アパラチア山脈 (Appalachian Mountains)

以下の文章で：mountains は一律「山脈」と訳し、plateau は一律「高原」と訳します。フロント (front) は (前面にある) 山脈や急斜面の意味で使用されており、適当な訳語が見つからないので、カナ表記「フロント」のまゝに留めます。

アパラチア山脈 (Appalachian Mountains)^{[注 b]} はしばしばアパラチアンズ (the Appladhians) と呼ばれ、北米の東部から北東部にかけての山脈である。「アパラチア」 (Appalachian) の用語は山脈と周辺地域に関連する幾つかの異なる領域を言及する。使用される一般的定義は米国地質調査所 (United States Geological Survey) とカナダ地質調査所 (Geological Survey of Canada) がしたがっているものである。米国はアパラチア・ハイランズ (Appalachian Highlands) の用語を使用し、カナダはアパラチア・アップランズ (Appalachian Uplands) の用語を使用する; アパラチア山脈 (Appalachian Mountains) はアパラチア高原 (Appalachian Plateau) と同義ではなく、後者はアパラチア・ハイランズのプロビンスの 1 つである。(訳注：この箇所は米国の自然地理学的地域を参照。)

アパラチア山脈はカナダのニューファンドランド島から、2050 マイル (3,300 km) 南西の米国のアラバマ州中央 (Central Alabama) まで走っている^{[注 c]} 。ニューファンドランド島の南で、アパラチア山脈は 96 平方マイルのサンピエール島・ミクロン島を横断し、ここはフランスの海外領土なので、技術的にはアパラチア山脈は 3 ヶ国に属することを意味する ^{[注 a]}。この山脈の最高峰はノース・カロライナ州のミッチェル山 (Mount Mitchell) の 6,684 フィート (2,037 m) で、これはミシシッピ川以東の米国の最高峰である。

この山脈は北米の他の主要な山脈 ―― 西部のロッキー山脈よりも古い。アパラチア山脈の露頭の少々は先カンブリア時代 (Precambrian era) に形成された岩を含んでいる。アパラチア山脈の形成に至る地質学的過程は 11 億年前に開始した。この地域の最初の山脈はローレンシア大陸 (Laurentia) とアマゾニア大陸 (Amazonia) が衝突したときに作られ、ロディニア (Rodinia) と呼ばれる超大陸 (supercontinent) が形成された。これらの大陸の衝突により、岩石が褶曲され、断層ができ、この地域の最初の山脈ができた。このイベントの最中に形成された岩石と鉱物の多くは、現在のアパラチア山脈の表面に今や見ることができる。およそ 4 億 8000 万年前に地質学的過程が始まって 3 つの異なる造山運動の時代に至り、これは今日のアパラチア山脈の表面構造の多くを作った^{[注 d]}。。この期間の最中に、山脈はかって、アルプスとロッキー山脈のような高さに達し、その後で、最近の 2 億 4000 万年を通して起きた自然な浸食により現在の姿になった。

アパラチア山脈は東西の旅行には障壁である、というのは一連の尾根と谷が、東西に走るハイウェイと鉄道の向きに反対だからである。この障壁は植民地時代の米国の拡張を形作る上で極端に重要であった。この山脈は、とても人気があるリクリエーションの造作 ―― アパラチア・トレイル (Appalachian Trail) の場所である。これは 2,175 マイル (3,500 km) のハイキング道 (hiking trail) で、メーン州のカターディン山 (Mount Katahdin) からジョージア州のシュプリンガー山 (Springer Mountain) まで、はるばる続き、アパラチア山脈の多くの部分を越えたり、通り過ぎたりする。国際アパラチア・トレイル (International Appalatian Trail) はこのハイキング道のニューブランズウィック州 (New Brunswick) とケベック州 (Québec) におけるカナダ部分のアパラチア山脈への拡張である。

1528 年のフロリダ州の北部海岸沿いの内陸を探検している時に、アルバル・ヌニェス・カベサ・デ・バカ (Álvar Núñez Cabeza de Vaca) を含むナルバエス探検隊 (Narváez expedition) のメンバーは、現在のフロリダ州タラハシー (Tallahassee、/ˌtæləˈhæsi/) の近くのアメリカ原住民の村を見つけた。この名前を彼らは Apalchen (アパルチェン) あるいは Apalachen [a.paˈla.tʃɛn] (アパラチェン) と転写した。この名前はすぐにスペイン人により Apalachee (アパラチー) に変えられ、この種族と北の内陸にずっと広がる領域の名称として使用された。パンフィロ・デ・ナルバエス (Pánfilo de Narváez) の探検隊は 1528 年 6 月 15 日に Apalachee (アパラチー) の領土に始めて進入し、この名称を適用した。今では "Appalachian" と綴り、米国におけるヨーロッパ人の 4 番目に古い地名である。

1540 年のデ・ソト探検隊 (de Soto expedition) のあとで、スペイン人の地図製作者は部族の名称を山脈自身にあてはめ始めた。最初の Apalchen (アパルチェン) が地図に登場したのは 1562 年のディエゴ・グティエレス (Diego Gutierrez) の地図である；山脈に最初に使用したのは 1565 年のジャック・ルモワヌ・ドゥモルグ (Jacques le Moyne de Morgues) の地図であった。

この名称は 19 世紀末に至るまで、普通には山脈全体には使用されなかった。競合し、しばしばもっと人気がある名称は、アレゲーニー山脈 (Allegheny Mountains)、アレゲーニー (Allegheny)、あるいはアレゲーニア (Alleghenia) さえあった。 19 世紀始めに、ワシントン・アーヴィング (Washington Irving) は米国をアパラチア (Appalachia) あるいはアレゲーニア (Alleghania) に改名することを提案した。

アパラチア山脈の南地区の米国方言では、 /ˌæpəˈlætʃɪnz/ [訳注：アパラチンズ] と発音し、3 番目の音節は "latch" のように発音する。山脈の北地区では /ˌæpəˈleɪtʃɪnz/ [訳注: アパレイチンズ] あるいは /ˌæpəˈleɪʃɪnz/ [訳注: アパレイシンズ] のように発音し、 3 番目の音節は "lay" のように、そして 4 番目の音節は "chins" あるいは "shins" のように発音する。しばしば地域住民の間には、正しい発音に関しての大議論がある。他の場所では、形容詞の Appalachian の普通に認められた発音は /ˌæpəˈlætʃiən/ で、最後の 2 音節 "-ian" は、単語の "Romanian" のように発音する。

恐らく部分的には山脈が米国とカナダの大きな部分を通り抜けているためであるが、そして部分的には山脈が数多くの地質学の時代 (このうちの 1 つはアパラチア造山運動 (Appalachian orogeny) と呼ばれる) に渡って形成されたためであるが、執筆家グループ (writing communities) はこの山脈の百科全書的定義に同意することに悪戦苦闘している。しかしながら、どちらの政府にも、国を構成する主な地形に関して公衆に情報を与える機関 ―― 米国地質調査所 (USGS, United States Geologinal Survey) とカナダ地質調査所 (GSC, Geological Survey of Canada) ―― がある。地形は自然地理学的地域 (physiographic region) として言及される。この地域は正確な境界を作り、ここから地図を描ける。アパラチア・ハイランズ (Appalachian Highlands) は 48 州からなる合衆国本土の 8 個の自然地理学的地域 (physiographic regions) の名称の 1 つである。アパラチア・アップランズ (Appalachian Uplands) はカナダの 7 個の自然地理学的地域の 1 つの名称である。

