アレゲーニー・ポーテッジ鉄道 (Allegheny Portage Railroad)

ポーテッジとは次のようにして (水域と水域の間で) ボートなどを陸送することの意味で、昔アメリカやカナダでよくされた方法です (現在でも趣味としては良くされる)。

ボートの陸送をする鉄道 -- ポーテッジ鉄道 -- も歴史的には良くあり、この記事における「ポーテッジ鉄道」と呼んでいるのは

アレゲーニー・ポーテッジ鉄道 (Allegheny Portage Railroad、/ˌæləˈɡeɪni/) は米国ペンシルバニア州中央で、アレゲーニー山脈を通り抜けた最初の鉄道であった；これはアレゲーニーのギャップ (gaps of Allegheny) を通り抜ける最初の交通インフラとして 1834 年から 1854 年まで操業し、障壁山脈 (barrier range) であるアレゲーニー・フロントを横断して。アメリカ中西部を東海岸に接続した。全体の長さがおよそ 36 マイル (58 km) で、両端がペンシルバニア運河に接続されて、システムは主にポーテッジ鉄道として使用され、川船 (river boat) とハシケを、オハイオ川とサスケハナ川の間の分水嶺横断の牽引に使用した。今日、鉄道の遺構は「アレゲーニー・ポーテッジ鉄道、国の歴史遺跡」 (Allegheny Portage Railroad National Historic Site) の内部に保存され、国立公園局 (National Park Service) により操業されている。

鉄道は 1824 年に公共事業本線 (Main Line of Public Works) の一部分として認可された。鉄道は分水嶺の両側にそれぞれ 5 基のインクラインがあり、ブレア・ギャップ (Blair Gap) から尾根線 (ridge line) を斜めに走り、頂上の捻じれた鞍部 (saddle) に沿って通り抜け、ペンシルバニア州クレソン (Cresson) に至る。両端で運河につながり、西はジョンズタウン (Johnstown) で接続され、東はホリデーズバーグ (Holidaysburg) に至る比較的平坦な部分を通り抜けて、運河に接続された。鉄道は巧妙にデザインされた車輪付きハシケを利用し、狭軌のレール軌道で、蒸気駆動の固定エンジン (stationary engines) が車両を持ち上げた。鉄道の路床は単調に上方に傾いておらず、動物牽引に適した比較的長く、わずかに傾いた平坦な鋸の歯のような区間と、固定蒸気エンジン駆動のウィンドラス (Windlass) を使用する急なケーブル鉄道の斜面が交互にあり、現代のスキー・リフトと類似のメカニズムであった。

訳注

上ではジョンズタウンからフィラデルフィアへの接続は運河としているが、河川は次のようにつながっている。

リトル・コンモー川 (Little Conemaugh River) がジョンズタウンでスト―二―川 (Stoneycreek River) と合流してコンモー川 (Conemaugh River) となり、ここから運河が開始していると思われる。
コンモー川は合流して、キスキメネタス川 (Kiskiminetas River) になり、更にアレゲーニー川 (Allegheny River) に合流して、ピッツバーグに至っている。

激しい嵐のような極限時 (peak moment) を除き、鉄道は、全天候、全シーズンの操業であった。公共事業本線 (Main Works) の残りの部分と共に、鉄道は、フィラデルフィアからオハイオ川への輸送時間を、何週間もかかるものから、 3-5 日に縮小した。その当時は技術的な驚異と思われ、アパラチア山脈以遠の米国内陸部を開拓と商業に切り開くことに重要な役割を演じた。ここには、米国で最初の鉄道トンネルであるステープル・ベンド・トンネル (Staple Bend Tunnel) があり、開通式は偉大なファンファーレで満ち溢れた。

