパー・ルイジアナ (Upper Louisiana) の首都となり、 1767 年より後にはミシシッピ川西のこの地域の支配権はスペイン人に与えられた。 1780 年に、 セント・ルイス (St. Louis) はアメリカ独立戦争の最中に 英国軍 ―― 大半はアメリカ原住民 ―― に攻撃された。

1765 年のミシシッピ川東岸の英国の占領に引き続き、 少々のカナダ人開拓者はこの場所にとどまり、 他の者は川を渡って、 セント・ルイス (St. Louis) のような新しい開拓地を作った。 英国人は ポンティアック戦争 (Pontiac's War) と呼ばれるアメリカ原住民の反乱に直面した。 カスカスキア族 (Kaskaskia) とピオリア族 (Peoria) は長い間フランスに同盟して英国に抵抗した。 ポンティアック (Pontiac) が英国に対して統率したのは : イリニ (Illini) の同盟, そして キカプー (Kickapoo), マイアミ (Miami), オジブウェイ (Ojibway), オタワ (Ottawa), ポタワトミ (Potawatomi), セネカ (Seneca), Wea, そしてワイアンドット (Wyandot) であった。 パリ条約 (1763 年) の後を追って、 トーマス・スターリング大佐 (Captain Thomas Sterling) と第 42 歩兵連隊 (42nd Regiment of Foot) は 1765 年にシャルトル砦 (Fort de Chartres) の指揮権を フランス人司令官のルイ・サン・サンジェ・ド・ベルリーブ (Louis St. Ange de Bellerive) から得た。

独立戦争の最中に、 ジョージ・ロジャーズ・クラーク将軍 (George Rogers Clark) は イリノイ・カントリーのミシシッピ川東の部分をバージニアのために奪った。 1778 年 11 月に、バージニア議会はイリノイ・カウンティ (County of Illinois) を創設した。 ここはバージニアがなんらかの所有権を持つ オハイオ川西にある土地全て ―― ここにバージニアの所有権があった ―― から構成され、 カスカスキア (Kaskaskia) をカウンティの都 (seat) にした。 ジョン・トッド大佐 (Captain John Todd) が統治者 (governor) に任命された。 しかしながら、この政府は以前のカナダの開拓地に制限され、むしろ無力であった。

戦争でのクラーク将軍 (Clark) への支援により、イリノイ・カントリーのカナダ人開拓者とインディアン居住者には 完全な市民権が与えられた。 北西部布告 (Northwest Ordinance) と多くのその後の条約、そして国会の法律により、 ヴィンセンヌ (Vincennes) とカスカスキア (Kaskaskia) の カナダ人とインディアン居住者には特別な例外が与えられ、 彼らは自分たちをバージニア市民と宣言した。 イリノイ・カントリーの用語はこれらの開拓地を言及するために時々議会で使用された。

イリノイ・カントリーの多くは 1787 年の 北西部領土 (Northwest Territory) の設立で、米国の組織化された領土になった。 ミシシッピ川西の昔のイリノイ・カントリーの地域は ルイジアナ買収により米国が獲得した。

英国領アメリカの地図、 1774 年のケベック法 (Quebec Act) の下での ： 英国領ケベック (Province of Quebec)、そして ミシシッピ川横断のイリノイ・カントリー (中央左)