USGS の自然地理学的分類体系 (physiographic classification scheme) の第二レベルは「プロビンス」 ("province") で、カナダが行政再分 (political subdivision) に分割で使用するものと同じ言葉となり、 2 国によって使用される用語は region レベルより下では一致しないことを意味する。分類の最下層レベルは「セクション」 ("section") である。以下は USGS の用語を使用したアパラチア・ハイランズの自然地理学的プロビンスとセクションである。 (訳注：米国の自然地理学的地域を参照。)

アパラチア・アップランズはカナダの 7 つの自然地理学的ディビジョンの 1 つである。カナダ地質調査所はディビジョンより下位の米国地質調査所と同じ分類システムを使用していない。カナダ地質調査所はアパラチア・アップランズ (Appalachian Uplands) を 13 の小区分 (subdivision) に分割し、これは 4 つの異なる行政プロビンス (訳注：カナダの州のこと) にある。

アパラチア・ハイランズとアパラチア・アップランズは米国/カナダの国境を越えて、一般に連続であるが、セント・ローレンス峡谷地区は自然地理学分類体系 (pysiographic classification schemes) で別に処理される。セント・ローレンス峡谷の部分は米国では第二レベルの分類の一つ ―― アパラチア・ハイランズの一部分 ―― である。カナダでは、この地域は第一レベルの分類の一つ ―― セント・ローレンス・ローランズ (St. Lawrence Lowlands) ―― である。これが含むのは : モントリオール市のまわりの地域、アンティコスティ島 (Anticosti Island)、ニューファンドランドの北西の海岸である。切り裂かれた高原地域 (dissected plateau area, 開析台地地域) は実際は地質学的山脈を構成しないが、通俗的に「山脈」 ("mountains") と呼ばれ、とりわけケンタッキー州東部とウェスト・バージニア州ではこれが当てはまり、尾根は高くはないが、地形は極端に起伏がある (etremely rugged)。オハイオ州とニューヨーク州では、幾つかの高原は氷河作用を受けており、これによりするどい尾根が丸くなり、峡谷をある程度充満した。氷河作用を受けた地域は通常、山脈 (mountains) ではなく、丘陵地帯 (hill country) と言及される。

アパラチア・ベルト地帯 (Appalachian belt) が含むものは : ニューイングランドで大西洋に向けて南に傾斜する高原と、中央と南部の大西洋に面した州で、海岸平野 (coastal plain) の境界に向けて南東に傾斜する高原、そして北西では、五大湖と内陸平野に向けて傾斜するアレゲーニー高原とカンパーランド高原である。ベルト地帯の注目に値する造作は一連の長さ方向の幅広い峡谷であり、これにはグレート・アパラチア峡谷が含まれ、南部区間では山岳システム (mountain system) を二つの等しくない部分に分割するが、最北端では、すべての山脈の西が典型的なアパラチアの造作を備え、これによりアディロンダック (Adirondack) のグループから分離している。山岳システム (mountain system) は支配的な高度の軸 (axis) がないが、どの部分でも、頂上は一様な高さで、とりわけ中心区間 (central section) ではこれがあてはまり、色々な尾根と山間の峡谷はシステム自身と同じ傾向がある。どの頂上も万年雪の領域には達していない。

ペンシルバニア州では 2500 フィート (800 m) より高い頂上が 60 以上ある。デイビス山 (Mount Davis) とブルー・ノブ (Blue Knob) の頂上は 3000 フィート (900 m) 以上である。メリーランド州では、イーグル・ロック (Eagle Rock) とダンズ山 (Dans Mountain) は目立つ地点で、それぞれ 3,162 フィート (964 m) と 2,882 フィート (878 m) に達している。ポトマック川の南、グレート・バレー (Great Valley) の同じ側に、 3007 フィート (917 m) のピナクル山 (Pinnacle, 小尖塔山) と 3400 フィート (1000 m) のピジョン・ルースト山 (Pidgeon Roost, 鳩のねぐら山) がある。ウェスト・バージニア州には、150 峰以上が 4000 フィート (1,200 m) 以上あり、これに 4,863 フィートのスプルース・ノブ (Spruce Knob) が含まれ、これはアレゲーニー山脈の最高点である。州内の幾つかの他の点も 4,800 フィート (1,500 m) 以上である。 4,848 フィート (1,478 m) のソーニー・フラット (Thorny Flat) におけるチート山 (Cheat Mountain) (スノーシュー山 (Snowshoe Mountain)) と 4,842 フィート (1,476 m) のボールド・ノブ (Bald Knob) はウェスト・バージニア州のもっと著名な峰である。

ブルー・リッジ山脈 (Blue Ridge Mountains) はペンシルバニア州南部にそびえ、そこではサウス山 (South Mountain) と呼ばれ、この州ではおよそ 2,000 フィート (600 m) の高度を達成している。サウス山 (South Mountain) はその最高点をメイソン・ディクソン線 (Mason-Dixon Line) のすぐ南のメリーランド州の 2,145 フィート (654 m) の 2,145 フィート (654 m) のキロー山 (Quiraux Mountain) で達成し、南方のポトマック川にかけて高さが減少する。バージニア州で一旦ブルー・リッジ山脈は再び 2000 フィート (600 m) 以上を達成する。バージニア州のブルー・リッジ山脈で、次がロアノーク川 (Roanoke River) 北の最高の峰の幾つかである。ストーニー・マン (Stony Man) 4,031 フィート (1,229 m)、ホークスビルマウンテン (HawksbillMountain) 4,225 フィート (1,288 m)、そしてピークス・オブ・オッター (Peaks of Otter) 4,001 フィートと 3,875 フィート (1,220 m と 1,181 m)。ロアノーク川の南では、ブルー・リッジ山脈に沿うバージニア州の最高の峰があり、これにはホワイトトップ山 (Whitetop Mountain) 5,520 フィート (1,680 m) とロジャース山 (Mount Rogers) 5,729 フィート (1,746 m) ―― 州の最高地点 ―― がある。

ブルー・リッジ山脈の南区間の主な頂上 (summit) が位置するのは : 2 つの主な尾根 (crest) ―― テネシー州・ノース・カロライナ州の境界に沿ったウェスタン・フロント (Western Front, 西の壁面) あるいはウナカ・フロント (Unaka Front)、及びノース・カロライナ州のイースタン・フロント (Eastern Front, 東の壁面) ―― あるいは二つの主要な尾根の間の幾つかの横断尾根 (cross ridge) の上である。イースタン・フロント (Eastern Front) の主な部分山脈 (subrange) が含むのは : ブラック山脈 (Black Mountains)、グレート・クラギ―山脈 (Great Craggy Mountains)、そしてグレート・バルサム山脈 (Great Balsam Mountains) であり、その主要な頂上に含まれるのは : テネシー州&ノース・カロライナ州の境界近くのグランドファーザー山 (Grandfather Mountain) 5,964 フィート (1,818 m)、ブラック山脈 (Blacks) のミッチェル山 (Mout Mitchell) 6,684 フィート (2,037 m)、グレート・バルサム山脈 (Great Balsams) のグレート・バルサム・ノブ (Black Balsam Knob) 6,214 フィート (1,894 m) とコールド山 (Cold Mountain) 6,030 フィート (1,840 m) である。ウエスタン・ブルー・リッジ・フロント (Western Ble Ridge Front) は細分されて : ウナカ山脈 (Unaka Range)、ボールド山脈 (Bald Mountains)、グレート・スモーキー山脈 (Great Smoky Mountains)、そしてユニコイ山脈 (Unicoi Mountains) になり、その主な峰にはユニコイ山脈 (Unicoi Mountains) のローン山 (Roan Mountain) 6,285 フィート (1,916 m), ボールド山脈 (Bald Mountains) のビッグ・ボールド山 (Big Bald) 5,516 フィート (1,681 m) とマックス・パッチ (Max Patch) 4,616 フィート (1,407 m)、グレート・スモーキー山脈 (Great Smokies) のクリングマンズ・ドーム (Clingmans Dome) 6,643 フィート (2,025 m), ルコント山 (Mount Le Conte) 6,593 フィート (2,010 m) とギーオー山 (Mount Guyot) 6,621 フィート (2,018 m)、テネシー州・ジョージア州・ノースカロライナ州の境界近くのビッグ・フロッグ山 (Big Frog Mountain) 4,224 フィート (1,287 m) がある。横断尾根の著名な頂上に含まれるのは : プロット・バルサムズ (Plott Balsams, 山脈名) のウォーターロック・ノブ (Waterrock Knob) (6292 フィート (1,918 m)) がある。ジョージア州北部の至る所で無数の尾根が 4,000 フィート (1,200 m) を越え、これに含まれるものは : ブラスタウン・ボールド (Brasstown Bald)、州で最高の 4,784 フィート (1,458 m) そして 4,694 フィート (1,431 m) のレイブン・ボールド (Rabun Bald) がある。アラバマ州北中央で、チーハ山 (Mount Cheaha) が周辺と比べて顕著に 1,445 フィート (440 m) 上昇し、これはブルー・リッジ山脈の最南端の分岐の一部分としてである。