ホリデーズバーグ (Hollidaysburg) からジョンズタウン (Johnstown) への昔のポーテッジ鉄道 (Old Portage Railroad) の建設は 1831 年に始まり、完成するのに 3 年かかった。これに含まれたのは長さ 900 フィート (274 m) のトンネルと、更にはジョンズタウン (Johnstown) 上流のリトル・コンモー川 (Little Conemaugh River) を越える高架橋があった。ジョンズタウン (Johnstown) からの垂直上昇は 1,172 フィート (357 m) であり、ホリデーズバーグ (Hollidaysburg) からの垂直上昇は 1,399 フィート (426 m) であった。プロジェクトはペンシルバニア州により資金繰りされ、ニューヨーク州のエリー運河、メリーランド州のチェサピーク・オハイオ運河と、ボルチモア・オハイオ鉄道 (Baltimore and Ohio Railroad) と競争する手段であった。工事は主に私的な請負業者を通じて実施された。鉄道が利用したのは、11 基の傾斜路線 (grade line) と 10 基のケーブル牽引のインクラインド・プレーン (incline plane、斜面) で、後者はアレゲーニー尾根 (Allegheny Ridge) 頂上の両側に 5 基づつあり、平床鉄道車両 (flatbet railroad cars) が荷を積んだ運河ボートを運んだ。 2, 3 両編成の列車がラバによって傾斜路線 (grade line) で使用された。インクラインド・プレーン (inclined plane) では固定蒸気エンジン (stationary steam engines) は麻 (hemp) のロープで牽引・下降され、ロープは 1842 年にワイヤー・ロープに転換された。

フィラデルフィアとピッツバーグを接続する本線システム全体が経由するのは：フィラデルフィア・コロンビア鉄道 (Philadelphia - Columbia railroad)、コロンビア・ホリデーズバーグ運河 (Columbia - Hollidaysburg canal)、ホリデーズバーグ (Hollidaysburg) をジョンズタウン (Johnstown) に接続するポーテッジ鉄道 (Portage railroad)、そしてジョンズタウン (Johnstown) からピッツバーグに至る運河であり、長さは (全体で) 400 マイル (644 km) であった。典型的な乗車時間は以前の馬車による移動では 23 日かかったが、 4 日になった。昔のポーテッジ鉄道は 20 年間操業し、「アメリカの驚異」 (the wonder of America) と思われた。チャールズ・ディケンズ (Charles Dickens) は彼の「アメリカ覚書」 (Amerikan Notes) の 10 章で、当時の鉄道旅行の顛末を書いている。ディケンズ (Dickens) は「1842 年のポーテッジの旅行を記述」して、ペンシルバニアのガイド・ブックに長文を引用された。記述していることはポーテッジ鉄道の直接の社会的・地理的状況の側面と、更には鉄道により使用された機械的戦略で、ルート上で遭遇する急な傾きに対処するものであった：

... 時々、線路は目がくらむ絶壁のギリギリの端にまで敷かれており、旅行客は車両の窓から眺めて、まっすぐ下を見つめ、石や少々の垣根も中間になく、下の山の深みをながめ .... これはとても心地良い旅行で、強烈な風の中を速いペースで山の高さに沿い、光りと柔らかさが一杯の峡谷を見下ろす；木々のこずえを通して、散らばった小屋を垣間見る.... シャツ姿の男たちが、未完成の家を眺め、翌日の仕事を計画している；我々は彼らの頭上高く、つむじ風のように先に進む。食事をして、急な坂をガタガタ下る時も面白く、車両の重さ以外に動く動力がなく、エンジンが我々のずっと後方で開放されて、巨大な昆虫のように単独でブンブンと音を立て、エンジンの後ろが太陽の中で緑と金色に輝く。... 運河に着くと... 我々がいなくなって停止した。我々が波止場を離れる前に、乗客を乗せて丘をあえぎながら登っていた。彼らは、我々が来た道を横断するために、我々の到着を待っていたのだ。

— 連邦政府の作家プロジェクト、"パート III: 旅行"、ペンシルバニア: キーストーン州へのガイド) (Federal Writers'Project, "Part III: Tours", Pennsylvania: A Guide to the Keystone State) (1940 年)