アパラチア山脈における米国各州とカナダ各州の最高峰
州	国	自然地理学的領域	最高峰	高さ(ft (m))	地理座標
アラバマ	米国	アパラチア高原	Cheaha Mountain	2,407 (734)	33.4869° N 85.8091° W
ジョージア	米国	ブルー・リッジ	Brasstown Bald	4,784 (1,457)	34.8745° N 83.8063° W
ケンタッキー	米国	アパラチア高原	Black Mountain	4,145 (1,263)	36.9022° N 82.9144° W
メイン	米国	ニューイングランド	Mount Katahdin	5,269 (1,606)	45.9046° N 68.9216° W
メリーランド	米国	アパラチア高原	Backbone Mountain	3,360 (1,024)	39.4049° N 79.2911° W
マサチューセッツ	米国	ニューイングランド	Mount Greylock	3,489 (1,063)	42.3813° N 73.0957° W
ニューブランズウィック	カナダ	シャルール・アップランズ	Mount Carleton	2,690 (820)	47.2241° N 66.5233° W
ニューファンドランド	カナダ	ニューファンドランド	The Cabox	2,664 (812)	48.4959° N 58.2903° W
ニューハンプシャー	米国	ニューイングランド	Mount Washington	6,288 (1,917)	44.1614° N 71.1811° W
ニューヨーク	米国	アディロンダック	Mount Marcy	5,344 (1,629)	44.1126° N 73.9235° W
ノースカロライナ	米国	ブルー・リッジ	Mount Mitchell	6,684 (2,037)	35.7658° N 82.2655° W
ノバスコシア	カナダ	ノバスコシア高原	White Hill	1,755 (535)	46.7555° N 60.6350° W
オハイオ	米国	アパラチア高原	Campbell Hill	1,549 (472)	40.3888° N 83.6381° W
ペンシルバニア	米国	アパラチア高原	Mount Davis	3,213 (979)	39.7866° N 79.1751° W
サウスカロライナ	米国	ブルー・リッジ	Sassafras Mountain	3,553 (1,083)	35.0632° N 82.3062° W
テネシー	米国	ブルー・リッジ	Clingmans Dome	6,643 (2,025)	35.5625° N 83.4989° W
バーモント	米国	グリーン山脈	Mount Mansfield	4,395 (1,340)	44.5439° N 72.8143° W
バージニア	米国	ブルー・リッジ	Mount Rogers	5,729 (1,746)	36.6586° N 81.5438° W
ウェスト・バージニア	米国	アパラチア高原	Spruce Knob	4,863 (1,482)	38.6992° N 79.5327° W

自然地理学的地域に先行して記述された情報源はアパラチア山脈を 3 つの主な区域 (section) に分割した^{[注 f]}。

ニューファンドランドのロングレンジ (Long Range) の山々、例えばカボックス (Cabox) とグロー・モーン (Gros Morne) は 2700 フィート (800 m) 近くに達する。ケベック州のシックショク山脈 (Chic Choc Mountains) とノートルダム山脈 (Notre Dame ranges) では高い頂上は高さが 4000 フィート (1,200 m) 以上に達する。ノバスコシア州とニューブランズウィック州の孤立した峰と小さな山脈は 1000 フィートから 2700 フィート (300 m から 800 m) の間で変化する。メイン州では幾つかの峰が 4000 フィート (1200 m) を越え、これには 5,267 フィート (1605 m) のカターディン山 (Mount Katahdin) が含まれる。ニュー・ハンプシャー州では多くの頂上が 5000 フィート (1,500 m) を越え、これに含まれるものは : ホワイト山脈のワシントン山 (Mount Washington) 5,380 フィート (16,640 m)、アダムス (Adams) 5,771 フィート (1,759 m)、ジェファーソン (Jefferson) 5,712 ft (1,741 m)、モンロー (Monroe) 5,380 フィート (1,640 m)、マディソン (Madison) 5,367 フィート (1,636 m)、ラファイエット (Lafayette) 5,249 フィート (1,600 m)、そしてリンカーン (Lincoln) 5,089 フィート (1,551 m) である。グリーン山脈 (Green Mountains) では最高点のマンスフィールド山 (Mt. Mansfield) は高さ 4,393 フィート (1,339 m); それ以外に含まれるものはキリング・ピーク (Killing Peak) 4,226 フィート (1,288 m)、キャメルズ・ハンプ (Camel's Hump) 4,083 フィート (1,244 m)、エイブラハム山 (Mt. Abraham) 4,006 フィート (1,221 m)、そして 3,000 フィート (900 m) を越える幾つかの他の山頂 (height) がある。

少なくとも 10 億年にさかのぼる期間中にプレート理論 (Plate tectonics) により大地の地質学的創成に至り、現在のアパラチア山脈に至っている。大陸の移動によって衝突が起きて造山運動が起きて、後で引き離されて大陸の部分に大洋が作られ、これが現在さらされている。

グレンビル造山運動と超大陸ロディニアの形成 (Grenville Orogeny and formation of Supercontinent Rodinia)

最初の山を造る構造プレート (tectonic plate) の衝突が、今日アパラチア山脈となるものの構築を開始し、これが少なくとも 10 億年前に起き、この時ローレンシア (Laurentia) と呼ばれる北米大陸前のクラトン (pre-North American craton) が少なくとも他の 1 つのクラトン (craton) ―― アマゾニアン・クラトン ( Amazonia) ―― と衝突した。地球の全ての他のクラトン (craton) も、この頃衝突して超大陸ロディニア (Rodinia) を造り、唯一の大洋 (one single ocean) によって囲まれた。 (カラハリ (Kalahari) とリオ・プラト (Rio Plato) のクラトン (craton) もこの初期の衝突の一部分であった可能性がある。というのはロディニアが分裂したときに、これらが存在していたからである。) グレンビル造山運動 (Grenville Orogeny) と言及される造山運動 (Mountain-building) はクラトン (cratons) の境界に沿って起きた。現在のアパラチア山脈にはこの造山運動の最中に形成された岩石層 (rock formations) から作られた地域が少なくとも 2 つあり、フルー・リッジ山脈とアディロンダック山脈である。

ロディニアの分裂とイアペトゥス海の形成

(Breakup of Rodinia and formation of the lapetus Ocean)

グレンビル造山運動 (Grenville orogeny) のあとで、大陸移動 (continental drift) の向きが逆になり、単一の超大陸ロディニアが分裂を始めた。グレンビル時代 (Grenvillian era) の最中に形成された山脈は風化・氷河作用などの自然なプロセスにより、浸食を被り、風景が水平になった。これらの山脈から浸食された堆積物が、堆積盆地と峡谷の形成に貢献した。例えば、現在の米国南部でオコイー盆地 (Ocoee Basin) が形成され、海が盆地を満たした。周辺の地方からの川が、泥 (clay), シルト (silt), 砂, そして砂利 (gravel) を盆地に運び、今日の川が堆積物 (sediment) を内陸地域からメキシコ湾に運ぶのと同じである。堆積物は盆地の底 (floor) に層になって広がった。盆地は堆積し続け、長期間に、恐らくは何百万年間に分厚い堆積物が累積した。まもなく 2 つの大陸を切り離す地殻変動の力が非常に大きくなって、大洋がローレンシアの縁の東海岸から離れて形成された。これはイアペトゥス海 (Iapetus Ocean) と呼ばれ、現代の大西洋の先駆であった。バレー&リッジ・プロビンスの岩はイアペトゥス海 (Iapetus) で何百年もの間に形成された。古代の海洋生物の貝殻などの硬い部分は集積して石灰質の堆積物を形成し、後に石灰岩となった。これは現代の海で石灰岩が形成されるものと同じプロセスである。石灰岩の風化は、今や大地の表面でむき出しになり、石灰の豊かな土壌を造り、バレー&リッチ・プロビンスの豊かな農地の至る所にある。

およそ 6 億年から 5 億 6 千年前ごろの、この大陸分裂の最中に、火山活動が地殻変動の縁 (tectonic margins) に沿って、存在した。今日のブルー・リッジ山脈にこの活動の証拠がある。ロジャース山 (Mount Rogers), ホワイトトップ山 (Whitetop Mountain), そしてパイン山 (Pine Mountain) はすべて、この頃に起きた火山活動の結果である。地表下の活動、岩脈 (dike) そして上に重なる岩に侵入する貫入岩床 (sill) の証拠はブルー・リッジでも存在する。例えば、苦鉄質岩が、バージニア州モンゴメリー・カウンティ (Montgomery County) の中央ブルー・リッジ地域のフライズ断層 (Fries Fault) 沿いに見つかっている。

イアペトゥス海 (Iapetus) は拡張し続け、この期間にバクテリア, 藻 (algae), 多くの種類の無脊椎動物が大洋で繁栄したが、地上には植物や動物がいなかった。次に、およそ 5 億年から 4 億 5 千万年以前のオルドビス紀 (Ordovician Period) の中頃に地殻のプレートの動きが変化し、大陸は互いに後方に動き始めた。かっては静かであったアパラチアの不活発な縁はとても活発なプレート境界に変化し、この時、火山弧 (volcanic arc) を含む隣接するイアペトゥス海 (Iapetus) の大洋プレートが、北米クラトン (craton) と衝突し、その下に沈み始めた。火山が大陸縁 (continental margin) に沿って育ち、プレートの沈み込む (subduction) の開始と一致した。衝上断層 (thrust fault) により、不活発な縁に築かれた (lay down) 古い堆積岩を持ち上げ、ゆがめた (warped)。山が隆起し、時間と共に浸食され始めた。川が岩の破片を下流に流し、近くの低地に堆積した。タコニック造山運動はおよそ 6 千万年後に終了したが、多くの陸塊 (land mass) を造り、これが今ではニューイングランドとペンシルバニア州の南西部になっている。

タコニック造山運動は 4 回の造山運動を起こしたプレートの衝突の 2 回目で、アパラチア山脈の形成に貢献し、北米とアフリカの衝突で頂点を迎えた。 ( Alleghanian orogeny (未翻訳) を参照。)

3 回目の造山運動イベントはアカディア造山運動 (Acadian orogeny) で、これは 3 億 7500 万年前から 3 億 5900 万年前の間に起きた。アカディア造山運動はアバロニア・テレイン (Avalonia Terrane) ―― ゴンドワナ大陸 (Gondowana continent) から引きちぎれた地区 (section) ―― の地殻の切れ端と北米プレートとの一連の衝突により引き起こされた。この造山運動を開始した衝突により、イアペトゥス海南部が閉鎖され、高山地帯が形成された。アカディア衝突が起きた後で、ゴンドワナ大陸 (Gondwana) はローレンシア (Laurentia) から退却し、新たに付着成長 (accreted) したアバロニア・テレイン (Avalonian terranes) が後に残された。ゴンドワナ大陸が他に移動して、デボン紀の中期から末期にかけて、新たな大洋のレイク海 (Rheic Ocean) が開け、その結果、これが閉鎖されてアレゲーニー造山運動 (Alleghenian orogeny) の形成になった。

大陸プレートがより近くに移動すると、大洋地殻 (oceanic crust), 島などの大陸塊 (continental masses) の破片が北米の先祖 (ancestral North America) の東縁に衝突した。この頃までに陸上に植物が登場し、サソリ, 昆虫, そして両生類が続いた。大洋は縮小し続け、およそ 2 億 7000 万年前に、超大陸パンゲア (Pangea) 形成中に北米とアフリカの先祖である (2 つの) 大陸が衝突した。

北米とアフリカはかって地理的に連結していたため、アパラチア山脈はモロッコ (Morocco) の小アトラス山脈 (Little Atlas) と同じ山脈の一部分を形成した。この山脈は、中央パンゲア山脈 (Central Pangean Mountains) と呼ばれ、イアペトゥス海が中生代 (Mesozoic Era) に開かれる前に、北米 / ヨーロッパの衝突 ( カレドニア造山運動 (Caledonian orogeny) を参照) からスコットランドに拡張した。

中生代 (Mesozoic Era) が終わるまでに、アパラチア山脈は浸食されて、ほとんど平坦な平面になっていた。現在の特徴ある地形が形成されたのは、新生代 (Cenozoic Era) の最中にこの地域が隆起したあとのことである。隆起により川が若返り、これは古代の岩盤に掘り下げることにより急速に呼応した。川によっては、何百万年も以前に作られた褶曲と断層を定める弱い層に沿って流れた。他の川は非常に急激に下を削ったため、山の中核である浸食抵抗性を持つ褶曲された岩を真っすぐに切断し、岩の層と地質構造を横断して渓谷 (canyon) を切り開いた。

アレゲーニー山脈は無煙炭 (anthracite coal)、更には瀝青炭 (bituminous coal) の重要な鉱床 (deposite) がある。褶曲山脈では、石炭は無煙炭のような変性形式で、ペンシルバニア州北東の石炭地域 (Coal Region) で代表される。ペンシルバニア州西部, メリーランド州西部, オハイオ州南東部, ケンタッキー州東部, バージニア州南西部、そしてウェスト・バージニア州の瀝青炭の炭田は石炭の堆積形式を含んでいる。石炭採掘の「山頂除去の方法」 (mountain top removal method、[訳注：露天掘りの一種]) では、完全に山頂が取り除かれ、現在アパラチア山脈の地域の広大な領域と生態系 (ecosystem) が脅威にさらされている。 1940 年代に始まった石炭の露天掘りは、ケンタッキー州, テネシー州, バージニア州, ウェスト・バージニア州の中央アパラチア山脈に随分と影響した。初期の採掘方法は規制されず、採鉱跡地再生研究 (mined land reclamation research) は酸塩基反応 (acid base reaction) を含め、 1960 年代と 1970 年代にウエスト・バージニア大学 (West Virginia University) が先導した。ウエスト・バージニア (West Virginia) は厳しい鉱山再利用標準 (mine reclamation standards) を 1960 年代末に州の炭鉱のために開発した。規制が 1960 年代末までにアパラチア山脈を守るために大半の連邦州 (federal states) によって導入された。社会的・政治的活動が 1977 年の「露天掘り採鉱・再利用法」(Surface Mining Control and Reclamation Act) をもたらした。