訳注

連邦政府の作家プロジェクト (Federal Writer's Project) とは、世界恐慌の時に仕事がなくなった作家のために、仕事を提供した連邦政府のプロジェクトのこと。
キーストーン州 (Keystone State) とはペンシルバニア州のあだ名。これは元々の 13 の植民地の中で、ペンシルバニア州が真ん中にあったことと、米国の経済、社会、政治の発展でキーとなる地位を持っていたからである。

1850 年代に、公共事業本線とそのポーテッジ鉄道は鉄道技術と鉄道工学の進展により、時代遅れになった。 1846 年始めに、議会はペンシルバニア鉄道 (PRR, Pennsylvania Railroad) を認可して、州全体を横断させ、ボルチモア・オハイオ鉄道による、バージニアを通り抜けてオハイオ峡谷に到達する計画に呼応した。 1852 年 12 月に、列車がフィラデルフィアとピッツバーグの間で走り始め、旅行時間を 4 日から 13 時間に短縮した。」

新しいポーテッジ鉄道は 40 マイルで配置しなおし、インクラインをバイパスしてアレゲーニー尾根を横断した。工事は 1851 年に開始し、 $214万の経費がかかった。 PRR は十分に出資を集め、十分に素早く成功したため、 1857 年 7 月 31 日に州から既存のポーテッジ鉄道と公共事業本線の他の部分を買収した。 PRR は路線の大半を見捨て、残りを地方支線として使用した；「価値があるものは何でも、アレゲーニー・ポーテッジ鉄道から売却したり、取り外した。」

ほとんど半世紀後にガリツィン・トンネル (Gallitzin Tunnel) 東の下降区間の傾斜する路床は標準ゲージの貨物軌道でレールを敷設しなおし、 1904 年に貨物用のバイパス路線として再開した。

ペンシルバニア鉄道の後継組織であるコンレール (Conrail) はホリデーズバーグ (Hollidaysburg) に至る路線とジュニアータ川 (Juniata) 沿いの支線軌道の大半を 1981 年に見捨て、レールを移動した。

国の歴史遺跡 (National Historic Site) が 1964 年に 1,296 エイカー (524 ヘクタール) の土地に設立され、これはアルトゥーナ (Altoona) の西、およそ 12 マイル (19.3 km) にあった。

公園局 (park service) が、古い路線近くの説明展示 (interpretive exhibit) があるビジター・センターを操業している。近くにはサミュエル・レモン・ハウス (Samuel Lemon House) があり、これはクレソン (Cresson) の近くの鉄道沿いにある居酒屋 (tavern、[訳注：宿を兼ねる}) で、鉄道乗客の人気のある立ち寄り場所であった；これは国立公園局 (NPS, National Park Service) により歴史博物館に転換された。 NPS がこれ以外に保守しているのは、再建された軌道の全長、展示があるエンジン棟、写真展示、そしてハイキング用のトレイルである。

一基の斜めアーチ橋 (skew arch bridge) -- 切り石建設の名作 -- もレモン・ハウス (Lemon House) の近くの別の造作である。この橋は南側の長さが 60,49 フィート (18.4 m)、北側の長さが 54.9 フィート (16.7 m)、高さは 22.2 フィート (6.8 m) である。これは道路を支えるために建設された路線上の唯一の橋であった。

ステイプル・ベンド・トンネル (Staple Bend Tunnel) はジョンズタウン (Johnstown) の 5 マイル (8.0 km) 東にある、歴史遺跡の別の要素で保存されている。


インクライン 6 のトレイルと再現された軌道	ペンシルバニア州の位置


エンジン棟 6 展示館の外部	エンジン棟 6 展示館の内部	エンジン棟から見たインクライン


レモン・ハウス (Lemon House) の外部	レモン・ハウスの内部	レモン・ハウスの内部


「国の歴史遺跡」の斜めアーチ橋の北面	斜めアーチ橋の南面	APRR に沿って 1832 年に建設のリリー・カルバート (Lilly Culvert)