ペンシルバニア州西部のアパラチア山脈における 1859 年の商的量の原油の発見は近代米国の石油産業を開始した。マーセラス・シェール層 (Marcellus Shale formation) とユーティカ・シェール層 (Utica Shale formations) における商的な天然ガス埋蔵の発見は、アパラチア盆地に再び石油産業が焦点を合わせた。

アパラチア山脈の高原によっては、鉄や亜鉛のような金属の鉱石を含んでいる。

北区間で、分水嶺 (height of land) は山岳地帯の内陸側にあり、従って排水の主要な路線は北から南に走る、これはハドソン川で例証される。しかしながらハドソン川が通り抜ける峡谷は氷河時代の巨大な氷河によって切断され、この同じ氷河がニューヨーク州南部に末端のモレーン (moraine、氷堆石) を堆積して、東西のロング・アイランドが形成された。

アパラチア山脈地域は一般に米国の沿岸地域と中西部 (Midwest) の間の地理的な分水嶺である。東部大陸分水嶺 (Eastern Continental Divide) はペンシルバニア州からジョージア州までアパラチア山脈にしたがっている。

アパラチア山脈は、とりわけ中央と南地区は、北米でもっとも生物多様性に富んだ場所の 1 つである。長い尾根と峡谷の南北方向の向き付けは多くの動植物の種類に貢献している。 (色々な) 種が寒暖の交互の時期に、ここからどこへでも移住し、もっとも適したマイクロクライメイト (microclimate、微細気候) に定住する。

アパラチア山脈の植物相は変化に富み、基本的に地質、緯度、海抜、利用可能な湿度に呼応している。地球植物学的 (geobotanically) に、これらは北米大西洋地区 (North American Atlantic Region) の植物区 (floristic province) を構成している。アパラチア山脈 (Appalachians) は基本的には落葉性の広葉樹と常緑性の針葉樹から構成されている。しかし、常緑性広葉樹のアメリカ・ヒイラギ (American holly、Ilex opaca) と落葉性針葉樹であるアメリカ・カラマツ (tamarack or eastern larch, Larix laricina) も含んでいる。

支配的な北方高地針葉樹 (northern and high elevation conifer) はアカトウヒ (red spruce, Picea rubens) で、これらはニューイングランド北部とカナダ南東部の海面レベルから、海抜 4,000 フィート (1,200 m) 以上まで生育している。これはアパラチア山脈山頂 (crest) に沿って南方に向けても生育し、アパラチア山脈南部の最も高い高地 ―― 例えばノースカロライナ州とテネシー州 ―― に向かっている。中央アパラチア山脈では、これは通常海抜 3000 フィート (900 m) に限定されるが、少々の寒い谷が除外され、この場合には低い標高に到達する。アパラチア山脈南部では、これは高い標高に限定される。別の種にはクロトウヒ (black spruce、Picea mariana) があり、これは北米でどの針葉樹よりも最北に広がり、アパラチア山脈北部の高い標高と、ペンシルバニア州のようにはるかに南部では沼地に見いだされる。

アパラチア山脈は 2 種類のモミ (fir) の生育場所でもあり、これは寒帯バルサムモミ (balsam fir、Abies balsamea) と南部の最も高い場所の固有種のフレイザーモミ (Fraser fir, Abies fraseri) である。フレイザーモミ (Fraser fir) はアパラチア山脈南の非常に高い場所の固有種で、アカトウヒ (red spruce) と共に脆弱な生態系 (fragile ecosystme) を作り、「アパラチア山脈南部のトウヒ・モミの森林」 (Southern Appalachian spruce-fir forest) と呼ばれる。フレイザーモミ (Fraser fir) は 5500 フィート (1,700 m) 以下ではほとんど見られることがなく、 6200 フィート (1,900 m) で支配的な木の形式になる。比較すると、バルサムモミ (balsam fir) は海面レベル近くから、アパラチア山脈北部の樹林限界 (tree-line) まで見いだされるが、アパラチア山脈中央のバージニア州とウェスト・バージニア州の南までのみに至っており、ここでは通常、海抜 3,900 フィート (1,200 m) より上に限定される。但し、寒い峡谷 (cold valley) は除く。奇妙なことに、これはバージニア州のオーク (oak) と関連している。バージニア州とウェスト・バージニア州のバルサムモミ (balsam fir) は人によっては、もっと北方の種類とフレイザーモミ (Fraser fir) の自然な雑種と思われている。アカトウヒ (red spruce) は高地と沼地の生息地で普通であるが、バルサムモミはクロトウヒ (black spruce) とアメリカカラマツ (tamarack) と共に、後者でもっと特徴的である。しかしながら、バルサムモミ (balsam fir) は pH が 6 にもなる土壌でも良好である。

カナダツガ (eastern or Canada hemlock、Tsuga canadensis) は別の重要な常緑針葉樹で、北から南のアパラチア山脈沿いに生育し、アカトウヒ (red spruce) とモミよりは低い標高に限定される。これは一般にトウヒとモミよりは、豊かで酸度が低い土壌を占有し、深くて、日陰があって湿気の高い山の峡谷 (valley) と小さな谷間 (cove) に特徴的である。これはヘムロック・ウーリー・アデルジド (hemlock woolly adelgid、Adelges tsuga、カメムシ目の昆虫) ―― 外来種の昆虫 ―― にさらされ、森林の木として急速に根絶されかけている。それほと豊富ではなく、アパラチア山脈南に限定されているのはカロライナ・ツガ (Carolina hemlock、Tsuga caroliniana) である。カナダツガと同様に、この木もヘムロック・ウーリー・アデルジドによってひどく苦しめられている。

アパラチア山脈に特徴的な幾つかの松の種には：イースタンホワイトパイン (eastern white pine, Pinus strobus), バージニア・パイン (Virginia pine, Pinus virginiana), ピッチパイン (pitch pine, Pinus rigida、松脂松), テーブル・マウンテン・パイン (Table Mountain pine、Pinus pungens) そしてショートリーフ・パイン (shortleaf pine, Pinus echinata) がある。レッドパイン (red pine, Pinus resinosa) は寒帯種 (boreal species) で、ウェスト・バージニア州の南まである数少ない高地孤立種 (high elevation outliers) を形成する。これらの種のすべては、ホワイトパイン (white pine) を除き、占有する傾向があるのは：砂だらけ・岩だらけ、貧弱な土壌の場所で、大半が酸性である。ホワイトパイン (white pine) ―― その材木によって評価される大きな種 ―― は、豊かで、湿気のある土壌、特性が酸性あるいはアルカリ性でもよく、良好に振る舞う傾向がある。ピッチパイン (pitch pine) は酸性、沼地の土壌でも良好 (at home) であり、テーブル・マウンテン・パイン (Table Mountain pine) も時々、この生息域で同様に見いだされる。ショートリーフ・パイン (shortleaf pine、黄マツ) は他の種よりも、一般により暖かい生息域とより低地で見受けられる。列挙したすべての種は、開放された場所、あるいはわずかに日陰がある生息域で最も良好である、もっともホワイト・パイン (white pine) は日陰のある小さな谷間 (cove)、峡谷 (valley)、そして氾濫原でも生い茂っている。

アパラチア山脈は、大きな美しい落葉性の広葉樹が豊富にあることで特徴づけられる。この存在は E. ルーシー・ブラウン (E. Lucy Braun) の 1950 年の古典である「米国東部の落葉樹の森林」 (Deciduous Forests of Eastern North America, Macmillan, New York) に最も良く要約・記述されている。最も多様で、豊かな森林は混合した中生植物 (mixed mesophytic) あるいは中程度の湿度のタイプで、大体はアパラチア山脈南部と中央の、肥沃で湿気のある山地の土壌に制限され、とりわけカンバーランド山脈とアレゲーニー山脈に制限されるが、アパラチア山脈の小さな谷間 (cove) でも生い茂っている。他の特徴的なキャノピー (canopy、天蓋) 種には：ホワイトバスウッド (white basswood、Tilia heterophylla, アメリカボダイ樹の一種), イエロー・バックアイ (yellow buckeye、Aesculus octandra、トチノキの一種), サトウカエデ (sugar maple、Acer saccharum), アメリカブナ (American beech、Fagus grandifolia), チューリップツリー (tuliptree、Liriodendron tulipifera、モクレンの一種), ホワイト・アッシュ (white ash、Fraxinus americana) そしてイエロー・バーチ (yellow birch、Betula alleganiensis、カバノキの一種) がある。他の普通の木には：レッド・メイプル (red maple、Acer rubrum、楓の一種), シャグバーク・ヒッコリー (shagbark hickory、Carya ovata、ペカンヒッコリー), そしてビターナット・ヒッコリー (bitternut hickory、 Carya cordiformis)), そしてブラックバーチあるいはスィートバーチ (black or sweet birch、Betula lenta) がある。小さな低木層と灌木に含まれるのは：ハナミズキ (flowering dogwood、Cornus florida), ホップホーンビーム (hophornbeam、Ostrya virginiana、カバノキの一種), ウィッチ-ヘイゼル (witch-hazel、Hamamelis virginiana、マンサク科の一種) そしてスパイスブッシュ (spicebush, Lindera benzoin、クロモジ属の一種). 何百もの多年生、一年生の草があり、この中には草と薬草があり、例えばアメリカニンジン (American ginseng、Panax quinquefolius), ゴールデンシール (goldenseal、Hydrastis canadensis), ブラッドルート (bloodroot、Sanguinaria canadensis) そしてブラックコホシュ (black cohosh, Cimicifuga racemosa) がある。

前述の木々、灌木、そして薬草は、それほど肥沃でない中湿性の森にもずっと広範囲に分布し、このような森はアパラチア山脈南部及び中央を通じて、低層及び中層の標高で、小さな谷間 (cove)、川の峡谷 (stream valley)、氾濫原 (flood plains) を占有している。アパラチア山脈北部と、パパラチア山脈の中央部と南部の標高の高い所で、このような多様な中湿性の森が道を譲るのは : それほど多様でない「北方広葉樹林」 (northern hardwood) で、キャノピー (canopy、天蓋) がアメリカ・ブナ (American beech), サトウカエデ (sugar maple), アメリカ・バスウッド (American basswood、Tilia americana) そしてイエロー・バーチ (yellow birch) で支配され、そしてはるかに種の少ない灌木と草がある。

より乾燥し、岩がちな高地と尾根は、オーク・栗 (oak-chestnut) の形式の森で占有され、ここで支配的であるのは色々な種類のオーク (oaks、Quercus spp.), ヒッコリー (hickories、Carya spp.) そして、過去には、アメリカグリ (American chestnut、Castanea dentata) があった。アメリカグリは外来の菌であるクリ胴枯病 (chestnut blight、Cryphonectaria parasitica) によりキャノピー種 (canopy species) としては事実上撲滅されたが、根から生える若木の芽としては生存しており、根は菌により枯れないのである。現在の森のキャノピー (canopy、天蓋) では、栗は大体はオークで置き換わった。

アパラチア山脈南部と中央部のオークの森を構成するのは大体は：ブラック・オーク (black, Quercus velutina)、ノーザン・レッド・オーク (northern red, Quercus rubra)、ホワイト・オーク (white, Quercus alba)、チェスナット・オーク (chestnut, Quercus prinus) そしてスカーレット・オーク (scarlet, Quercus coccinea) 及びヒッコリー (hickories) であり、例えば、とりわけピグナット・ヒッコリー (pignut, Carya glabra) である。最も肥沃な森は、中湿性タイプのグレードで、通常は小さな谷間 (cove)、穏やかなスロープにあり、ホワイト・オークとノーザン・レッド・オークが支配的で、一方最も乾燥した場所では、チェスナット・オークあるいは時には、スカーレット・オークないしはノーザン・レッド・オークが支配的である。アパラチア山脈北部では、オークはホワイト・オークとノーザン・レッド・オークを除いて消えうせ、一方、後者は更に北に拡張している。

オークの森には中湿性の森にある多様な小さな木、灌木、そして草の層がない。灌木は一般にツツジ科 (ericaceous) で、これが含むのは：常緑のアメリカ・シャクナゲ (mountain laurel、Kalmia latifolia), 色々なブルーベリー (blueberries、Vaccinium spp.) の種, ブラック・ハックルベリー (black huckleberry、Gaylussacia baccata), 何種類かの落葉性のツツジ (rhododendrons、azaleas), そしてツツジ科のより小さなもの、例えばヒメコウジ (teaberry、Gaultheria procumbens) そしてトレーリング・アービュタス (trailing arbutus、Epigaea repens) がある。常緑のオオシャクナゲ (great rhododendron、Rhododendron maximum) は湿気のある川の峡谷に特徴的である。これらが登場することは、大半のオークの森の土壌で、酸性が支配的な性質であることと一致している。比較すると、もっと珍しいチンカピン・オーク (chinquapin oak, Quercus muehlenbergii) はアルカリ性の土壌が必要で、一般に石灰岩が地表近くにある場所で育つ。従ってツツジ科 (ericaceous) の灌木 (shrub) はこれと関係していない。

アパラチア山脈の植物相 (flora) は多様なコケ植物 (bryophyte) の集合 ( 蘚類 (mosse) と苔類 (liversort)) も含み、更には菌類 (fungus) を含む。幾つかの種は、めずらしく [且つ/あるいは] 地方固有である。維管束植物 (Vascular plant) と同様に、これらは、見いだされる土壌の性質と温度環境に密接に結びつく傾向がある。

東部の落葉性の森は幾つかの深刻な昆虫と病気の発生にさらされる。最も顕著なものの 1 つは、外来のマイマイガ (spongy moth, Lymantria dispar) で、これはこれは主にオークに寄生し、深刻な落葉と枯死の原因になる。しかし、これは弱い個体を除去する恩恵もあり、従って遺伝的な蓄積 (genetic stock) を改良し、ひいては、枯れ木の集積により、一種の豊かな生息域を作っている。広葉樹の芽はすぐにも出てくるので、この蛾はヘムロック・ウーリー・アデルジド (hemlock woolly adelgid) ほど有害ではない。恐らく、もっと深刻なものは、外来のブナ樹皮病 (beech bark disease complex) で、これはカイガラムシ (scale insect、Cryptococcus fagisuga) と菌体成分 (fungal component) のどちらも含んでいる。

19 世紀と 20 世紀の始めに、アパラチア山脈の森林は深刻で破壊的な伐採と土地の切り開きにさらされ、これにより、国立森林公園と国立公園に指定され、更には多くの州の保護地に指定された。しかしながら、このような活動と他の破壊的活動が継続した、もっとも縮小した形であった。そして、ここまでの所、生態的に基礎を置く、管理の実践がほんのわずか根付いただけであった。

アパラチア山脈の沼地は寒帯生態系であり、これはアパラチア山脈の多くの場所、とりわけ、アレゲーニー山脈 (Allegheny) とブルーリッジ山脈 (Blue Ridge) にある。通俗的に沼地 (bog) と呼ばれるが、多くは技術的にフェンである。

アパラチア山脈南部の幾つかの山の頂上は、広々とした解放生息域 (草の多い牧草地、あるいはヒース (heath)) で覆われ、アパラチア山脈のはげ山 (Appalachian balds) と呼ばれる。これらの生息域は多くの動植物の共同体を支え、これには珍しい残存種が含まれ、開放的でさらされた生息域に対応している。この起源はひどく議論されている : 以前はすべてが人為的起源と思われていたが、もっと最近の証拠が示すことは混合的起源である。多くが形成されたのは : 更新世 (Pleistocene) の気候条件によっており、開放されたまゝとなったのは、更新世 (Pleistocene) の巨型動物類 (megafauna)、次に牧草を食べる野生動物 (grazing wildlife, 例えば、野牛、ヘラジカ、鹿) とアメリカ原住民の野焼きの習慣 (burning practice)、そして最後にヨーロッパの開拓者により導入された牧草を食べる家畜 (grazing livestock) によっている。他のものは、とりわけ外来の草が支配的な場所は人為的起源がある。牧草を食べさせることを見捨てれば、木々がこのはげ山の多くで侵略し、生態系を脅かす。

大まかに牧草を食べることで影響されたアパラチア山脈内部のはげ山と対比すると、アパラチア山脈北部の一部分 ―― 例えばホワイト山脈 (White Mountains), アディロンダック山脈 (Adirondack Mountains), そしてカダディン山 (Mount Katahdin) ―― の頂上は、真の高山ツンドラ (alpine tundra) で覆われている。これらの生態系は極端に厳しい冬の嵐によって開けており、北極圏のものに、もっと似ている。

アパラチア山脈の森を特徴づける動物に樹上リス (tree squirrels) が 5 種含まれる。もっとも普通に見られるのは、低標高からある程度の標高まで生息するトウブハイイロリス (eastern gray squirrel、Sciurus carolinensis) である。類似の生息域を占有するのは少し大きなフォックス・リス (fox squirrel、Sciurus niger) とずっと小さなアメリカモモンガ (southern flying squirrel、Glaucomys volans) である。より涼しい北方且つより高い標高の生息域にもっと特徴的なものはレッド・リス (red squirrel、Tamiasciurus hudsonicus) で、一方アパラチア山脈の北方モモンガ (northern flying squirrel、Glaucomys sabrinus fuscus) は極めて似ているが、北方の広葉樹とトウヒ・モミ (spruce-fir) の森林に限定されている。

リスのように親しみがあるものに、トウブワタオウサギ (eastern cottontail、Silvilagus floridanus) とオジロジカ (white-tailed deer、Odocoileus virginianus) がいる。後者はとりわけ、シンリンオオカミ (eastern wolf、Canis lupus lycaon) と北米クーガー (North American cougar) の絶滅の結果、ずっと数が増えた。これにより、アパラチア山脈の森林の牧草と高い位置の若葉・芽の食い荒らしとなり (overgrazing and browsing)、ひいては農作物の破壊につながった。他の鹿にはヘラジカ (moose、Alces alces) があり、北部でのみ見受けられ、そしてエルク (elk, Cervus canadensis) があり、これは一度絶滅したが、アパラチア山脈の南部と中央部で移植 (transplantation) により現在復活している。ケベックではシックショック山脈 (Chic-Chocs) にセント・ローレンス川南に唯一のトナカイ (reindeer, Rangifer tarandus) の個体群 (population) がいる。北では普通で、バージニア州とウェスト・バージニア州の高い標高で南に領域が拡張するもう一つの種は変動するスノーシュー・ヘア (snowshoe hare、Lepus americanus、ウサギの一種) である。しかしながら、これらのアパラチア山脈中央の個体群 (population) は散逸していて、とても少ない。

とても興味ある他の種は、ビーバー ( beaver、Castor canadensis) で、毛皮の理由から絶滅しかけていたが、随分と復活した。この復活により、山脈中にダムなどの構築物の建設を通して、劇的な生息域の変更をもたらした。

森の特徴的な鳥は：野生の七面鳥 (turkey, Meleagris gallopavo silvestris)、エリマキライチョウ (ruffed grouse、Bonasa umbellus), ナゲキバト (mourning dove、Zenaida macroura), ワタリガラス (common raven, Corvus corax), アメリカオシ (wood duck、Aix sponsa), アメリカワシミミズク (great horned owl、Bubo virginianus), アメリカフクロウ (barred owl、Strix varia), アメリカオオコノハズク (screech owl, Megascops asio), アカオノスリ (red-tailed hawk、Buteo jamaicensis), カタアカノスリ (red-shouldered hawk、Buteo lineatus), そしてオオタカ ? (northern goshawk、Accipiter gentilis), 更には色々な種類の「鳴き鳥」 ("songbirds"、Passeriformes) がおり、とりわけウォーブラー (warblers、小さな鳴き鳥) のようなものがいる。

訳注

Passeriformes で検索すると Passerine - Wikipediaに行きつき、この日本語化がスズメ目である。 warbler で検索すると warbler - Wikipedia になり、挿絵の wood warbler のリンクをたどって、その日本語化を見るとモリムシクイになる。これもウォーブラーの一種。

極めて重要なのはサンショウウオ (salamander, サラマンダー) の多くの種で、とりわけ肺がない種 (lungless species、Family Plethodontidae) で、林床 (forest floor) で葉とゴミに隠されて大量に生きている。しかしながら、最も頻繁に見られるのはイースタン・ニュート (eastern or red-spotted newt, Notophthalmus viridescens、イモリの一種, 3 段階に変態) で、陸上のイモリ (eft) の段階はしばしば開放・乾燥した林床 (forest floor) で遭遇する。サンショウウオ (salamander) はアパラチア山脈の森 (forest) で最大の動物バイオマス (animal biomass) であると評価されている。カエル (frog) とヒキガエル (toad) はそれほど多様・豊富ではないが、アメリカアカガエル (wood frog、Rana sylvatica) はイモリ (eft) のように、乾燥した林床 (forest floor) で普通に遭遇する。一方、幾つかの小さなカエルの種は、例えばトリゴエアマガエル (spring peepers、Pseudacris crucifer) のように、鳴き声で森を活気づける。サンショウウオ (salamander) と他の両生類は林床 (forest floor) と水生生息域 (aquatic habitat) で、小さな生物を摂取することで、養分循環 (nutrient cycling) に大いに貢献している。

爬虫類は両生類ほど豊富・多様ではないが、幾つかの蛇は動物の顕著なメンバーである。最大のものの一つに、無毒な黒蛇 (black rat snake、Elaphe obsoleta) があり、一方、コモン・ガーター蛇 (common garter snake、Thamnophis sirtalis) は最小なものの一つであるが、最も豊富にいる。アメリカ・マムシ (Eastern copperhead、Agkistrodon contortrix) とヨコシマガラガラヘビ (timber rattler、Crotalus horridus) は有毒なマムシ亜科 (pit viper) である。トカゲが少々いるが、ヒロズトカゲ (broad-headed skink、Eumeces laticeps) は、長さが 13 インチ (33 cm) までで、木登りと泳ぎが素晴らしく、最も大きく外見と行動が最も壮観なものの 1 つである。最も普通な亀はイースタン・ボックス・タートル (eastern box turtle、Terrapene carolina carolina、アメリカハコガメ属 (box turtle) の一種) で、アパラチア山脈中央部と南部の、高地と低地の両方で見られる。水生種の中で最も顕著なものは、大きなカミツキガメ (common snapping turtle、Chelydra serpentina) で、アパラチア山脈中に登場する。

アパラチア山脈の川は、高度に多様な真水の魚がいることで著名である。最も豊富で、多様なものはコイ科 (minnow family、family Cyprinidae) のもので、多彩なダーター種 (species of darters、Percina spp.) も豊富である。

日影があって、冷たいアパラチア山脈の川の特徴的な魚の 1 つは、カワマス (wild brook or speckled trout、Salvelinus fontinalis) であり、これは、ゲームフィッシュとしてひどく求められている。

アパラチア山脈地域の歴史の根源 (root) は原住民にさかのぼり、彼らはヨーロッパ人が到来する随分前にこの土地に住んでいた。アパラチア山脈を通して、原住民の共同体は多様な文化・言語・社会を発展させ、その地域の変動する環境と生態系に適応した。原住民共同体と自然世界の間の相互関係は人間とアパラチア山脈の展望 (landscape) の間の複雑な関係の基礎を敷いた。原住民はこの挑戦的な地勢 (terrain) で繫栄し、彼らの生活様式を利用可能な資源に適応した。彼らは土地と深い関係を構築し、狩猟, 魚釣り, 農業そして採集 (hunting, fishing, agriculture and gathering) の持続可能な実践を発展させた。アパラチア山脈の展望は動植物 (flora and fauna) の豊かなつづれ織りを提供し、原住民の共同体は彼らの生計 (sustenance) と快適な暮らし (well-being) のために利用することを学んだ。アパラチア山脈はトレード網のルート (conduit) としての役目を果たし、入り組んだトレイル (treil) を通して、遠方の原住民共同体を接続した。これらのトレード・ルートは広大な距離を越えて、物資, アイデア, 文化的実践の交流を容易にした。このトレード網は多様な原住民グループの間に、ある種の共有する同一性を育てた。

15 世紀末と 16 世紀始めに、ヨーロッパ人の探検家が大西洋横断の発見の航海で上陸した。新しいトレード・ルートと富を求める一方で、北米の広大な陸地に遭遇し、これにアパラチア山脈地域が含まれた。山脈は恐るべき地理的な障壁となり、ヨーロッパ人の探検家は何とかして通り抜ける必要があった。フランス、英国、そしてスペインが新世界での覇権を求める大国に含まれ、彼らの原住民共同体との交流とアパラチア山脈の展望が歴史の道筋を形作った。

アパラチア山脈の高地 (Highlands) と低地 (Lowlands) はヨーロッパの植民地拡大の焦点になった。フランスと英国の探検家はアパラチア山脈を横断し、一方で北米に拠点を設立した。一方、英国の植民地は米国になる場所の東海岸沿いに広がった。ヨーロッパの大国の領土的野望はフレンチ・インディアン戦争のような後の紛争の舞台を設定した。

(英国の) 1763 年の王室布告はカナダと米国の双方の歴史に意味がある。米国で、布告が目的としたことは、アパラチア山脈より西への拡張を抑え、原住民の国との紛争を避けることであった。これにより、アメリカの開拓者と英国国王の間の緊張になり、独立への原動力に貢献した。カナダでは、布告は新規に獲得したフランス領 ―― ケベックが含まれる ―― の統治の枠組みを提供し、地域の安定性・支配を確かにした。布告の影響は多面的で、植民地支配と原住民の間の関係の複雑な力学を反映していた。

両方の国のアパラチア山脈は、今日に至るまで持続したユニークな文化的独自性を育んだ。これらの山がちな地域の孤立により、独特な音楽, 伝説, そして伝統の発展が可能であった。アパラチア山脈の音楽はアメリカとカナダの音楽ジャンルの、より広い進化で重要な役割を演じた。境界の両側にはその文化的表現があるが、共有する地理的造作と文化的交流が貢献する共有する糸は : アパラチア山脈の文化を特徴づける自助努力, 回復力, そして自然への接続である。

アパラチア山脈地域のヨーロッパ人の探検は地図作りと、この地域の地理的造作の理解に貢献した。探検家が文書化したのは : 起伏の激しい地形, 密集した森, 豊富な自然資源であった。彼らの観察はアパラチア山脈展望の認識を形成し、その後の開拓パターンと資源の利用に影響した。山脈は西方への拡張に重要な障壁を提示し、植民地化努力に消せない印を残した。

カンバーランド・ギャップは著名な地理的造作で、米国での西方への拡張に中心的な役割を演じた。アパラチア山脈を通り抜けるこの通路は、山脈の向こうに新しい機会を求める開拓者にルートを提供した。同様に、カナダには自身の地理的通路であるガスペ半島 (Gaspé Peninsula) があり、これはカナダのアパラチア山脈地域における探検とトレードを容易にした。この通路は極めて重要な出入り口 (gateway) で、境界の両側における人々, 考え, そして資源の移動を形作った。

[注 a]＾フランスはカナダのニューファンドランド島の南岸沖の 8 個の小さな島 ―― サンピエール島・ミクロン島 (Saint Pierre and Miquelon) ―― の行政支配を維持している。ニューファンドランド島は一般にアパラチア山脈の北限の地点と見なされる。従って、アパラチア山脈はフランスの唯一残存する北米の領土を通り抜けている。

[注 b]＾ Appalachian の発音は変動し、 /ˌæpəˈleɪʃ(i)ən/ ⓘ AP-ə-LAY-sh(ee-)ən, /ˌæpəˈleɪtʃ(i)ən/ AP-ə-LAY-ch(ee-)ən, /ˌæpəˈlæʃ(i)ən/ AP-ə-LASH-(ee-)ən or /ˌæpəˈlætʃ(i)ən/ AP-ə-LATCH-(ee-)ən フランス語では Appalaches は [apalaʃ] のように発音する。

[注 c]＾アラバマ州モンゴメリー ―― クーサ峡谷 (Coosa Valley) の南端 ―― からニューファンドランド・ラブラドール州 (Newfoundland and Labrador) のベル島 (Bell Island) ―― ニューファンドランド島の延長の最北端 ―― まで測定。

[注 d]＾多くのインターネットの情報源は 4 億 8000 万年をアパラチア山脈の年齢として引用している。この記述は山脈の最高で、最も顕著な造作の幾つかを無視しており、ここには少なくとも 10 億年を経過する科学的に年代測定した変成岩が露頭している。

[注 e]＾元々意図したことは 2 つのセクション ―― シャンプレーン・セクションとノーザン・セクション ―― があることになっていたが、分割線は公的には決定されなかった。


アパラチア山脈が後方、ペンシルバニア州のペンズ峡谷 (Penns Valley) が前方、 2021 年 10 月	アパラチア山脈、米国とカナダの部分を含む。


アパラチア・ハイランズ自然地理学プロビンス	カナダのアパラチア・アップランズの 13 分割


ペンシルバニア州ミンシ山 (Mount Minsi) のアパラチア・トレイル (Appalachian Trail)	アパラチア山脈の一部国際スペース・ステーションから見る。


ペンシルバニア州ヘイズルトンの近くの切り通しで露出した断層、州間道路 81 沿い、褶曲したアパラチア山脈では普通な断層を含む。	ニュー川を見下ろす断崖、ウェスト・バージニア州ゴーリー・ブリッジ (Gauley Bridge) の近く、


ノースカロライナ州ミッチェル山からの光景、ミシシッピ川東で 6,684 フィート (2,037 m) の最高峰	バージニア州のシェナンドーア国立公園


ノースカロライナ州ブルー・リッジ有料道路のクラッギー・ガーデンズ (Craggy Gardens) からの光景、	ノースカロライナ州ピスガー国有林 (Pisgah National Forest) のグレート・ローレル・シケット (Great laurel thicket)


Cranberry Glades, ウェスト・バージニア州の保存沼地	ノースカロライナ州 / テネシー州の境界にまたがる Roan Highlands の Grassy balds


アメリカモモンガ (Southern flying squirrel)	野生七面鳥の雄 (Male eastern wild turkey)